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あなたは毎日、正しく洗顔できていますか?洗顔は、健康で美しいお肌をつくる、スキンケアの基本です。どんなに良い化粧品を使っても、洗顔が正しくできていなければ意味がないと言っても過言ではありません。ここでは、年齢や肌質、季節に応じた正しい洗顔方法をご紹介しますので、今一度自分の洗顔方法を見直してみてください。
目次
吉岡 容子 先生
健康で美しいお肌をつくるために欠かせないのが、正常な肌のターンオーバーであり、洗顔はその機能を促す重要なお手入れになります。なぜなら、皮脂や汚れが付着したままの皮膚では、毛穴がつまったり、古くなった角質が剥がれにくくなったりして、正常なターンオーバーが行われなくなるからです。
皮脂や汚れ、花粉などの汚れを朝晩しっかり落とすのは、スキンケアにおいてとても重要なステップなのです。
1日の洗顔回数は朝晩2回で十分です。それ以上は洗いすぎと考えてください。
時間をかけるのではなく、素早く洗い、洗顔料が肌に残ることのないよう、すすぎは念入りに行うようにしましょう。
朝晩顔を洗うときには洗顔料を使うのが基本です。水やぬるま湯だけで済ませる方もいますが、それだけでは落ちない汚れが、顔の表面には付着しています。皮脂や菌、ウイルス、埃、花粉などは、水だけでは落とせませんので、きちんと洗顔料を使用して洗うようにしましょう。
菌は、水だけで洗うとかえって繁殖してしまうこともあります。そうするとニキビの原因にもなってしまうので、朝晩必ず洗顔料を使用し、肌を清潔な状態に保つよう心がけましょう。
一部、重度のアトピー性皮膚炎の方の場合は、洗顔料の使用をおすすめしないこともありますが、塗り薬を使っている方は、薬がずっと肌につきっぱなしの状態も良くありません。肌にやさしい洗顔料を使い、一度きれいに汚れを落としてから、清潔な肌に薬を塗るようにするのがおすすめです。
体の中でも顔は皮膚が比較的薄く、デリケートな部分です。洗顔はゴシゴシ擦るのではなく、やさしく行うのが正解です。間違えたやり方をすると、肌に悪影響になることもありますので、正しい洗顔法を身につけておきましょう。
洗顔料はしっかり泡立てて使用します。きめ細かい弾力がある泡をつくり、お顔と指の間に泡を挟むようなイメージで洗うようにしてください。泡立ちが不十分な状態で、指で直接顔を擦って摩擦を起こしてしまうと、お肌を傷めてしまうので注意しましょう。
洗顔料を選ぶときは、大きくわけて2つのポイントを見ることが大切になります。
ひとつは、汚れをきちんと落とせること。もうひとつは、肌にやさしい成分が使われていることです。
洗顔料の主な役割は、汚れをきちんと落とすことです。「高保湿」や「肌に栄養を与える」といった要素よりも、しっかり洗浄できることを重視して選んでください。
一方で、必要なうるおいまで落としてしまうような、洗浄力が強すぎるものには注意が必要です。皮膚の強さは部位によって異なるので、手を洗う石鹸を選ぶ感覚で洗顔料を選ぶことは避けましょう。化学物質や香料などの添加物の量が多いほど、アレルギーを起こす可能性が高くなるため、購入するときは配合成分を確認してみてください。
商品の価格は、主に開発費や原料費が反映されたものです。植物エキスなど、肌にやさしい成分は高価なので、商品の価格が上がってしまう傾向にありますが、それだけ品質が良くなっています。選ぶときの参考にしてください。
泡が付着する時間を長くするため、洗うときはまず皮脂が多いTゾーンから行いましょう。その後、頬の広い部分、顎と進み、乾燥しやすい目元や口元は最後にさっと洗って流します。すすぎの回数は問いませんが、洗い残しが無い状態にすることが大事。シャワーを直接肌に当てて流すのもOKです。指で強く擦ることがないようにしてすすぎましょう。
女性の肌は年齢によって状態が変化します。10代~20代前半までは皮脂が多くなりやすいので、洗浄力がしっかりとしているものを使いましょう。
20代後半以上になると、より肌を傷めないよう、成分にこだわりがあるものを選ぶことをおすすめします。エイジングケアができるものや、肌にやさしく洗えるものを使うと良いでしょう。
年代を問わず、皮脂量が少ない方や皮膚が薄い方は、落としすぎない洗顔料を使うことが大切です。洗ったあとにつっぱる感じがするものは避けるようにしてください。
普通肌の人は、基本的に汚れを落とすことを優先して洗顔料を選んで問題ありません。あまり神経質になりすぎる必要はありませんが、ニキビが多くできている場合はニキビ専用のものを使ったり、肌が敏感に傾いているときは敏感肌用のものに変えたり、自分の肌の状態に合わせて洗顔料を使い分けると良いでしょう。
花粉が飛ぶ時期は、付着性皮膚炎になる方も多いです。肌がピリピリ、ヒリヒリしたり、赤みが出たりするときは、普段の洗顔料をお休みして、肌にやさしく保湿性の高いものに変えてみてください。
「肌にやさしい」ものの目安は、数多くの成分が入っていないことです。成分表にあまり多くのものが書かれていない、シンプルな処方のものを選ぶようにしましょう。
夏は皮脂が多いから洗浄力が強いものを使い、冬は乾燥しやすいから保湿力が高いものを使用した方が良いと思っている方が多いかもしれませんが、実はそれでは、夏に皮脂を多く出して、冬乾燥する不安定なお肌を作ってしまいます。
理想は季節を問わず、必要なときに必要な分の皮脂が出て、不必要なときには分泌がおさまる肌を作ることです。そのためには、季節によって洗顔料を変えるのではなく、同じものを使い続けてきちんと汚れを落とすことをしながら、化粧水や美容液など、外から補うもので調整していくことをおすすめします。
最初はマイルドなもので肌のコンディションを整えるところから始め、週に数回、しっかり落とすものやピーリング効果のあるものを導入していくなど、少しずつシフトさせていくと、お肌の状態が安定します。
きちんと洗浄を行い、毛穴の詰まりがなくなれば、正常なターンオーバーが促されます。そうすれば、潤いを保つことができる肌に、自然となっていきます。
怖がらず、しっかりと落とすようにしましょう。
最近は、医療現場でも洗顔料を正しく選び、きちんと落とすことの重要性が示されています。
汚れを落とし、肌を清潔に保つのは、スキンケアの基本です。
自分に合った、肌を傷めない洗顔でターンオーバーを正常にし、健康で美しい肌を育てていきましょう。
東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。 麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。 院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。副院長として勤務しています。