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吉岡 容子 先生
ビタミンC誘導体はシミや肌荒れ予防に有効な美容成分として、化粧水や美容液などさまざまなスキンケアアイテムに取り入れられています。効果的な使い方は、自分に合ったアイテムを無理なく継続すること。ビタミンC誘導体の種類や効果、スキンケアアイテムの選び方を紹介します。
目次
ビタミンC誘導体とは、肌への浸透しにくさ、酸化のしやすさといったビタミンCの弱点を改良した成分のこと。ビタミンCに他の分子を結合し、不安定なビタミンCの構造を安定させた化合物です。
ビタミンCにはシミの素となるメラニンの活動を抑制することで、シミや色素沈着を薄くする働きがあります。誘導体にすることで角層のすみずみまで行き渡りやすくなり、肌に吸収された後はビタミンCとして効果を発揮します。
現在、ビタミンC誘導体は美白有効成分として厚生労働省に認可されていて、最近ではさまざまな美白化粧品に含まれる注目の成分です。
ビタミンC誘導体には3つの種類があり、それぞれ吸収性や持続性が異なります。種類別の特徴や、化粧品に含まれる主な成分名をチェックしていきましょう。
水溶性ビタミンC誘導体は、ビタミンCにリン酸を結合させたものです。短期間で皮膚に吸収されるため即効性があり、化粧水や美容液といった水分の多い化粧品によく配合されています。ただしその反面、肌の乾燥を招きやすいので、敏感肌や乾燥肌の人は注意が必要です。
<水溶性ビタミンC誘導体の例>
ビタミンCを油分と結合させ、油に溶けやすくしたものが油溶性ビタミンC誘導体です。クリームやジェルなど油分が多い化粧品に多く用いられています。水溶性ビタミンC誘導体と比べると即効性は劣りますが、皮脂膜や角層に浸透しやすく、持続性が高いといったメリットがあります。
油溶性ビタミンC誘導体は保湿力が高くて低刺激なので、乾燥肌や敏感肌の人でも取り入れやすいでしょう。ただし、ニキビができやすい人には合わない可能性があります。
<油溶性ビタミンC誘導体の例>
水溶性と油溶性の両方の性質を併せ持ったものが、両親媒性(新型)ビタミンC誘導体です。水溶性ビタミンC誘導体をさらに改良したもので、角層の奥にある「真皮」まで届きます。即効性もあるため、エイジングケアの効果が期待できると注目されています。
<両親媒性(新型)ビタミンC誘導体の例>
ビタミンC誘導体には、メラニンの生成を抑えることによるシミ・そばかすの予防や、皮脂分泌のバランスが整うことによるニキビの予防、コラーゲン産生効果による、肌の弾力やハリをアップさせる美容効果が期待できます。そのため、美肌づくりやエイジングケアに興味がある女性におすすめです。各効果について詳しく解説します。
ビタミンC誘導体でシミが薄くなると言われている理由は、シミやそばかすの素となるメラニンの生成を抑える作用があるためです。メラニンの素となるチロシナーゼと呼ばれる酵素の活性化を阻害し、シミやそばかすができにくい状態をつくります。
また、ビタミンC誘導体には肌のターンオーバーを正常化する作用もあります。できてしまったシミ、そばかすを速やかに排出することによる美白効果も期待できます。
ビタミンC誘導体には皮脂の過剰分泌を抑える作用もあるので、ニキビのできにくい肌になります。皮脂のバランスが整うと毛穴詰まりが改善して、ニキビや黒ずみが目立ちにくくなるでしょう。
また、ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑える抗菌作用によって、ニキビの悪化や新しいニキビの発生も予防できます。とくにニキビ予防をしたい場合は、水溶性ビタミンC誘導体配合の化粧品がおすすめです。
ビタミンC誘導体が肌の真皮まで届いて作用すると肌のハリが増し、気になるたるみにアプローチできます。ビタミンC誘導体には、メラニンの生成を抑える働きやコラーゲンの生成を促進する働きがあります。ハリのあるみずみずしい肌を目指すには、肌の奥までしっかり届きやすい油溶性か、両親媒性のビタミンC誘導体を選ぶと効果的です。
ビタミンC誘導体配合のアイテムを使っているのに「効果なし」と感じるのは、濃度や種類、他の成分が自分に合っていないのかもしれません。ポイントを押さえて、効果を実感しやすいビタミンC誘導体配合の化粧品を選びましょう。
ビタミンC誘導体の濃度は製品によって異なります。濃度が高いほど効果を感じやすいものですが、その分刺激が強くなり、人によってはヒリヒリと感じる場合があるので慎重に選びましょう。
一般的には、濃度が5%以下だと刺激を感じにくいと言われています。敏感肌の人は、1%など濃度の低いものから試していくのがおすすめです。濃度が記載されていない製品は、基本的に刺激が少ないものであることが多いですが、心配な場合は皮膚科に相談しましょう。
肌質ごとに相性の良いビタミンC誘導体の種類は異なります。自分の肌質に合ったものを選ぶと、より効果を実感しやすくなります。
肌タイプ | 効果的なビタミンC誘導体の種類 |
乾燥肌・敏感肌 | 刺激が少なく高い保湿力が期待できる油溶性 |
脂性肌・混合肌 | さっぱりとした使用感のものが多い水溶性 |
年齢肌 | 浸透力に優れた油溶性・両親媒性 |
気になる肌トラブルがある場合は、ビタミンC誘導体と併せて肌悩みにアプローチする成分配合のものを選んで相乗効果を狙いましょう。
肌悩み | 効果的な美容成分 |
シミ・くすみ・たるみ | レチノール・コエンザイムQ10 |
ニキビ | グリチルリチン酸・サリチル酸 |
毛穴の目立ち | クエン酸 |
ハリ不足 | ヒアルロン酸・セラミド・トレハロース |
美白 | トラネキサム酸・ナイアシンアミド |
ビタミンCとレチノールは相性が悪いと言われることもありますが、ビタミンCを安定させたビタミンC誘導体で取り入れることで、それぞれが効果を発揮しやすくなります。
アイテムの効果を実感するためには、コツコツと使い続けるのが基本。どんなに即効性の高いアイテムでも、継続的に使わなければ効果を感じにくいものです。ビタミンC誘導体そのものに期待できる効果はどの種類であっても変わらないので、自分が使っていて心地よいと感じるものを日々のケアに取り入れてみましょう。
また、肌なじみや使い心地の良さ、香りなども選ぶ基準の一つです。継続して使用できそうか、まずはサンプルやトライアルキットなどで試してみるのもおすすめです。
先述の通り、ビタミンC誘導体は人によってはヒリヒリとした刺激を感じたり、肌荒れが生じたりするケースがあります。日本国内で販売されているスキンケアアイテムは刺激の少ない5%前後のものが多いですが、ドクターズコスメの場合だと30%という高濃度なものも。
最初から高濃度のアイテムを使うのではなく、必ず濃度の低いものから試していくようにしましょう。ビタミンC誘導体が配合された化粧品を初めて取り入れる時は、手首や二の腕でパッチテストをしておくと安心です。
また、普段は問題なく使えていても、肌の状態によっては赤みやかゆみを感じることもあります。使用頻度や量を減らすなど、肌の状態に合わせて使い方を調整するのも大事なポイントです。
ビタミンC誘導体配合のアイテムをスキンケアに取り入れることで、美白やニキビ予防、肌の弾力の維持など、ビタミンCが持つ効果を効率的に得られます。自分の肌に合ったものを継続的に使用すれば、より効果を実感できるでしょう。ビタミンC誘導体が入ったアイテムで、ハリのある美肌を目指してみてはいかがでしょうか。
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東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。 麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。 院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。