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花房火月 先生
メイク崩れ、肌のテカり、ニキビや毛穴の開き、黒ずみなど、さまざまな肌トラブルを抱えてしまうのがオイリー肌。特に春夏になると悩みが増えやすく、どうにかしたいと思っている方も多いはず。そこで今回は、オイリー肌から脱出するための正しいスキンケアの方法を、肌のプロである皮膚科医の先生にお聞きしました。
目次
オイリー肌とは、皮脂が過剰に分泌され、べたついたりテカったりしやすい肌質のこと。特に額から鼻筋にかけてのTゾーンは皮脂腺が多く集まっており、オイリーになりやすい部分。Tゾーンは毛穴が目立ち、黒ずみになりやすいのも特徴です。また、一見すると水分、油分ともに十分に見えても、肌の内部が乾燥していて、それが原因で肌表面の皮脂が増える、乾燥性脂性肌(インナードライ)の場合も。
こちらのチェックに1つでもあてはまる場合は、脂性肌の可能性が高いです。
□メイクが崩れやすい
□肌をさわるとべたべたする
□脂っぽく、テカって見える
□Tゾーンや頬などに、黒ずみ毛穴が目立つ
オイリー肌になる原因は、生まれつき持つ体質やホルモンの変化によるものも多いのですが、特に栄養バランスの悪い食事や不規則な生活習慣、間違ったスキンケアが原因となって引き起こされることも。
また、春夏は気温と湿度が高くなるので、皮脂の分泌量が増加する時期。元々オイリー肌の人だけでなく、乾燥肌でも皮脂が多く出てしまう方、年齢によるホルモンバランスの乱れにより皮脂が多くなってしまう方など、いろいろな原因が考えられます。特に、乾燥性脂性肌(インナードライ)は、生活習慣や加齢など環境によってなりやすいと言われています。
脂性肌の悩みのほとんどは、皮脂の過剰分泌に伴うトラブルです。主に、次の3つが脂性肌の悩みとして挙げられます。
ニキビは、肌細胞が生まれ変わるターンオーバーのサイクルが乱れ、皮脂汚れや角質が毛穴に詰まって、アクネ菌が繁殖することによって起こります。オイリー肌の人は、毛穴に皮脂が詰まりやすいため、普通肌の人よりもニキビができやすい状態にあります。
オイリー肌の人は皮脂腺が発達しているため、皮脂と古い角質が混ざり合った角栓ができやすくなっています。さらに、毛穴に詰まった皮脂は酸化すると黒くなり、黒ずみ毛穴になりやすいのも特徴。詰まった毛穴が厚くなり、肌表面がぼこぼこして見えることも。
オイリー肌の場合、朝に時間をかけてメイクを仕上げても、午前中には崩れ始めることも。もともと皮脂の分泌量が多いため、メイクでさらに油分を肌へプラスしてしまうと、余計にテカリや皮脂崩れを起こしやすくなります。さらにメイクを直しすぎて厚塗りにしたり、カバー力のある油分の多いコスメを使用してしまうと、余計に肌トラブルの原因に。
オイリー肌、インナードライ肌ともに大事なのは水分。水分の保持能力を上げることが大事になってきます。
皮脂は放っておくとニキビなどの原因になるため、洗顔は朝晩行うのが基本ですが、洗浄力が強すぎる洗顔剤の使用や、ゴシゴシこすったりして皮脂を取りすぎるのも逆効果。皮脂はうるおいを維持して、刺激や乾燥から肌を守る役割も果たしていますので、落としすぎると水分を補うために皮脂が大量に分泌されてしまいます。
洗顔のポイントとしては、泡で優しく洗い、肌への刺激をなるべく避けることが大切。たっぷりの泡を作り、肌に触れたか触れないかという程度に優しく、滑らせるように洗顔を行って。
余分な皮脂とメイク汚れは、毛穴を詰まらせる原因になりますので、肌を清潔に保つことは大事。ただし洗顔同様に刺激を与えるのはNG。摩擦が少ないジェルやオイルタイプなどでやさしくメイクとなじませ、しっかり丁寧に落とすのがおすすめです。
脂性肌の方は基本的にオイルを使っていない、オイルフリーなどの表記があるアイテムがおすすめ。油分が入っていない乳液や美容液なら、ベタつきのない仕上がりになるので脂性肌の人にも使いやすいと思います。
一方、乾燥性脂性(インナードライ)の場合は、肌の内部は乾燥している状態ですので、保湿力の高い化粧水や乳液などを使用して十分に保湿し、乾燥を防ぎましょう。
正しいスキンケアを怠らないことはもちろん大切ですが、食べ物や生活習慣など体の内側から改善することも重要です。
洗顔や保湿などのスキンケアが正しくできていても、生活習慣が乱れていては、肌の状態が思うように改善できない可能性も。バランスのとれた食事や十分な睡眠をとるように心がけることは、肌のためにも大事なこと。また、ストレスもホルモンバランスに影響を与え、皮脂の分泌を促進してしまいますから、適度に運動をする、ゆっくりとお風呂に入るなど、自分に合った方法を見つけてストレスや疲労回復を行って。
脂質の代謝を促して、適正な皮脂の分泌を保つ効果があるのが、ビタミンB群。ビタミンB群が不足すると、皮脂分泌のバランスが失われて、肌が脂性に傾きやすくなるため、意識して摂りたい栄養素のひとつ。ビタミンBはさまざまな食物に含まれていますので、バランスよく摂るのがおすすめですが、その中でも、特にレバーや納豆、海苔、鶏卵、キノコ類などに含まれる「ビタミンB2」は積極的にとりたい栄養素。普段の食事に少しだけ意識して、ビタミンBをプラスしてみてください。
肌トラブルが長引く、何をしても改善されないといった場合は、専門医に一度相談してみることもおすすめ。プロの目で客観的に肌を分析してもらうと、現在の状態を客観的に把握でき、自分の肌質に合った正しいケアを行えます。状況によっては薬の処方が必要な場合もありますから、自己流のケアで悪化させる前に相談をしてみてください。
(花房火月先生)
保湿効果の高いダマスクローズやヒマワリなど厳選した植物から抽出された濃密な植物エキスが、肌の奥に秘められた力を引き出してくれる化粧水。上質なうるおいで満たし、しっとり柔らかな肌へと導いてくれます。スキンケアの効果をさらに高めてくれるような、清潔感のあるフローラルの香りです。
毛穴の開きや詰まり、黒ずみなど、オイリー肌の人がとくに気になる悩みには、クレイパックがおすすめ。微粒子の天然クレイとエモリエント成分によるクリームで、毛穴奥の細かい汚れまで吸着し、ベタつき肌もスッキリ。硬くなった肌を柔らかくほぐし、頑固な角質や酸化皮脂を一掃してくれるので、ケア効率の良い肌へ生まれ変わります。1回たった5分でOKでOKなので、洗顔のついでにぜひ取り入れてみて。
2006年東京大学医学部医学科卒業後、がん研有明病院や東京大学医学部附属病院などでの研修を経て、東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線レーザー科・助教。2011年三鷹はなふさ皮膚科を開設の後、東京・埼玉で7院を開院。難治性の皮膚疾患をはじめ、薄毛、シミ・シワなどの美容皮膚科にも取り組む。著書に『やっぱり美人は、かかりつけの美容皮膚科を持っていた』など。