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鈴木稚子先生
バクチオールは植物由来の“次世代レチノール”として注目されている美容成分です。エイジングケア効果が期待できるとあって、バクチオール配合のスキンケアアイテムが数多く販売されています。バクチオールについて、期待できる効果やレチノールとの違い、正しい使い方と注意点を紹介します。
目次
バクチオールとは、マメ科植物の「オランダビユ(バブチ)」の種子から抽出される成分のこと。インドのアーユルヴェーダや、中国医学で古くから利用されてきた歴史があります。
バクチオールは肌の新陳代謝に深くかかわっているビタミンAの一種です。ビタミンAが不足するとターンオーバーが乱れて肌の弾力が低下したり、ツヤが不足したりと、気になるエイジングサインが見られるようになります。バクチオールには高いエイジングケア効果があると言われ、今世界中で注目されています。肌への刺激が少なく、敏感肌の人も使いやすい成分です。
バクチオールは優れた美容効果が魅力です。具体的にどのような作用が期待できるのか見ていきましょう。
バクチオールには肌にハリを与え、小ジワを改善する効果が期待できます。角質層にうるおいを与えるため、肌の保湿効果が期待できるのもポイント。その他、肌のターンオーバーを活性化させる効果もあり、角質層の保湿成分を逃がさず保ってくれるため、乾燥が原因の目元・口元の小ジワ改善効果も期待できます。
バクチオールは、皮膚の真皮にある線維芽細胞(せんいがさいぼう)を活性化させ、肌にハリをもたらすコラーゲンや、うるおいを与えるヒアルロン酸の生成を促進する効果があると言われています。さらにコラゲナーゼ(コラーゲン分解酵素)を阻害する働きもあるため、コラーゲンを守ってくれます。使い続けるうちに肌がふっくらとして、弾力が増していくのを実感できるでしょう。
バクチオールは抗菌に優れているので、ニキビや肌荒れに効果を発揮してくれます。ターンオーバーを促す作用もあるため、ニキビの原因になる毛穴詰まりを取り除く効果も期待できます。
バクチオールにはシミの原因となるメラニンの生成を抑えて、排泄を促す働きがあります。シミの予防と改善、どちらにもアプローチできる点が魅力です。肌のターンオーバーを活性化させてメラニンを排出するため、既にできてしまったシミにも働きかけるとされています。
バクチオールは肌のハリを取り戻したり、シミ・シワを改善したりなど、高いエイジングケア効果が期待できます。似た成分としては、レチノールも有名です。ここではバクチオールとレチノールの違いを解説します。
レチノールは、ビタミンAおよびその誘導体の一種。年齢による肌トラブルに効果があるエイジングケア成分として、以前から知られています。ただし、レチノールは肌荒れなどの副作用を引き起こす可能性があり、敏感肌の人は使いにくい成分でもありました。
バクチオールとレチノールの効果は似ていますが、特徴が異なります。両者の主な違いは以下の3つです。
バクチオール | レチノール | |
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肌への刺激 | ・低刺激 | ・刺激が強く、「A反応」と呼ばれる副作用が起こりやすい
・かゆみ、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥といった症状が出ることがある
・敏感肌の人が使う場合は注意が必要
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熱や紫外線の耐性 | ・熱や紫外線に強く、時間に関係なく使用できる | ・紫外線や熱で分解されやすいため、日中のケアには向かない |
併用できない成分の有無 | ・併用に禁忌はなく、ビタミンCを含む化粧品とも併用できる | ・ビタミンCを含む化粧品を併用すると効果が半減する |
バクチオールのメリットをしっかり感じたいなら、効果的な使い方を知っておきましょう。使用方法や他の化粧品との併用について解説します。
バクチオールは成分が安定していて、紫外線や熱に強いのが特徴です。そのため、レチノールと違って朝も安心して使えます。朝も夜も一日中ケアできるため、エイジングケア効果を効率良く発揮できるでしょう。
バクチオールには基本的に併用できない成分がないため、他のスキンケアアイテムと一緒に用いることでより高い効果が得られます。例えばレチノールはビタミンCと併用すると効果を発揮しにくくなりますが、バクチオールなら気にせず使えます。
美白を目指したいなら、ハイドロキノンとの併用がおすすめです。肌のターンオーバーを活性化させるバクチオールは、肌の奥に潜むメラニンを表面へ押し出します。そこへメラニンの生成を抑制するハイドロキノンが加わることで、相乗効果が期待できます。
加えて、バクチオールは同じ効果を持つレチノールとの併用も可能です。このように、目的に合わせてバクチオールと他の美容成分が含まれるアイテムを組み合わせて使ってみてはいかがでしょうか。
目元や口元のシワ、肌のしぼみ、乾燥、肌荒れなど、大人の肌悩みにはエイジングケアが必須。純度99%以上のバクチオールを使用した原液に近い処方を選べば、より高いアンチエイジング効果が実感できるでしょう。パワフルな原液美容液をそのまま塗布し、年齢サインが気になる目元やほうれい線などのパーツは重ね付けすると効果的です。
レチノールと同じ効果が期待できるのにデメリットが少ないとされるバクチオールですが、使用するにあたって気をつけたい点もあります。最後に、バクチオールを使う時の注意点を紹介します。
レチノールは即効性があるものの、肌トラブルを起こすリスクもある成分です。それに対して、バクチオールの効果が現れるのはレチノールに比べるとゆっくり。しかし低刺激で肌に優しく、朝も安心して使える成分であるため、使い続けることで着実に美肌へ近づけるはず。最低でも1~2ヵ月は使ってみることをおすすめします。
バクチオールに限らず、どんな成分やアイテムでも、すべての人に皮膚刺激が起きないわけではありません。植物で言えば、ナッツアレルギーなどの例もあります。バクチオール配合のアイテムを初めて試す際は、パッチテストをして肌に異常がないか確認を。もし肌にかゆみや赤みを感じたらすぐに洗い流しましょう。
バクチオールは低刺激で併用するアイテムを問わず、普段のスキンケアに取り入れやすい成分です。毎日継続して使えば、肌のハリやうるおいを取り戻せるでしょう。バクチオール配合のスキンケアアイテムで美肌を目指してみませんか。
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1994年東京慈恵会医科大学医学部卒業。同大学皮膚科学教室国立大蔵病院皮膚科臨床研究部を経て、2000年用賀ヒルサイドクリニック院長。2017年六本木スキンクリニックを開院。美肌の予防医療を専門とし、現代女性たちの肌悩みを解消するアドバイス・指導などを行う。