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監修者:公益社団法人 日本アロマ環境協会認定環境カオリスタ、アロマテラピー検定1級 藤巻慧子
アールグレイの香りづけとして広く知られているベルガモット。みずみずしく爽やかな香りは、香水の香料としても人気です。またアロマテラピーにも用いられ、精神安定やストレスケア、安眠などの効果があると言われています。今回は、ベルガモットの香りが楽しめる香水の選び方やつけ方、おすすめのフレグランス、オリジナル香水の作り方を紹介します。
目次
監修者:公益社団法人 日本アロマ環境協会認定環境カオリスタ、アロマテラピー検定1級 藤巻慧子
爽やかな香りのベルガモットは、ミカン科の柑橘類。その果実は生食用ではなく、ほとんどが香料として使われています。特に女性の愛用者が多いと言われるベルガモットの香りについて見ていきましょう。
ベルガモットはイタリアが原産地であり、その名前はイタリア北部の「ベルガモ」や、スペインの「ベルガ」などの地名が由来となっているという説もあります。果実はゆずのように皮がボコボコとしているのが見た目の特徴です。紅茶の香りづけとしてもよく知られており、特にベルガモットの豊かな香りを楽しめるのがアールグレイです。
歴史を見てみると、16世紀頃より香りを楽しむために植物などから精油が抽出されるようになり、王侯貴族の間で香料を身に着けるのが流行しました。上質のアルコールとベルガモット精油を主原料とした“ケルンの水”と呼ばれる芳香水も、人気を博した香料の一つです。その人気は、かの有名なナポレオンも愛用としたと言われているほど。
現在、香水の一種として知られるオーデコロンは、このケルンの水に由来しています。ベルガモットは、香料産業の発展にも一役買ったと言える存在なのです。
ベルガモットの香りの成分には、酢酸リナリルやベルガプテン、ベルガモテン、リナロール、リモネンなどが含まれています。酢酸リナリルはラベンダーにも多く含まれる成分で、リラックス効果が期待できます。
ベルガプテンは特徴成分で、光毒性を持つフロクマリン類の一つです。光毒性とは、肌につけた状態で日光に当たると、シミや炎症などの皮膚トラブルを起こしてしまう性質のこと。そのため、ベルガモット精油を肌につけた状態で紫外線を浴びるのは避けてくださいね。
ちなみに「ベルガモットFCF」という精油もあります。これはフロクマリン類を取り除いた、光毒性のないベルガモット精油なので、日中でも安心して使用できます。
ベルガモット精油は圧搾法で抽出されます。香りの強さは弱~中で、香水ではトップノートやミドルノートに用いられます。相性が良いのは、同じ柑橘系のレモンやフローラル系のラベンダー、ハーブ系のクラリセージなどです。
ベルガモット精油の香りにはリラックス効果の他、気分を落ち着ける効果や安眠効果があると言われています。緊張が和らいで、ストレスの解消やリフレッシュに役立つでしょう。ベルガモットの香りを吸入すると、ストレスホルモンを減らし免疫力がアップしたという実験結果もあるほどです。
また、ベルガモット精油は消臭効果やストレスからくる消化器系の不調を整える作用も持っています。さらに殺菌作用もあるため、吹き出物やニキビなどを改善し、美肌に導く効果も期待できます。
自分に合った香水を選ぶために、まずは香水の種類や香りの濃度など、基本的な知識について身に着けましょう。ベルガモットの香りは他の香料とも相性が良く、さまざまな香水に配合されています。数ある中から、自分に合ったベルガモットの香水を選ぶためのポイントを解説します。
香水は4種類に分けられます。
オーデコロン | さっぱりとした香りが多いオーデコロン。持続時間が短く、気分をリフレッシュしたい時に気軽にひと吹きできるので、お気に入りの香りを一つ持っていると便利です。 |
オードトワレ | 種類が豊富で、日常使いしやすいオードトワレ。軽い香りが多いので、プライベートからオフィスまで幅広いシーンで纏えます。 |
オードパルファム | しっかりとした香りを楽しめるオードパルファム。香りの与える印象が強いので、プライベートやパーティーに向いています。 |
パルファム | 奥行きを感じる香り立ちのパルファム。少量でも濃厚に香り、長時間楽しめます。 |
香りの濃度によって、相手に与える印象も変わります。香りの変化や持続時間が違うため、選ぶ際は濃度もチェックしましょう。先ほど紹介した4種類の香水は「賦香率(ふこうりつ)」と呼ばれる、アルコールに香料を溶かした割合で分類されています。購入に迷った時は、賦香率を目安にするのも一つの方法です。
種類 | 賦香率 | 持続時間 |
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オーデコロン | 3~5% | 約1~2時間 |
オードトワレ | 5~10% | 約3~4時間 |
オードパルファム | 10~15% | 約5時間 |
パルファム | 15~25% | 約半日~1日 |
ひと口にベルガモットの香水と言っても、香りの配合量の違いによって、それぞれ印象が異なります。ベルガモットは、主にトップノートとして使われます。例えば、トップノートでベルガモットが強く感じられる香水なら爽やかな印象になります。
そしてトップノートのベルガモットよりも、ミドルノートの強い香水ならやわらかい印象、ベースノートの香りが一番強いなら深みがある印象です。
また、ブレンドする香料によっても、洗練された大人の雰囲気、爽やかな清涼感のある雰囲気など印象が変わるので、購入する前にどんな香りなのか実際に試してみましょう。
せっかくの香水もつける場所やつけ方を間違えると、相手を不快にしてしまうことがあります。ここでは、ベルガモットの香りを爽やかに楽しむために知っておきたい、香水の上手なつけ方を紹介します。
香水は揮発性があるため、体温が高く汗をかきにくい場所は香りやすくなります。しっかりと香らせたい時は、耳のうしろやうなじ、ひじの内側など、太い血管が通っている部分につけるのがおすすめ。一方、温度が上がりにくい場所につけると香り立ちを抑えて楽しめます。
また、香りは下から上へと立ち上る性質のため、下半身につけるとほのかな香りを楽しめます。同じ香水でも、体質によって香り方は変わります。体温が高い人は香水が強めに香り、汗をかきやすい人は汗のニオイと香水の香りが混じりやすいので、つける量を軽めにするのがおすすめです。
持続時間が約1~2時間のオーデコロンは香りやすいように、素肌に直接ひと吹きすると良いでしょう。
一方、オードトワレやオードパルファムは、香りの濃度は低いですが、つけた瞬間の拡散性の高さが特徴。そのため、人に会う直前につけるのは避けてくださいね。また、相手に対して香りがきつくなり過ぎない、腰から下や背中にひと吹きするのもおすすめです。
香りの濃度が高いパルファムは、肌の近くで香る性質があります。手首やうなじなど脈を打つ場所につけ、体温であたためて香らせるようにします。
香水は時間の経過とともに香りが3段階に変化します。それぞれの特徴を押さえ、香りの移り変わりを考えてつけると、ワンランク上の楽しみ方ができますよ。
<トップノート>
つけた瞬間の香り、香水の第一印象とも言えるトップノート。つけてから10分ほど持続します。ベルガモットを含む柑橘系の香りは揮発性が高いため、トップノートに楽しめることがほとんど。ただ、重ねづけすると香りがきつくなることもあるので注意しましょう。
<ミドルノート>
香料本来の個性が楽しめるミドルノート。つけて約30分後から香り始め、約2時間後まで持続します。ミドルノートをメインで香らせたいならば、外出する30分前に香水をつけて調節するのがおすすめです。
<ベースノート>
香水をつけてから2時間を経過する頃には、残り香とも言われるベースノートに変化します。香水の種類によって持続時間は異なり、フローラル系はトップノートからベースノートまで約12時間、ウッディ系は約24時間も香りを楽しめると言われています。
一般的に、肌に直接つけることが多い香水ですが、ほのかな香りを楽しみたい人は、香りを小物に忍ばせてみてはいかがでしょうか。香水をつけたコットンをインナーに挟む、ハンカチに一吹きするといった方法でも香りを楽しめます。小物からベルガモットの上品な香りが漂うたびに、心が満たされそうですね。
避けたい香水のつけ方も押さえておきましょう。
<髪の毛に直接つけない>
髪の毛はついた香りが取れづらいので、おすすめできません。また、香りは下から上へ立ち上るため、体の上部分ではなく下部分につける方が効果的です。
<服に直接つけない>
香水を服に直接つけるとシミの原因となってしまいます。服に香りづけしたい時は、香水をひと吹きしたハンカチを服に押しあてて香りを移してください。
<つけ過ぎない>
いつも同じ香水を使っていると香りに慣れてしまい、気づかぬうちにつけ過ぎてしまうことも。つける量やつけ直す回数に注意し、ほのかに香る程度に留めておくと上品な印象を与えます。
稀少な天然香料から紡ぎだす繊細な香りが魅力の「メゾンレクシア」のフレグランスから、ベルガモットが香る人気のオードパルファム2選をご紹介します。
フェミニンでありながらも天真爛漫で、芯の強さと陽気さに溢れつつも慎ましい、多面的な女性の魅力を感じさせるオードパルファム。弾けるシトラスに華やかなフレッシュローズ、甘くパウダリーなスウィートムスクがやわらかく溶け合います。
普遍的な愛を意味する、儒教の「仁」に由来するオードパルファム。爽やかな風を運ぶフレッシュな柑橘にローズが美しく調和し、針葉樹のグリーンと神聖な香木が香りに奥行きを与えます。心が解放され、懐かしく穏やかな安らぎへ誘います。
香水にはたくさんの種類がありますが、なかなか自分好みの香りに出会えないこともありますよね。そんな時は自分で香水を作ってみましょう。精油を使えば、簡単に自分好みの香水を作れます。ここでは、ベルガモット精油を使ってオリジナルブレンドの香水を作る方法を紹介します。
精油を使った基本的な香水の作り方を紹介します。
【材料】
【作り方】※精油1滴は0.05mL
使用する精油を変えることで、さまざまな香りを楽しめます。アルコールが肌に合わない人は、無水アルコールの代わりにホホバオイルが低刺激でおすすめです。体へ使う時は精油の割合を1%以下、顔へ使う時は0.1〜0.5%以下を目安にしましょう。
肌に合うかどうか不安な人は、必ずパッチテストを。ベルガモット精油は光毒性がある精油なので、手作りする時は必ず「ベルガモットFCF」を使用してくださいね。
<ブレンド量>
ベルガモット15滴、パチョリ1滴、ペパーミント4滴
ベルガモットの爽やかさを、スパイシーなパチョリが際立ててくれます。ミント系の中でも強い清涼感のあるペパーミントで、よりすっきりした印象の香りに。
<ブレンド量>
ベルガモット13滴、ベンゾイン2滴、ネロリ5滴
ベンゾインのバニラのような甘い香りが、心の緊張を解きほぐしてくれます。ネロリは天然の精神安定剤の異名を持つ香りなので、心を落ち着けたい時にぴったりのブレンドです。
爽やかで上品な雰囲気が魅力のベルガモットの香水。心を落ち着かせ、気持ちをリフレッシュさせるその香りは、心も明るく華やかにしてくれます。毎日の生活の中で癒しがほしい時に、ベルガモットの香水をひと吹きしてみてはいかがでしょうか。
WEBメディアディレクター。コンテンツSEOに特化したライターの育成も行う。自分自身の心身の健康のため、精油を学ぶ。心地よさを重視した、感覚ファーストな香り選びが得意。好きな精油TOP3はネロリ、コリアンダー、イランイラン。