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吉岡 容子 先生
紫外線対策に欠かせない日焼け止め。肌に負担をかけずに、きちんと紫外線を防ぐには、日焼け止めの正しい選び方を知っておくことが大切です。肌質やシーンによるおすすめの日焼け止めタイプ、日焼け止めの正しい落とし方、マスク着用時の紫外線対策などについてご紹介します。
目次
吉岡 容子 先生
紫外線はあらゆる肌トラブルのもとであることは広く知られています。紫外線から肌を守るために、日常的に日焼け止めを使っている人も多いと思います。
ただ、強い日焼け止めを使い続けていると、かえって肌に負担を与えることになりかねません。肌への刺激を最小限にするには、日焼け止めの種類や効果を知って、正しく選び、使い分けることが必要です。
日焼け止めに含まれる主な紫外線カット剤には、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2種類があります。
紫外線吸収剤は、肌の上に塗った日焼け止め自体に紫外線を吸収させ、熱などの赤外線に変換して外に放出することにより、紫外線が皮膚に侵入するのを防ぐもの。一方、紫外線散乱剤は、皮膚の表面で光を反射させ、紫外線を散らすものです。
一般的に、紫外線吸収剤を使用している日焼け止めの方が、紫外線を防ぐ効果が高い傾向にあります。ただ、人によっては強い刺激が肌に負担を与えてしまうこともありますので、皮膚の弱い方、アトピー性皮膚炎の方、小さなお子様やご高齢の方が使うときには注意が必要です。
最近はパッケージに「紫外線吸収剤不使用」や「紫外線散乱剤使用」と書いてあるものも多いので、そうした表記を見て選ぶようにすると良いでしょう。
暑い季節は汗をかいて日焼け止めが落ちてしまうのを気にして、ウォータープルーフの製品を使う人も多いですが、使用には注意が必要です。
ウォータープルーフ製品には、肌への刺激が強い成分が入っている傾向があり、アレルギー反応を起こすことがあります。海やプールに行く日にスポットで使用するのは良いですが、夏の期間ずっと継続的に使っていると、秋や冬になって炎症を起こしたり、かゆみが長引いたりしやすくなります。
汗をかく季節もこまめに塗り直せば問題ありませんので、日常的にはウォータープルーフにこだわりすぎず、肌に優しいものを使うようにしましょう。
製品における紫外線を防止する効果は、「SPF」や「PA」の値で表されます。
紫外線は波長によって、「UVA」と「UVB」に分けられ、それぞれに対応する効果の指標が「SPF」と「PA」です。
<UVAとUBVの違い>
・UVA
波長が長く、地表に届く大半を占める紫外線です。エネルギーは弱いですが透過性が高く、肌の奥にまで入り込み、肌のハリや弾力を失わせたり、シミやたるみなどの老化現象につながったりします。
・UVB
波長が短く、強いエネルギーを持つ紫外線です。肌の表面に影響を与え、日焼けの原因になります。また、メラニン色素が沈着し、シミやそばかすを作り出すこともあります。
SPFは「Sun Protection Factor」の略で、UVBを防ぐ指標として使われています。数値が大きいほど紫外線防止効果が高く、最も数値が高いものは「SPF50+」と表示されています。
日常生活では、SPF20ほどで充分紫外線を防ぐことができます。それ以上のものを使い続けると肌に負担になることがあるので注意しましょう。
PAは「Protection Grade of UVA」の略で、UVAを防ぐ指標となっています。効果の強さは「+」で表現され、「PA+」~「PA++++」の4段階に分けられています。
「+」の数が多いほど、紫外線防止効果は高くなっていますが、日常生活であれば、「PA+」でしっかり効果を発揮してくれるでしょう。
ファンデーションや化粧下地にもSPFやPA値が入っているものが多いので、メイクをする人であれば、化粧品を使うことによって、日焼け止めをわざわざ使わなくても良い場合もあります。ただ、値が強いものであっても、塗り残しや塗りムラがあると意味がありませんので、丁寧に塗ったりこまめに塗り直したりすることを心がけましょう。
ウォータープルーフのタイプを落とすときは、クレンジングが必要です。オイルクレンジングは汚れを落としすぎてしまう可能性があるので、ミルクタイプかジェルタイプのものをおすすめします。メイクを落とすような感じで、やさしく丁寧に、あまり時間をかけずに洗うようにしましょう。
ウォータープルーフ以外のものであれば、石鹸で落とせます。洗浄力の強いクレンジングを使うと、お肌に必要な水分も出ていってしまいます。特に夏は毛穴が開きやすく、水分が放出されやすい環境になっているため、気をつけましょう。
マスクをしていれば日焼けをしないと思っている人がいるかもしれませんが、紫外線はマスクを通過して肌に到達します。日焼けや紫外線による肌トラブルを防ぐためには、マスクをしているときも日焼け止めを塗る必要があります。
服を着ていると日焼けをしにくいことからわかるように、マスクをしていれば、肌に届く紫外線量を減らすことができます。ただ、完全に遮断してくれるわけではないので、マスクの有無に関わらず、顔全体に日焼け止めを塗ることが大切です。
日焼けや紫外線によるダメージが特に気になる方は、マスクから顔が出ている部分は多めに塗ると良いでしょう。
ちなみに、布マスクであればUVカット加工がされているものもあります。人が密集しやすい場所では不織布のマスクの方が良いですが、屋外ではUVカットできる布マスクを使用するのもおすすめです。
マスクの中は蒸れることがあるので、日焼け止めが落ちやすくなりがちです。皮膚から出た汗や余分な皮脂を放っておくと、日焼け止めが落ちて紫外線の影響を受けやすくなるだけでなく、雑菌が繁殖してニキビができるリスクも高まります。
2~3時間おきには鏡を見て確認し、皮脂や汗が出ていたら、布やガーゼ、ティッシュなどで優しくオフし、上から日焼け止めを塗り直しましょう。
こまめな日焼け止めの塗り直しで、余分な皮脂も出にくくなります。
日常生活の中でマスク焼けになることはほとんどありません。しかし、レジャーやスポーツなど、日差しの強い屋外に長時間いるときは、マスクをしている部分とそうでない部分のところに、日焼けの痕がついてしまうことがありますので、しっかりと日焼け止めを塗り、帽子をかぶるなどして対策を行いましょう。
また、冬でも紫外線は降り注いでいるので、日焼け止めは1年中必要です。ただし、強い日焼け止めを使い続けると肌に負担がかかってしまうので、日常使いには肌に優しいものを選ぶようにしましょう。
特に日焼け止めがうまく選べなかったり、肌が荒れてしまったりする人は、日焼け止めだけに頼らず、帽子や手袋、サングラスなども上手に使用して、肌に負担をかけない日焼け対策を心がけましょう。
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紫外線対策は、強い日焼け止めを使うのではなく、肌に優しいものを丁寧に使い続けることが大切です。
製品に含まれる成分や効果の強さを理解し、シーンや肌質に合った日焼け止めを選ぶようにしましょう。
東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。 麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。 院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。副院長として勤務しています。