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監修者:NPO法人日本メディカルハーブ協会認定(JAMHA):ハーブ&ライフコーディネーター、メディカルハーブコーディネーター 薬剤師 徳永景子
パチュリとはシソ科の植物で、香水や化粧品、漢方などに使用されるハーブの一種です。大地をイメージさせる独特な香りがあり、フレグランス界においてはオリエンタルな雰囲気を出したい時などに重宝されます。本記事ではパチュリの特徴や効能効果、使用時の注意点、人気のフレグランスや、パチュリの精油を使ったおすすめブレンドレシピを紹介します。
目次
監修者:NPO法人日本メディカルハーブ協会認定(JAMHA):ハーブ&ライフコーディネーター、メディカルハーブコーディネーター 薬剤師 徳永景子
パチュリは、古くから解毒剤などの薬として使用されてきたシソ科の植物です。オリエンタルな香りを楽しめることから、現在では香水や化粧品に使われています。まずは、パチュリの特徴を見ていきましょう。
パチュリはパチョリとも呼ばれており、シソ科ミズトラノオ属に分類されるハーブの一種です。漢方では、カッコウ(霍香)という名称がついています。昔から虫よけや解毒剤、入浴用の薬草として重宝された歴史を持ちます。また漢方では、下痢や嘔吐、解毒に有効な植物として用いられてきました。
パチュリという名前は、南インドに住むタミル人の言語が由来。タミル語で「緑の葉」を意味する「パッチャ・イライ」が元になっていると言われています。パチュリの花言葉は「隠蔽(いんぺい)」。
パチュリは主にインドネシアやインド、マレーシア、パラグアイなどの熱帯地方で生育し、1メートルほどの背丈に育つ多年草です。熱帯地方で育つ植物であるため、寒さに弱い性質を持っています。生育の適温は20~30度と高めです。
パチュリはスモーキーさがあり、土を想起させる香りが特徴です。その香りは「墨汁のような香り」と例えられることも。エキゾチックで落ち着きのある、オリエンタルな香りでもあります。
また、パチュリは香りが比較的強めなので、ニオイ消しの目的でも使用されてきました。オリエンタルな香りは、色っぽさやドラマティックなムードを演出したい時にも大活躍してくれます。
古くから薬や入浴剤の薬草として用いられてきたパチュリ。香りの奥深さから香水の調香に重宝されるなど、現在でもさまざまな製品に使われています。アロマスプレーならルームフレグランスとしてお部屋を良い香りにできますし、アロマバスやアロママッサージにパチュリの香りを選んでリラックスするのもおすすめです。
パチュリを使ったお香やアロマキャンドル、アロマストーンの他、石鹸のようなボディケアグッズなどアイテムのバリエーションも豊富なので、ぜひお気に入りのものを見つけてみてください。
パチュリの香りには精神を安定させるリラックス効果があります。また、健康や肌にも良い影響を与えると言われています。ここからは、パチュリがもたらす効能・効果をチェックしていきましょう。
広大で温かな大地を想起させるパチュリの香りは、心を落ち着けてくれます。大木がしっかりとした根を張るような、地に足が着いた安定感と安心感を得られるでしょう。そのため不安やイライラを和らげたい時や、情緒が不安定になっている時におすすめしたい香りです。
精神を穏やかに保ち深いリラックス効果をもたらしてくれるだけではなく、やる気や創造力を高めてくれるのもポイント。仕事や作業の合間に使うのも効果的です。
漢方としても使用されているパチュリは、体を温める性質を持っているため冷えに効果的。消炎作用があり、免疫力が低下している時にも活用したいハーブです。
それだけではなく、腸の水分量を調整するはたらきがあるため、便秘や消化不良といった消化器の不調改善も期待できるでしょう。また、更年期障害やPMSのような女性特有の症状を和らげる力も持つとも言われています。
パチュリはスキンケアアイテムに取り入れられることもある植物です。皮膚の軟化と細胞の成長を促す作用があるため、肌の再生効果が期待できます。また収れん作用もあり、ニキビやたるみを予防したい時にもおすすめです。
シミやシワ、くすみなどのエイジングケアとして用いるのも効果的。肌を整えてくれるので、炎症やかゆみ、湿疹といった肌トラブルを改善させたい時にも上手く活用したい植物です。
パチュリの香りには虫が苦手な成分が含まれています。そのため、パチュリは子どもやペットがいて、化学的な薬剤を使用したくない人も安心して使えます。コットンにパチュリ精油を数滴含ませ、シンク下に置いたり、衣類の引き出しの中に入れたりしておくと良いですよ。
パチュリの香りは単体だと個性が強いと感じるかもしれません。ですが、他の香りと組み合わせると絶妙なアクセントとして香りに深みを与えてくれるでしょう。ここでは、パチュリと相性の良い香りを紹介します。
レモンやライム、グレープフルーツ、ベルガモットといった柑橘系の香りはパチュリと相性抜群。ぜひ、柑橘系をメインにしてパチュリを加えてみてください。みずみずしく爽やかな香りにパチュリのスモーキーさがアクセントとなって、奥行きや深みが増します。
土をイメージさせるパチュリは、柑橘系と同様に土から芽吹くフローラル系の香りとも好相性です。
例えば、華やかでエキゾチックなムードを演出できるイランイラン。フレグランスアイテムの王道とも呼べるラベンダーも、パチュリと相性が良い香りです。フローラル系の軽やかな香りにパチュリを足すと、奥行きや深みを感じさせられますよ。
ウッディでミステリアスなイメージのものが多い樹脂系の香りとも、パチュリの香りは相性抜群。樹脂系はパチュリと香りの系統が似ています。2つの香りの相乗効果でエキゾチックさが増し、より大人っぽい表情になります。深く落ち着ける香りなので、心を鎮めたい時にも重宝する組み合わせです。特にミルラ、フランキンセンスがおすすめです。
稀少な天然香料から紡ぎだす繊細な香りが魅力の「メゾンレクシア」から、心を優雅に満たす、パチュリ香るおすすめフレグランスを紹介します。
重ね使いも試しやすい10mLボトルもあるので、気分やシーンにあわせて、自分だけの香りを楽しめます。
普遍的な愛を意味する、儒教の「仁」に由来するオードパルファム。爽やかな風を運ぶフレッシュな柑橘にローズが美しく調和し、針葉樹のグリーンと神聖な香木が香りに奥行きを与えます。心が解放され、懐かしく穏やかな安らぎへ誘います。
心ときめくような出会い。偶然に訪れる幸運。人生の喜びを色とりどりの果実と花々で鮮やかに描き出すオードパルファム。ピンクペッパーを効かせたシトラスに甘酸っぱいベリーとプラム、可憐なフリージアが調和する、希望に満ちた香りです。
パチュリと相性の良い、柑橘系、フローラル系、樹脂系の香り。パチュリと香りをブレンドして、芳香浴を楽しんだり、化粧水を手作りしたりしてみてはいかがでしょうか。ここでは、おすすめのブレンドレシピを具体的に紹介します。
スパイシーなパチュリと、甘くて爽やかなベルガモットのブレンドです。ベルガモットには鎮静作用があるので、気持ちをゆったりとさせてくれるでしょう。リラックスタイムに最適の香りです。
【ブレンドレシピ】
イランイランにパチュリをブレンドすると、イランイランの甘さがより引き立ちます。上品な色っぽさのある香りに仕上がりますよ。さらに気持ちを穏やかに鎮めてくれるサンダルウッドをプラスすると、安眠効果も期待できるでしょう。
【ブレンドレシピ】
パチュリとフランキンセンスは、心を落ち着かせてくれるブレンドです。どちらも鎮静作用があり、不安やストレスから心を解放してくれるでしょう。抗菌作用や抗ウイルス作用も期待できるため、風邪の予防にもおすすめです。
【ブレンドレシピ】
パチュリ精油を多量に使用すると、神経を刺激してしまいます。そのため生理中の人や低血圧の人は、使用を避ける方が安心です。パチュリは香りが強く持続性も高いので、少量でも十分香ります。少しずつ使用するようにしてください。
心を落ち着かせ、体の不調を整えてくれる効果も期待できるパチュリの香り。独特の香りと表現されることが多いパチュリは、落ち着きや深み、オリエンタルな雰囲気を演出したい時に欠かせない存在です。さまざまな香りとの相性も良いので、好きなフレグランスを重ね付けしたり、精油をブレンドしたりと、自由に楽しんでみてはいかがでしょうか。
WEBメディアディレクター。妊娠・出産中に感じた心身の変化をきっかけに、ハーブに興味を持ち、学ぶ。ハーブティーや料理、フレグランスなど、手軽に取り入れられる『ハーブのある暮らし』を送る2児の母。時々薬剤師として働きながら、企業のWEBメディア作成に携わる。