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コッツフォード良枝先生
エイジングケアは美肌に欠かせないアプローチ方法です。しかし、具体的にどうすれば良いか分からない人も多いはず。エイジングケアを始めるタイミングとポイント、エイジングケアのキーワードである抗酸化作用に優れた植物「ヤチヤナギ」について解説します。
目次
エイジングケアは肌トラブルのない、すこやかな肌を保つために欠かせません。まずは、エイジングケアの概要や始めるタイミング、エイジングサインなどを紹介します。
エイジングケアとは、年齢による肌の変化に合わせたお手入れのこと。具体的にはハリや弾力の減少、シミやくすみなど、加齢によってあらわれる肌トラブルに応じたスキンケアを指します。老化に対抗するというよりも、「年齢を受け入れた上で必要なケアを取り入れ、すこやかな肌を目指す」といった意味合いの言葉です。
エイジングケアが必要になるのは、加齢による肌トラブルを感じたタイミング。肌トラブルのあらわれ方は人によって異なりますが、一般的には30歳前後で肌の変化を感じる人が多いようです。
これは、20代後半から肌の代謝が低下したり、みずみずしい肌を保つために必要なコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった美肌成分が減少したりするのが理由です。そのため30~40代はもちろん、20代後半からエイジングケアを意識できると良いでしょう。
肌は加齢とともに変化し、10~20代前半とは異なる悩みが生じます。下記のエイジングサインをチェックして、ケアを始めるタイミングの目安にしてみてください。
<エイジングサイン>
肌の老化は「酸化」「糖化」「炎症」の三大要因によって進行します。酸化は肌や体に悪影響を及ぼす活性酸素の増加、糖化は細胞にダメージを与えるAGEs(終末糖化産物)の生成、炎症は細胞の老化を促進します。
エイジングケアではすべての要素を意識することが大切ですが、なかでも酸化は肌の老化だけではなく疾病も引き起こすため、日々のスキンケアや食事で対策しましょう。肌の老化を進行させる活性酸素と、エイジングケアで重要な抗酸化について紹介します。
老化の原因の一つと言われているのが、活性酸素の増加です。活性酸素とは、呼吸で取り込んだ酸素の一部が変化したもの。免疫機能や感染防御などの役割を担っていますが、増えすぎると健康な細胞も攻撃し、酸化させてしまいます。すると老化やシミ、シワなどの肌トラブル、ガンや生活習慣病を引き起こす原因になります。
活性酸素は加齢とともに増えるとされていますが、ストレスや紫外線、喫煙や飲酒、食品添加物の摂取、過度な運動などでも増加すると考えられているので、日々の生活習慣にも注意が必要です。
抗酸化とは、活性酸素の発生や働きを抑えて酸化を防ぐことを指します。老化の原因となる活性酸素を抑える力なので、エイジングケアには欠かせません。人の体にはもともと抗酸化作用が備わっていますが、20代をピークにその力は低下していきます。そのため、抗酸化作用のある食べ物やスキンケアアイテムなどを取り入れ、自身の抗酸化力を高めることが大切です。
エイジングケアには、下記のような栄養素を食事やスキンケアに取り入れるのがおすすめです。
<ビタミンA>
ビタミンAに分類されるβ-カロテンが抗酸化作用に優れています。緑黄色野菜に多く含まれる栄養素です。
<ビタミンC>
抗酸化作用の高さに加え、コラーゲン生成や免疫機能を高める働きがあります。緑黄色野菜、イモ類、果物などから摂取できます。
<ビタミンE>
ビタミンA・Cと一緒に摂取すると相乗効果が期待できます。ナッツ類の他、卵やウナギ、かぼちゃなどに多く含まれています。
<ポリフェノール>
アントシアニン、カテキン、イソフラボン、エラグ酸などの種類があり、どれも優れた抗酸化作用を持ちます。なかでも注目したいのは、抗酸化作用と美白効果があるとされ、ベリー類やナッツ類に多く含まれるエラグ酸です。
<カロテノイド>
動植物に存在する黄色、または赤色の色素成分で、高い抗酸化作用を持ちます。緑黄色野菜、マンゴーやパパイヤなどの果物、海藻類、甲殻類などに多く含まれます。
<ミリセチン>
抗酸化や抗炎症作用に加え、アルツハイマー病への有効性が示唆されている栄養素です。お茶やワイン、ケール、オレンジなどに多く含まれています。
上記で紹介したポリフェノール、エラグ酸、ミリセチンを多く含む植物として、いま注目されているのが“ヤチヤナギ”。次項からは、そのヤチヤナギについて詳しく紹介します。
今、エイジングケアに重要な抗酸化作用を持つ植物として、ポリフェノールを豊富に含むヤチヤナギに注目が集まっています。2003年、国産オーガニックコスメブランドのメゾンレクシアが、日本で初めて※ヤチヤナギ使用の化粧品原料(整肌成分)を開発しました。ヤチヤナギとはどんな植物なのか、メゾンレクシアの研究データをもとに、その優れた美容効果を紹介します。
※ヤチヤナギエキス、ヤチヤナギ葉水を日本で初めて表示名称に登録
ヤチヤナギとは、ヤマモモ科ヤマモモ属の落葉小低木。樹高は30~60センチで、やや光沢のある黒褐色の枝と2~7センチの葉が特徴です。強い芳香を有し、ウッディで薬草のような香りを放ちます。
ヤチヤナギの分布場所は、ヨーロッパおよび北東アジアから北米の寒冷湿地です。日本では北海道の釧路湿原を始めとする多くの湿地に自生していますが、そのほとんどが国立公園やラムサール条約湿地などの保護区に指定されています。
ヤチヤナギの基変種であるセイヨウヤチヤナギは、ヨーロッパでハーブとして親しまれてきました。料理やお酒の香り付けとして用いられてきた歴史がありますが、現在は資源保護のため利用に制限がかけられています。
<参考文献>
『新訂 原色牧野和漢薬草大図鑑』(岡田稔 新訂監修・三橋博 旧版監修/北野館)
『ヤチヤナギの芳香成分に関する研究』(中田真悠子/東京農業大学 博士論文)
メゾンレクシアの最新の研究※によって、ヤチヤナギにはポリフェノールの一種であるエラグ酸や、ミリセチンが豊富に含まれていることが判明しました。抗酸化作用が高いとされる緑茶葉と比較しても、ヤチヤナギ葉はエラグ酸、ミリセチンともに20倍の量を有している結果に。
また、ヤチヤナギ全草に含まれるポリフェノール量は、レーズンの30倍に及ぶことが研究結果として出ています。抗酸化作用の高いポリフェノールを多く有する食べ物としてはブドウが有名ですが、それ以上の量をヤチヤナギは有しているのです。
※日本食品分析センターにて測定した定量値を、メゾンレクシアにて比較(ポリフェノール、エラグ酸、ミリセチン)
さらに、エキス化したヤチヤナギの抗酸化試験(SOD様活性、過酸化脂質生成抑制)※では、高い抗酸化作用をあらわす結果が出ました。ポリフェノールを多く含むとされる赤ワイン(一般市販品)と比較したところ、SOD様活性では2.9倍、過酸化脂質生成抑制では4.7倍の抗酸化作用があることが判明しています。
この研究結果からも分かるように、ヤチヤナギは抗酸化作用が高く、大きなエイジングケア効果が期待できるでしょう。
※(株)きれいテストラボにて実施した抗酸化試験(SOD様活性、過酸化脂質生成抑制)の結果を、メゾンレクシアにて比較検証
エイジングケアでは、活性酸素の増加を抑える抗酸化ケアに加え、保湿や紫外線対策なども意識しましょう。具体的なケア方法を紹介します。
エイジングケアを行う際は、ヤチヤナギのような優れた抗酸化作用を持つ植物配合のスキンケアアイテムを選ぶのがおすすめ。また、そもそもエイジングケアとは年齢に応じたお手入れを指すので、今の肌悩みにアプローチしてくれる成分配合のアイテムに切り替えるのも有効です。
肌悩み | 着目したい主な成分 |
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シワ、たるみ、ほうれい線 | ・レチノール ・バクチオール
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毛穴の開き | ・ビタミンC誘導体 ・エラスチン
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乾燥 | ・ヒアルロン酸 ・セラミド
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エイジングケアでは保湿を心がけ、肌の乾燥を防ぐことが大切です。年齢を重ねるにつれ保水力は低下し、肌が乾燥しやすくなります。乾燥は肌のバリア機能低下を招き、シワ、かさつきにつながります。
化粧水で水分を与え、乳液やクリームの油分で水分の蒸発を防ぐといった基本のスキンケアはもちろん、保湿効果の高い美容液を取り入れるなどの対策で、乾燥から肌を守りましょう。
紫外線は活性酸素を増加させ、シミやシワ、たるみなどの老化を招くとされています。紫外線から肌を守るには、日焼け止めの塗布や、帽子やサングラス、日傘の使用といった対策が必要です。紫外線は1年中降り注いでいるため、季節や天候にかかわらず毎日対策しましょう。
肌のターンオーバーは加齢とともに乱れやすくなります。ターンオーバーの乱れは乾燥によるハリ、弾力の低下や、角質肥厚によるくすみなどの原因になります。
エイジングケアのためにも、バランスの良い食事や良質な睡眠、適度な運動など、生活習慣を見直してターンオーバーを整えましょう。食事は活性酸素を増やすとされる添加物や油を避け、抗酸化物質を含む食べ物を取り入れるのがポイントです。
エイジングケアでは活性酸素の増加を抑えることが大切です。ヤチヤナギのような抗酸化作用の高い美容成分を配合したスキンケアアイテムを取り入れたり、抗酸化物質を豊富に含む食べ物を摂取したりすれば、エイジングケアに役立つはず。基本のスキンケアや紫外線対策、生活習慣の改善なども心がけて、すこやかで美しい肌を目指しましょう。
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山梨大学医学部卒業後、日本医科大大学付属病院麻酔科学講座入局ののち、大手美容外科、野本真由美クリニック東京院の院長を経て、銀座禅クリニックの院長に就任。TVやWEB、雑誌などメディア出演も多数。