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監修者:メゾンレクシア 調香師
甘く官能的な香りとして知られるムスク。さまざまな香水やシャンプー、柔軟剤など身近なものにも使われています。ムスクには稀少な天然香料から人工的に作られる合成香料、調合された香りまで多彩な種類があり、中でも最近知名度が高いのはホワイトムスクです。本記事では、ムスクとホワイトムスクの違いや香りの特徴、香りの持つ効能効果などについて解説します。
目次
監修者:メゾンレクシア 調香師
さまざまな製品に使われている良く知られた香料である、ムスク。男性にも女性にも好まれる香りで、多くの香水にも含まれています。まずはムスクとはそもそもどんなものなのか、ムスクが使われている製品や、香りの種類について紹介します。
ムスクとは、本来ヒマラヤなどに生息するジャコウジカ(麝香鹿)から採れる香料を指しています。ジャコウジカの雄には生殖器とおへその間に麝香腺という器官があり、交尾期が近づくとそこからわずかなゼリー状の半液体が分泌され、その香りが雌を引き付けます。そしてこの麝香腺の中で固化したものがジャコウ(麝香)と呼ばれるもの、すなわちムスクです。
しかし、天然ムスクはワシントン条約により取引が禁止されているため、現在はほとんど流通していません。過去、ムスク製造のためにジャコウジカが乱獲された時代があったためです。現在はほぼ、合成されたムスクが代わりに使われています。
現在のムスクは合成香料がほとんどであり、よく耳にするのがホワイトムスクと呼ばれるものです。これは香料の正式な成分名ではなく、天然ムスクの代わりに使われる合成ムスクの通称として用いられることが一般的です。天然のムスクをイメージさせる、透明で白くやわらかな香りが特徴です。
この通称ホワイトムスクと呼ばれる合成されたムスクと他の香りの配合次第で、ムスク系の香りは自由自在に作れます。これに分類される香りは、パウダリームスク、レッドムスク、クリスタルムスク、ウッディムスクなどたくさんあります。
ムスク系の香料は、香水によく使われています。香りの持続性が高いため残り香を生み、ベースノートに使われるのが一般的です。その他、生活の中で日常的に使用するさまざまな製品にも使われています。例えば石鹸やシャンプー、ボディソープ、ルームフレグランス、柔軟剤などです。
稀少な天然のムスクと、ムスクに似せた合成香料の通称であるホワイトムスク。名前は似ていますが、2つは異なるものです。ここでは、ムスクとホワイトムスクの違いについて詳しく見ていきましょう。
天然のムスクとホワイトムスクは、原料が異なります。本来のムスクはジャコウジカ由来で動物性なのに対して、合成ムスクの通称であるホワイトムスクは、植物精油や石油などが原料です。
また、植物由来のアンブレットシード精油なども、ムスクと似た香りとして知られています。
天然のムスクとホワイトムスクは、香調を表現する用語でどちらも「ムスキー」と呼ばれますが、香りは異なります。
本来のムスクはジャコウジカの分泌物を原料としています。この分泌物の主要な香気成分は、ムスコンと呼ばれるものです。ムスコンは、メスを呼び寄せるフェロモン様の作用を持つとされています。ムスコンは肉感的で艶っぽい香調で、他の香料にはない官能的な香りが特徴です。
一方のホワイトムスクは、お風呂上がりのような、ふわっとした香りと言われることが多いです。肌のニオイとなじむと、艶っぽく温かみのある香りになるのは、天然ムスクと同様ですが、粉っぽいイメージがあり、ベビーパウダーのようだと表現する人も少なくありません。
天然のムスクは薬として使われていた歴史があり、中国では今でも漢方薬として用いられているようです。コレラの予防や精神衰弱、ぜんそくに効果があるとも言われています。また、ムスクの原料となるジャコウジカの分泌物には、メスを引き寄せたり、縄張りを示したりする効果があるとされています。興奮作用や催淫作用があるため、媚薬としても使われていました。
ホワイトムスクにも催淫作用やリラックス効果があるとされますが、これには根拠がありません。ただし、異性を惹きつける効果はあると考えられています。
稀少な天然由来から合成まで、多くの香水に使われているムスクは、香りの持続性が高くベースノートに使われることの多い香料です。長時間香水の香りを楽しみたいなら、ムスク系の香水を選んでみても良いでしょう。また、香水を付ける時は正しい付け方を知っておくことも大切です。ここでは香水の付け方や付ける時の注意点を解説します。
香水を付ける前は、塗布する部分を清潔にします。汗をかいていたり、前に付けた香水が残ったまま重ねたりすると、他の香りと混ざってしまいます。香水を消臭目的に使用しても効果はありません。香水を付ける前は入浴する、またはウエットティッシュなどで体を清潔にしてくださいね。
デオドラントスプレーを使いたいなら、無香料のものがおすすめです。無香料のものであれば香りが混ざることなく、香水が本来持つ香りを楽しめるでしょう。
香水は付けすぎないように気をつけてください。自分では香りを弱く感じても、周りには思っている以上に十分香っています。種類にもよりますが、ほとんどの香水は1プッシュで十分です。特に香りが濃厚なパルファムは、1滴でもしっかり香ります。1ヵ所1プッシュを目安に、2~3ヵ所に付けます。さりげなく香らせたいなら、ハンカチやコットンにプッシュしたものを付ける方法もありますよ。
香水を付けるベストタイミングは、出かける30分ほど前です。その理由は、香水の香りが時間とともに変化するためです。香水は、時間の経過とともにトップノート、ミドルノート、ベースノートと変化します。
最初に香るトップノートの持続時間は5~10分ほどで、香りの主役であるミドルノートは30分~2時間。そして、ベースノートは香水を付けた約2時間後に香り始めます。この特徴を活かして、出かける30分ほど前に香水を付ければ、家を出る頃にはちょうど主役のミドルノートが香り始めるタイミングというわけです。
纏う人の魅力を引きだす、甘やかなムスクの香り。そこでオススメしたいのが、2024年3月に、繊細な香りの変化をより楽しめる、持続性の高いオードパルファムに生まれ変わった「メゾンレクシア」のフレグランスです。
稀少な天然香料の魅力を際立たせたメゾンレクシアから、おすすめのムスクの香り2選をご紹介します。
フェミニンでありながらも天真爛漫で、芯の強さと陽気さに溢れつつも慎ましい、多面的な女性の魅力を感じさせるオードパルファム。弾けるシトラスに華やかなフレッシュローズ、甘くパウダリーなスウィートムスクがやわらかく溶け合います。
心ときめくような出会い。偶然に訪れる幸運。人生の喜びを色とりどりの果実と花々で鮮やかに描き出すオードパルファム。ピンクペッパーを効かせたシトラスに甘酸っぱいベリーとプラム、可憐なフリージアが調和する、希望に満ちた香りです。
私達の生活の中にも多く取り入れられているムスクの香り。甘さと清潔感を併せ持つムスクの香りは、男性・女性を問わず、多くの人を魅了しています。現在は天然のムスクを使った香水を入手するのは困難ですが、ホワイトムスクと呼ばれるムスクで十分その香りを楽しめます。多種多様なムスクの中から、自分好みの香りを見つけて身に纏ってくださいね。
みずみずしい生命力にあふれる植物の“香気”を、肌と心にまっすぐ届けるメゾンレクシアの調香師。纏う人の心を満たし日常を鮮やかに彩る“香りのアート”を描くために。繊細で複雑な香料のわずかなコンディションの違いを読み取り、フレグランスはもとより、スキンケア&メイクアップタイムを優雅なひとときへと昇華させる香りを紡ぎだしている。