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監修者:あいち栄クリニック 寺田紗央里 先生
日焼け止めは夏のイメージが強いですが、紫外線は一年を通して降り注ぎ、曇りや雨の日も地上に届きます。日頃から美容に気を使っている人ならば、特に顔の日焼けが気になるのではないでしょうか。この記事では、顔用日焼け止めを選ぶ時のポイントや塗り方、おすすめのアイテムを紹介します。
目次
監修者:あいち栄クリニック 寺田紗央里 先生
日焼け止めは使用しているけれど、何となくで選んでいるという人もいるかもしれません。日焼け止めは、メーカーや種類によって紫外線を防ぐ効果の高さに違いがあり、使用するシーンや肌質に合わせて選ぶことが大切です。そこでまずは、日焼け止めの基礎とともに、選び方のポイントをみていきましょう。
太陽光に含まれる紫外線はA紫外線(UVA)とB紫外線(UVB)の2種類。A紫外線は波長が長く肌の奥の真皮まで届くため、シワやたるみの原因になると考えられています。一方、B紫外線はエネルギーが強いため、表皮の炎症を起こしやすく、シミやソバカスの原因になるといわれています。この2種類の紫外線から肌を守り、日焼けを防ぐのが日焼け止めの役目です。
日焼け止めのパッケージに「SPF」や「PA」と記載されているのを見たことがあるでしょう。SPFとは、B紫外線を防ぐ効果を数値で表したもので、SPF1〜50+で表示されます。またPAは、A紫外線から肌を守る効果を表したもので、+から++++までの4レベルで表示されます。どちらも数値が大きいほど、日焼け止め効果が高いといえます。
SPFやPAの数値が高いものを選んでおけば安心と思われるかもしれませんが、大切なのは、紫外線を浴びる時間や強さに合った日焼け止めを選ぶこと。日焼け止め効果の高い商品は耐水性の高いものも多いですが、クレンジングの際に容易に洗顔で落ちない場合や、タオルで擦り洗いする必要があるものは肌への負担になります。通勤や買い物といった日常生活、屋外での軽いレジャー、海やプールといった炎天下でのレジャーなど、生活シーンに合わせて使い分けましょう。
生活シーンに合わせたSPFとPAの数値目安
・通勤や買い物などの日常生活:SPF10〜20、PA++
・屋外での軽いレジャー:SPF30以上、PA+++
・炎天下でのレジャー:SPF50以上、PA++++
顔用日焼け止めは、その多くがスキンケアや化粧下地の効果を併せ持っています。顔用と体用の日焼け止めは分けて販売されていることが多いので、顔には顔専用の日焼け止めを選びましょう。
しかし一方で「体用の日焼け止めは顔に使えないの?」という疑問を抱えている人もいるのではないでしょうか。体用の日焼け止めは、全身に塗り広げられるよう、伸びやすい性状を持っています。テクスチャ-や使用感が気にならなければ、たいていは体用のものを顔に塗っても問題ありませんが、顔は手足などの体に比べて皮脂腺が多いため、皮脂腺を詰まらせない成分を使用した顔用のアイテムを選ぶ方が安心。また、顔の皮膚は体の皮膚に比べて1/3程度の薄さのため、皮膚への負担が気になる方も顔用のものを選ぶ方が良いでしょう。
顔の皮膚は体に比べて薄くデリケートなので、肌質に合わせた日焼け止めを選ぶことも重要です。日焼け止めを塗ると肌の乾燥を感じることがあります。これは、紫外線吸収剤に含まれるエタノールが乾燥を増長させていたり、もともと皮膚のバリア機能が低下しているため、乾燥を引き起こしている場合もあります。
特に肌の乾燥を感じやすい敏感肌・乾燥肌の人には、クレンジングを使わず石けんだけで落とせる低刺激の日焼け止めや、肌に潤いを与える保湿力の高い日焼け止めがおすすめです。
日焼け止めをしっかりと塗っていたはずなのに気付けば日焼けしていた、ということはありませんか。日焼け止めは正しく塗らないと紫外線を防ぎ切れず、シミやシワなどの原因になることも。そうならないためにも、顔用日焼け止めの塗り方やタイミングを確認しておきましょう。
日焼け止めを塗ってから効果が発揮されるまでには、個人差もありますが、約15〜30分ほどかかるといわれています。そのため、効果的に肌を守りたいならば、外出の約30分前に塗るのがおすすめ。朝の忙しい時間帯は、日焼け止めを塗ってから外出の準備をするなど、うまく時間を調節しましょう。
乾燥して肌の状態が悪いと、紫外線の影響をより受けやすくなります。顔に日焼け止めを塗る前は、乾燥する冬はもちろん汗をかく夏でも、しっかりと保湿するようにしましょう。化粧水などで肌を保湿し整えたら、下記のように日焼け止めを塗りのばします。
・真珠の粒2個分ほどを手のひらに取り、顔全体にムラなくのばします。薄く塗りすぎていては、表示されているSPFの効果を発揮できません。
・顔の内から外、下から上へとのばし、手のひらで軽く押さえるようにしてなじませます。
・首にも上から下へすべらせるようになじませましょう。
塗り残しが出やすいフェイスラインや髪の生え際、耳も忘れずに。また、鼻や頬の高い部分は日焼けしやすいため、他の部分よりも少し念入りに塗りましょう。
日焼け止めは、一般的に1SPFにつき20分間持続するとされています。しかし、時間の経過とともに汗で流れたり、こすれて取れたりするので、約2時間おきに塗り直すよう心がけると良いでしょう。
きれいに塗り直すためには、まず濡れたティッシュやコットンで皮脂をおさえ、肌表面を平らにします。メイクがよれてしまうので、汗をかいたままの肌に塗り直しをするのは避けましょう。パウダータイプやスティックタイプ、スプレータイプなど、外出先でも簡単に使える日焼け止めであれば、塗り直しに便利です。
スプレータイプの日焼け止めは、成分が沈殿しやすいので、よく振ってから使うようにしましょう。スプレータイプの顔用日焼け止めは、直接顔にスプレーできますが、均等に塗るのが難しいことも。そんな時は、スプレーした後に顔全体をハンドプレスしてなじませます。また、スプレーした手のひらで顔全体を包み込んで塗る方法もおすすめです。
顔は肌の日焼けとともに乾燥も気になる部分。そんな顔用の日焼け止めは、日焼け止め効果と保湿効果の両方を併せ持つものを選びたいですね。ここでは保湿成分がたっぷりと配合されたおすすめの顔用日焼け止めを紹介します。
発酵の力で乾燥による過剰な皮脂を抑え、紫外線から肌を守るデイクリーム。独自の酵母発酵エキス(整肌保湿成分)による豊かな保湿力と高い浸透性※で肌に潤いを与え、ざらつきが気になる肌も、なめらかな肌へと整えます。みずみずしいしいテクスチャーで塗りやすく、肌に心地良くなじむのも魅力。メイク落としの時も肌に負担をかけることなく、素早くオフすることができ洗い上がりもすっきり。グリーンの効いたスウィートフローラル調の香りでメイクタイムも華やかに。
※角層まで
紫外線や乾燥のダメージから肌をしっかりと守るデイクリーム。濃密な植物成分がみずみずしさを与え、1日中なめらかでツヤのある肌へと導きます。顔はもちろん、のびの良いテクスチャーなので、首や腕の保湿・日焼け対策にも使用可能。フローラルブーケに爽やかなグリーンを合わせたフレッシュな香りです。
顔用を含む日焼け止めは、朝一度塗れば十分というわけではありません。日焼け止めの効果を得るには、外出の30分前までには塗り込み、こまめに塗り直すことが大切です。また、日焼け止めは肌質やシーンに合わせて使い分け、肌へ過度な負担をかけないよう注意しましょう。
顔はメイクもあるだけに、日焼け止めの使用について悩むことも多いですが、保湿・美容成分が配合されたスキンケア効果のあるものや、スプレー・パウダータイプといった塗り直しがしやすいものもあります。これらをうまく活用して、紫外線から肌をしっかりと守りましょう。
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藤田医科大学を卒業後、名古屋大学付属病院、小牧市民病院の皮膚科医局員として勤務。 現在はあいち栄クリニックで皮膚科・美容皮膚科の担当医として勤務しています。