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監修者:あいち栄クリニック 寺田紗央里 先生
うっかり日焼けしてしまい、肌の赤みや肌あれ、かゆみが気になる・・・。そんな時、肌は大きなダメージを受けているのです。この記事では、日焼けによる症状と、日焼けした後のケア方法について紹介します。顔だけではなく、ボディまでしっかりとケアすることで光老化を防ぎ、紫外線ダメージに負けない美しい肌を目指しましょう。
目次
監修者:あいち栄クリニック 寺田紗央里 先生
日焼けにより引き起こされる症状には、肌荒れやかゆみ、色素沈着など、さまざまなものがあります。ここでは日焼けのしくみと、短期的・長期的に肌に表れる症状を確認しておきましょう。
日焼けの別名は「日光皮膚炎」。皮膚が紫外線を浴びたことで起こる熱傷(やけど)のことを言います。日本では春から秋にかけてよく起こり、なかでも6月~8月は、紫外線が特に強くなるので注意が必要です。1日の中では、正午前後(10時~14時)に最も紫外線量が多くなると言われています。
紫外線は太陽光線のうちの一つです。紫外線A波、紫外線B波、紫外線C波に分かれていて、日焼けを引き起こすのは、紫外線A波とB波だと言われています。このうち、特に有害とされるのが紫外線B波です。「レジャー紫外線」ともよばれ、日焼けによる炎症は、主に紫外線B波が原因となります。
一方、紫外線A波とは地上に届く紫外線の約9割を占めるもので、その別名は「生活紫外線」です。紫外線B波ほどの有害性はないとされますが、長期間浴び続けると肌に影響があります。
日焼けは、大きくは「サンバーン」「サンタン」の2つに分類され、症状はさまざまです。
サンバーンとは、紫外線を浴びた皮膚が赤くなってヒリヒリした状態です。十分な水分をキープできず、肌のバリア機能が低下しているためかゆみを感じることもあります。
サンバーンは紫外線を浴びて数時間後に起こり、ピークは8時間後~24時間後ごろです。
症状は2~3日で治まることがほとんどですが、水ぶくれやむくみなどの症状が出ることも。ひどい場合は医療機関の受診をおすすめします。
サンタンとは、紫外線を浴びた皮膚が黒っぽくなる日焼けのことです。紫外線を浴びた数日後に表れ、数週間~数ヵ月続きます。これは、皮膚の色素細胞であるメラノサイトが、紫外線の刺激を受けてメラニンをたくさん作ることによって起こる症状です。
通常、メラニンは皮膚のターンオーバーに伴って排出されますが、紫外線を浴び続けることで大量に作られたメラニンが肌に蓄積し、シミになることもあります。
サンバーンやサンタンが短期的な反応であるのに対し、長期的な反応として「光老化」があります。光老化とは、紫外線を長年浴びることによって起こる肌のくすみやハリ不足、シミ、しわ、たるみなどです。光老化の症状が出やすいのは、顔はもちろん、手の甲や首などの紫外線を浴びやすい部分だと言われています。
光老化は加齢による老化と違い、適切に対策することで防ぐことができるものです。顔だけではなく、ボディの紫外線対策やボディケアもしっかりとおこないましょう。
日焼けした後、肌は大きなダメージを受けた状態です。肌荒れなどの症状が出た時は、なるべく早くケアしましょう。ここでは、日焼けした当日のケアと、炎症が落ち着いた後のケアを紹介します。
日焼けした部分を冷やすことで、症状を多少軽減できます。日焼けに気づいたら、なるべく早く冷やすのがおすすめです。
やり方としては、濡らしたタオルや氷を包んだガーゼなどを日焼けした部分に当てましょう。1回につき10分~15分ほど当て、時間をおいて繰り返します。
広範囲の場合は、水風呂につかったり冷たいシャワーを浴びたりして冷やすのも効果的です。水ぶくれができた場合、これは重症の火傷ですので、すぐ皮膚科を受診しましょう。
日焼けした肌は水分を保てず、乾燥しがちです。じゅうぶんな保湿を心がけ、水分とともに油分を補いましょう。
顔の保湿だけではなく、ボディも保湿が必要です。首のうしろやデコルテなどは、紫外線をうっかり浴びやすい場所なので、ケアは念入りにおこないましょう。
日焼け直後の肌はダメージを受けやすくなっているので、肌をこすったりマッサージをしたりするのは避け、やさしくケアするのがポイントです。
また、肌と同様に髪も紫外線ダメージを受けます。日差しを浴びた後、髪がパサつくようなら日焼けの影響かもしれません。髪にもうるおいと油分を補給するのがおすすめです。
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日焼け後の肌は、通常よりダメージを受けやすい状態になっています。特に、乾いた皮膚が剥がれ落ちた部分は日焼けしやすくなっているため、日焼け予防はしっかりとおこないましょう。
外出時は、日焼け止めクリーム、ストール、つばの広い帽子、日傘、サングラスなどを使って紫外線を防ぎます。日陰をうまく利用したり、紫外線の強い時間を避けたりするのも効果的です。曇りの日や冬の寒い日でも、紫外線は降り注いでいます。紫外線対策は季節や天候を問わず、年間を通して必要です。
日焼け後は、肌のバリア機能が低下しているため、ちょっとした刺激がかゆみや赤みにつながることも少なくありません。普段使っている化粧品や日焼け止め、汗なども刺激になる可能性があります。
かゆみが出た部分をかいてしまうと、ますますバリア機能を低下させる恐れがあるので気をつけたいものです。
日焼けが落ち着き、かゆみや赤みが治まったら、ボディケアの際に油分を補うことで肌表面に膜を作って肌を保護すると良いでしょう。
また、ひどい日焼けの後は、身体もダメージを受けていることがあります。普段よりしっかりと睡眠を取り、水分や栄養を補給するなど、体力の回復に努めるのがおすすめです。
日焼け後の乾燥した肌は、潤いを補給しダメージをリカバリーする必要があります。ここでは植物の力を生かし、肌本来の美しさを引き出す製品を処方開発する、国産オーガニックブランド「メゾンレクシア」から、おすすめのケアアイテムを紹介します。
高級スパイスとして知られるサフランを始めとする、多様な植物成分を配合したボディミルクです。植物成分の保湿力で、うまれたてのような、やわらかでなめらかな肌に整えます。
シトラスウッディ調の優雅な香りに包まれてケアできるのもポイントです。
エモリエント効果のある植物成分をふんだんに配合したボディオイルです。軽い質感と豊かな香りで、ボディケアの時間を贅沢に演出。
たっぷりと肌になじませてマッサージすることで血行を促し、うるおいとハリが満ちる肌に導きます。
アルガンオイル(アルガニアスピノサ核油)やユズ種子油などを配合したヘアオイルです。
ボディのケアと一緒に、紫外線を浴びて乾燥した髪もケアしましょう。乾燥やブラッシングによるダメージを受けやすい毛先までしっかりと包み、髪にツヤとうるおいを与えてくれます。
日焼けした肌は、バリア機能が低下し、刺激に弱い状態です。たっぷりと保湿して肌を保護し、さらなる肌荒れを防ぎましょう。また、日焼け後の肌はダメージを受けやすくなっているため、外出する時は忘れずに紫外線対策を。
毎日のケアと紫外線対策は、今だけではなく5年後、10年後の肌に表れます。加齢による老化と違い、光老化はきちんと対策すれば防げるものです。顔はもちろん、ボディもしっかりとケアして光老化を防ぎましょう。
藤田医科大学を卒業後、名古屋大学付属病院、小牧市民病院の皮膚科医局員として勤務。 現在はあいち栄クリニックで皮膚科・美容皮膚科の担当医として勤務しています。