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コッツフォード良枝先生
ポリフェノールは抗酸化作用に優れていることから、美容への効果が期待できる成分です。ポリフェノールの気になる美容効果や、ポリフェノールを豊富に含むスキンケア製品の原料として今注目の植物、ヤチヤナギについて詳しく紹介します。
目次
植物が持つポリフェノールには、さまざまな種類があります。まずは、健康や美容面で注目されているポリフェノールとはどのような成分なのかを見ていきましょう。
ポリフェノール(polyphenol)とは、植物の光合成によって生まれる苦味や色素成分のこと。「たくさんの(poly)フェノール(phenol)」という意味の通り、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基を含む植物成分の総称です。老化の原因となる活性酸素を抑制する働きに優れているとされ、近年では健康や美容面で注目されています。
ポリフェノールには5,000以上の種類があると言われています。大きく分類すると、色素成分を指すフラボノイド系と、苦味成分などを指すフェノール酸系の2つ。それぞれの代表的な種類は次の通りです。
フラボノイド系ポリフェノール | ・カテキン
・イソフラボン
・アントシアニン
・ルチン など
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フェノール酸系ポリフェノール | ・タンニン
・エラグ酸
・リグナン
・クルクミン
・クロロゲン酸 など
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ポリフェノールは美容に良い効果がある成分として注目されています。期待できる主な効果をチェックしていきましょう。
ポリフェノールには強い抗酸化作用があるため、肌老化の原因となる活性酸素を無力化する効果が期待できます。活性酸素は紫外線やストレス、乱れた食生活など、さまざまなきっかけで発生します。
活性酸素によって肌が酸化すると、肌の弾力やうるおいを保つために必要なコラーゲンやエラスチンの生成が阻害されて、シワやたるみの原因に。ポリフェノールによって活性酸素の生成や細胞への攻撃が抑制されると、シワやたるみの予防といったエイジングケアに大きな期待ができます。
ポリフェノールの中には、紫外線による色素沈着を防いでシミを予防する効果が期待できるものも存在します。シミの主な原因は、メラニン色素の過剰な生成です。紫外線を浴びるとチロシナーゼと呼ばれる酸化酵素が活性化して、メラニン色素の生成が促されてしまいます。
ポリフェノールの一種であるエラグ酸は、チロシナーゼの活性化を抑制する作用を持っているため、シミの原因となるメラニンの生成を防ぐことができます。
生姜に含まれるショウガオール、ジンゲロール、ジンゲロンのように、ポリフェノールの中には血流を促し代謝を高める効果を持つものもあります。血流が促進されると栄養が体に行き渡りやすくなり、新しい肌細胞の生成が活発になります。
その結果、肌のハリやうるおいの維持に欠かせないコラーゲンやエラスチンも生成されやすくなります。肌の生まれ変わりのサイクルであるターンオーバーが活性化することでも、すこやかな肌を保ちやすくなるでしょう。
ポリフェノールは食べ物や飲み物、多くの植物に含まれていますが、含有量はそれぞれ異なります。ポリフェノールが多いと言われている、代表的な飲食物と植物を紹介します。
ポリフェノールを含む食べ物は、野菜や果物が中心です。
野菜 | ・ブロッコリー
・アスパラガス
・ほうれん草
・ごぼう
・トマト
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果物 | ・ブルーベリー
・ぶどう
・カシス
・すもも
・いちご
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その他 | ・チョコレート
・玄米
・豆類
・そば
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玄米やそばにポリフェノールが含まれるのは、原料が植物だからです。
ポリフェノールを多く含む代表的な飲み物は次の通りです。
特に赤ワインとコーヒーはポリフェノールが群を抜いて多いことで知られています。しかし健康的に取り入れるためには、他の食べ物や飲み物とのバランスを考慮することも大切です。
先述したように、ポリフェノールはほとんどの植物に含まれています。なかでもその含有量の多さで、いま注目が集まっているのがヤチヤナギという植物です。その他にもツバキやバラ、キクなど、食用として用いられることもある草花や、食用ではないものにも含まれています。
ヤチヤナギはポリフェノールを豊富に含み、美容への高い効果が期待できる植物です。ヤチヤナギの特徴や注目される理由、美容面で期待できる効果を紹介していきます。
ヤチヤナギは湿地帯を中心に自生するヤマモモ科の落葉小低木です。名称は湿原を指す「谷地(ヤチ)」と、葉が柳に似ていることから付けられました。樹高は30~60センチほどで、黒褐色の光沢のある枝に2~7センチの葉を付け、花が茶色で目立ちにくいのが特徴です。
主にヨーロッパや北東アジア、北米の寒冷湿地に分布し、日本では北海道や本州の高層湿原の一部に自生しています。しかし近年は湿地帯が減少していることから、ヤチヤナギは絶滅危惧の希少植物として扱われています。
ヤチヤナギのもう一つの大きな特徴が、清々しいウッディな香りを持っていること。その香りにはリラクゼーション効果があると言われています。ヨーロッパでは古くから料理やお酒の香り付けに用いられ、日本でもヤチヤナギ入りのビールが製造・販売されています。
<参考文献>
『新訂 原色牧野和漢薬草大図鑑』(岡田稔 新訂監修・三橋博 旧版監修/北野館)
『ヤチヤナギの芳香成分に関する研究』(中田真悠子/東京農業大学 博士論文)
植物の力を贅沢に活かした独自処方の化粧品を展開するメゾンレクシアは、20年以上も前からヤチヤナギの美容効果に着目し、自社ファームでの栽培と研究を重ねてきました。2023年、最新のエビデンス調査※では、ヤチヤナギ全草に含まれるポリフェノール量がレーズンの約30倍にも及ぶことが判明。
さらに葉の部分だけで、美白効果のあるエラグ酸が緑茶葉の約20倍、抗炎症作用のあるミリセチンは緑茶葉の約20倍も含まれていることから、ヤチヤナギはエイジングケアに理想的な植物であることが実証されました。
※日本食品分析センターにて測定した定量値を、メゾンレクシアにて比較(ポリフェノール、エラグ酸、ミリセチン)
さらに抗酸化試験(SOD様活性、過酸化脂質生成抑制の試験実施)※では、ヤチヤナギが非常に強い抗酸化力を持っていることが確認できました。試験では、ポリフェノールが多く含まれていることで有名な赤ワインと、ヤチヤナギエキスを比較しています。
<SOD様活性の結果>
<過酸化脂質生成抑制の結果>
SOD様活性、過酸化脂質生成抑制それぞれの検査で、ヤチヤナギエキスは赤ワインよりも高い抗酸化力を持っていることが判明しました。
SOD様活性のSODとは、活性酸素を分解する酵素のこと。過酸化脂質は肌や体に悪影響を与えるとされる物質で、脂質の不飽和結合に活性酸素が反応して生成されます。活性酸素を分解する力に優れ、過酸化脂質の生成を抑制する効果も高いヤチヤナギは、エイジングケアに効果的と言えるでしょう。
※(株)きれいテストラボにて実施した抗酸化試験(SOD様活性、過酸化脂質生成抑制)の結果を、メゾンレクシアにて比較検証
人はポリフェノールを自力で生成することはできません。ポリフェノールを摂取する方法やポイントを見ていきましょう。
野菜や果物、コーヒーなど、ポリフェノールが多く含まれた食品をバランスよく食事に取り入れるのが摂取方法の基本です。ただし、健康や美容に効果的なポリフェノールの摂取量はまだはっきりと判明していません。加えて、ポリフェノールが体内に留まって力を発揮するのは3~4時間ほどと言われ、大量に摂取しても体内に蓄えることはできずに排出されてしまいます。
そのためポリフェノール配合の食べ物や飲み物は、朝・昼・夜とこまめに摂ると良いでしょう。手軽なのは飲み物ですが、野菜から摂りたい場合は生野菜や茹で汁、だし汁を活用するのがおすすめです。
ヤチヤナギのようなポリフェノールを多く含む植物成分が配合されたスキンケア製品を使って、肌に美容成分を与える取り入れ方もあります。カテキンやイソフラボンなど、化粧品にはポリフェノールが配合されたものも豊富です。ヤチヤナギに含まれているポリフェノールの一種であるエラグ酸は、1996年に美白有効成分と承認されているため、医薬部外品としても人気があります。
ポリフェノールはエイジングケアや美白など、すこやかで美しい肌づくりのサポートをしてくれる成分です。ポリフェノールを多く含む植物はさまざま。スキンケアで取り入れたい場合は、いま話題のヤチヤナギが使われたアイテムを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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山梨大学医学部卒業後、日本医科大大学付属病院麻酔科学講座入局ののち、大手美容外科、野本真由美クリニック東京院長を経て、現在はGINZA Zen禅クリニック院長、銀座プラタナクリニック医院長を務める。TVやWEB、雑誌などメディア出演も多数。