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吉岡 容子 先生
「目に見えるトラブルはないけれど、なんだか肌がつっぱる」「季節の変わり目に、いつもの化粧品がヒリヒリする」そんな症状があるなら敏感肌かもしれません。この記事では敏感肌の基礎知識や敏感肌の化粧水選びについて紹介します。
目次
吉岡 容子 先生
敏感肌とはどのような肌質のことなのでしょうか。実は、敏感肌に明確な定義はありません。何らかの原因により肌の感受性が高まり不安定な状態になっていることを敏感肌といいます。
私たちの肌は、表皮・真皮・皮下組織の3つの層に分かれています。最も外側にある表皮は、皮膚の水分を保持する働きや紫外線・細菌などの外的刺激から体を防御する働きを持っています。
敏感肌に関連しているのは、表皮の一番外側にある「角質層」の部分です。角質層は0.02ミリととても薄い膜。この角質層に含まれる「天然保湿因子(NMF)」と「細胞間脂質」、そして汗と皮脂からなる表面の「皮脂膜」が、バリア機能によって皮膚の水分を保ち、外的刺激から肌を守るという役割を果たしています。しかし、何らかの原因によってバリア機能の働きが弱まると肌が不安定な状態になってしまいます。この状態が「敏感肌」です。
敏感肌の症状は人によって異なりますが、代表的な症状には次のようなものがあります。
・ヒリヒリとしてしみる
・乾燥してカサカサする
・ニキビができやすくなる
・赤み、かゆみが出る
かゆみが出ると、その部分をかいてしまい肌状態が悪化することもあります。また、乾燥すると化粧のりが悪くなり、見た目にも影響を及ぼします。
敏感肌はさまざまな原因によって起こります。複数の原因が合わさって敏感肌を引き起こすこともあります。
敏感肌の原因の一つである乾燥。空気が乾燥する冬場だけでなく、夏場でもエアコンの影響による乾燥が敏感肌の原因になる場合もあります。また、入浴や洗顔が乾燥を引き起こすことも。顔を洗い過ぎると、皮膚表面の皮脂や角質層に含まれる天然保湿因子なども一緒に流出してしまう恐れがあります。加えて、熱すぎるお湯やナイロンタオルによる刺激も、肌の乾燥を助長する原因になります。そのほか、季節の変わり目の寒暖差が肌の乾燥を引き起こすこともあります。
生活習慣が敏感肌の原因になることもあります。私たち人間の表皮は日々新しく生まれ変わっており、この肌の代謝を「ターンオーバー」といいます。睡眠不足や暴飲暴食、極度の運動不足などの生活習慣が、ターンオーバーの乱れを引き起こし、皮膚のバリア機能を低下させてしまいます。
引っ越しや転職などで生活習慣が大きく変わる時も、敏感肌になりやすいため、特に注意が必要です。生活習慣の変化により心身の疲れやストレスが蓄積し、皮膚のバリア機能を低下させてしまうことがあります。
一般的に、年齢を重ねるにつれ、皮脂の分泌量は減っていきます。その結果、肌は乾燥しやすくなり、敏感肌につながります。さらに、皮膚を守る働きがあるメラニン細胞の数も年齢とともに減少し、紫外線の影響を受けやすくなるといわれています。紫外線は角質層の水分を減少させ、肌がカサつく原因になります。
肌に合わない化粧品を使い続けることで皮膚がダメージを受け、敏感肌になることもあります。顔用の化粧品だけでなく、ボディソープやシャンプーなどが敏感肌の原因になることも。洗顔時や基礎化粧品をつける時などにゴシゴシこする行為も、角質層を傷つける原因になります。
敏感肌の原因には、アレルギーや皮膚疾患など、体質によるものもあります。花粉症の場合、花粉そのものも皮膚への刺激になりますが、何度も鼻をかみ、ティッシュペーパーがこすれて肌を刺激し、敏感肌の状態になることもあります。
肌が敏感になっている時は、状態に合ったケアをすることが大切です。ここでは敏感肌のケアのコツを紹介します。
スキンケアの基本は、肌を清潔にすること、そして、しっかりと保湿することです。特に敏感肌の人は、肌が不安定でダメージを受けやすいため、洗顔や保湿を適切な方法でおこなう必要があります。
洗顔
クレンジングは肌の負担になりやすいため、時間をかけ過ぎず優しくおこないます。洗顔料はしっかりと泡立て、泡で撫でるようなイメージで洗います。熱いお湯は刺激になるため避け、ぬるま湯を使うことも大切です。
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保湿
健やかな肌は、水分と油分のバランスがとれた状態です。バリア機能が低下した肌は水分が失われやすいため、保湿は特にしっかりとおこないましょう。
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肌に合わないスキンケア化粧品を使うと肌トラブルにつながる恐れがあります。つけた後、ヒリヒリしたりかゆかったりと、肌に刺激を感じるアイテムは避けましょう。敏感肌用のスキンケア化粧品を選ぶのもおすすめです。
また、新しいアイテムを試す時は必ずパッチテストをおこないましょう。一般的にはパッチテスト用の絆創膏を使いますが、自宅でも簡易的なパッチテストができます。テストの際は、二の腕の内側に化粧品を塗り、30分ほど置きます。肌に刺激などの異常を感じなければ、濡れないように保ち、24時間様子をみます。途中で赤みやかゆみ、炎症などを感じた場合は使用を中止しましょう。
健やかな肌作りのために、生活習慣を整えることも大切です。三食バランスよく食べ、暴飲暴食はできる限り避けたいもの。睡眠はしっかりと取り、適度な運動を心がけましょう。また、紫外線は乾燥の原因になります。UVケアは念入りにおこないましょう。
化粧水の役割は、肌に水分を与え、うるおいのある状態にすること。ここでは、敏感肌のための化粧水選びと、ケアのポイントを紹介します。
目指すのは水分と油分のバランスがとれている、キメの整った肌。肌バリア機能が乱れている敏感肌の場合、化粧水に必要なのは「保湿効果」です。化粧水選びは、保湿効果があり、しっとりした肌に導いてくれるものを選びましょう。どれが自分の肌に合うのか迷う場合は、トライアルセットから試してみるという手もあります。
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洗顔後の肌は、水分がどんどんと蒸発し乾燥してしまいます。そのため、洗顔後は時間を置かず、すぐに皮膚をうるおすことが大切です。敏感肌の人は、化粧水をコットンではなく、手でつけるのがおすすめです。コットンと肌の摩擦は、敏感肌にとって刺激になることがあります。化粧水はたっぷりとつけるのがポイント。手のひらや指を使って、肌を包むように優しくなじませましょう。手の甲を頬に当てた時に、吸いつくような感覚になったら、しっかりと肌になじんだサインです。
また、化粧水だけでは保湿が不十分。化粧水の後は美容液や乳液などで油分を与え、肌のうるおいバランスを整えましょう。
ダマスクバラ花水、ヒマワリエキスなど肌にうるおいとツヤを与える保湿成分を配合した化粧水。浸透※がよく、使うたびに華やかなローズの香りに包まれるのも魅力。キメの整った、みずみずしく健やかな肌へと導きます。
※角層まで
濃密な植物成分を配合した美容液。カカオ脂、ホホバ種子油などの上質なオイル配合で、肌の水分と油分を補い健やかに保ちます。コクがあるのに、さらりとしてべたつかず、ふっくらとうるおった肌を叶えます。ローズなどのエッセンシャルオイルをブレンドした安らぐ香り。
敏感肌のケアには、水分と油分をバランスよく補うことが大切です。化粧水は保湿効果のあるものを選び、肌にたっぷりとうるおいをチャージしましょう。また、毎日しっかりとケアしていても季節の変わり目や疲れがたまっている時などは、肌の状態が悪化してしまうことがあります。症状がおさまらない場合や原因がわからない場合は、皮膚科の受診をおすすめします。
東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。 麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。 院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。副院長として勤務しています。