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川﨑 加織 先生
気付くとできてしまう鼻の黒ずみ。しっかり洗顔をしているのになぜ毛穴が黒ずんでしまうの? 今回はそんな憎き「毛穴の黒ずみ」の問題を解決すべく、お肌のスペシャリストである皮膚科医の川﨑加織先生に原因から対策までを徹底解説していただきました。
目次
まずは、鼻の黒ずみとなってしまう原因を解説。黒ずみができる過程を知ることで、その後の対処法や気を付けるべきことが見えてきます。
まず原因の一つが皮脂の分泌による、毛穴のつまりです。小鼻は顔の中でも特に皮脂分泌が多いパーツ。皮脂分泌が過剰になると、皮脂がスムーズに排出されず、毛穴を押し広げて皮脂が毛穴につまります。そこへさらに角質などの皮膚の老廃物が混ざり合って角栓を作り、それが酸化して毛穴が黒く見えるようになるのです。
毛穴にしっかりフィットして目立たなくしてくれるファンデーションや下地には、油分が含まれているためしっかり落とさないと、角栓の原因の一つになります。疲れている時などは、クレンジングを省いてつい洗顔料だけで軽くすませたくなる時もありますが、洗顔料は、皮脂汚れを落とす役割があっても、油分を含んだメイクまでは落としきれません。クレンジングをおろそかにしてしまった結果、毛穴の奥の皮脂や汚れが詰まって固まり、酸化してしまうので黒ずみになってしまうのです。
正しいお手入れ方法を紹介する前に、まずは絶対にやってはいけないNGの方法をチェック!実は正しいと思ってやっていたことが、毛穴の黒ずみを悪化させる原因となることも多いので、今までの毛穴ケアを見直してみてください。
毛穴につまった黒ずみを落とそうとゴシゴシと肌を擦ると、肌を傷つけてしまい、必要な皮脂までも取ってしまうため逆効果に。洗顔やクレンジングの目的は、メイクや顔に付いた汚れなどを落とすこと。摩擦が起きないよう優しく行って。
爪や器具などを使って、強く角栓を押し出したりすると、毛穴の周りの皮膚にダメージを与えてしまいます。摩擦で皮膚に傷がついたり炎症を起こすリスクもあるので、絶対に避けてほしい間違ったケア方法です。
角栓がすっきり取れるのが見える、貼って剥がすタイプの毛穴パック。これは鼻全体を覆うため、角栓だけでなく、角質までも一緒にはがしてしまい肌の負担に繋がることも。せっかくのケアが逆効果になってしまうため、使用頻度を守り、ケア後の保湿も忘れずに。
鼻の黒ずみの原因になる角栓は、一度除去してもまたできてしまいますので、取り除くことだけでなく、できにくくすることも大事。ここでは普段のスキンケアやメイクの際に心がけたいポイントをまとめましたので、日々のお手入れの参考にしてみてください。
鼻の黒ずみ、角栓の原因になるメイク汚れをしっかり落とすには、洗浄力の高いタイプがおすすめ。クレンジング剤をなじませる時は、特に角栓が溜まりやすい鼻は、クルクルと円を描くように、ていねいになじませて、肌を擦りすぎないように注意。その後に熱すぎないぬるま湯で、流し忘れがないようにしっかり洗い流しましょう。
洗顔料に関しても、皮脂汚れが残らないようしっかり洗浄できるタイプがおすすめ。夜はお湯だけで洗うという方もいらっしゃいますが、それでは皮脂や汚れをそのまま放置することになるのでNG。洗浄力が強いと、肌が乾燥してしまうという場合は、小鼻の周りやおでこなどTゾーンのみ洗顔料を使用するなど、パーツでお手入れをわけるのもおすすめです。クレンジング同様、人肌程度のぬるま湯で泡残りのないようチェックしながらすすぎを行ってください。
保湿する際に、皮脂の分泌を抑えるようなビタミンCを配合したものや、肌を引き締める役割がある収れん化粧水を使うのも良いでしょう。肌が脂っぽいと感じている方でも、保湿ケアは必須ですが、ワセリンなどを使うとかえって油分が詰まってしまうので、気になるTゾーンだけは、ベタつかずさらっとした仕上がりのものを使うなど工夫してみてください。
鼻の黒ずみの原因となる角栓を予防し、すこやかな肌を保つためには普段の生活習慣を見直すことも大事。とはいえ、仕事や家庭、プライベートに忙しく、すべてを完璧にこなすのは難しいと思いますので、まずはできそうなところから取り入れてみてくださいね。
鼻の黒ずみ対策で注意したいのは、皮脂の過剰分泌につながる糖質と脂質のとりすぎです。特に、糖質と脂質を多く含む、菓子類やスイーツなどの食べ過ぎに注意。心当たりがある人は、なるべく減らすことを心がけてみてください。
また積極的に取り入れたいのは、ビタミンAや亜鉛を含む食べ物。緑黄色野菜などに含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変換されて働きますので、にんじん・かぼちゃ・ほうれん草などの野菜を中心に、うなぎやレバーなどを摂るのがおすすめ。ただし、健康的な肌を育む食事の基本は、栄養素をバランスよく食べること。タンパク質、炭水化物(糖質、食物繊維)、脂質、ビタミン、ミネラルなどをまんべんなく取り入れるのも大事なことです。
睡眠の質はそのまま肌に出てきます。夜更かしをした次の日、肌荒れしたりニキビが出てきた経験がある方も多いはず。逆にぐっすり深く眠った朝は、心身共にスッキリして肌の調子もよく感じますよね。寝ることは心や体の疲れをとるだけではなく、日中に受けた肌ダメージを修復するためにも欠かせないもの。忙しくてなかなか睡眠時間が確保しにくいという人は、短くでもぐっすり眠るための環境づくりから始めてみてください。
毛穴の黒ずみをしっかり対策したいなら、いつものお手入れに毛穴の黒ずみをケアできるアイテムをプラスするのも一つの手。スペシャルケアを取り入れ、クレンジングや洗顔だけでは落とせない汚れやざらつきをオフし、毛穴の黒ずみが目立たない肌を目指しましょう。
おすすめの一つ、クレイパック。微粒子の天然クレイとエモリエント成分によるクリームで、鼻の黒ずみの原因となる、余分な皮脂や毛穴の細かい汚れまでしっかりキャッチし、すっきりとクリアな透明感のある肌をつくってくれます。ただし使用の際は、すすぎ残しがないようしっかり洗い流すことに注意して。
黒ずみ対策で大事なポイントは皮脂分泌のコントロール。今回ご紹介したスキンケアや生活習慣の注意点に加え、スペシャルケアもしっかりと行って、毛穴の黒ずみができにくい美しい肌を目指しましょう。
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皮フ科かわさきかおりクリニック院長。医学博士 日本皮膚科学会専門医 日本抗加齢医学会専門医。 「体の内外から美しくなれるクリニック」をコンセプトに一般皮膚科診療だけでなく、美容医療、頭髪治療なども行っている。またweb雑誌での連載やサプリメント・化粧品の監修などでも、多方面に活躍の場を広げている。