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監修者:皮膚科医・美容皮膚科医 寺田紗央里 先生
「このテカリはオイリー肌のせい」と思っていたらインナードライだった、という人は多いようです。インナードライは肌のベタつきやテカリはあるのに、肌の内側は乾燥している状態。オイリー肌と間違いやすく、気がつかなければさらに症状を悪化させる原因にもなります。ここでは化粧水の選び方や正しいケア方法を紹介します。
目次
監修者:皮膚科医・美容皮膚科医 寺田紗央里 先生
インナードライという言葉は聞いたことがあるけれど「肌の状態がどうなっているのかよく分からない」という人もいるでしょう。一見オイリー肌と間違われやすいインナードライについて解説していきます。
インナードライ肌とは、肌の水分量が少なく内側は乾燥しているのに、表面は皮脂でテカリやベタつきのある状態、いわゆる「隠れ乾燥肌」のこと。オイリー肌のようにテカリやベタつきが目立つのは、肌の乾燥を防ぐために過剰に皮脂が分泌しているためです。それなのに過剰な洗顔や皮脂を抑えるケアを続けていると、逆に肌の乾燥を悪化させてしまいます。
見た目がオイリー肌と似ているインナードライ肌ですが、いくつかの特徴があります。
洗顔後もすぐにベタついてしまうのがオイリー肌ですが、インナードライ肌は洗顔後は肌がカサつき、時間が経つにつれベタついてくるのが特徴です。また、ガサガサ感やゴワつき感のある肌、皮ムケ、夕方ごろにくすみやすくなるのもサインかもしれません。
間違ったクレンジングや洗顔
テカリやベタつきが気になるからといって、何回も洗顔するのは逆効果。皮脂は肌の表面に薄い膜を作り、バリア機能として肌を守っています。
そのため、洗顔のし過ぎで必要な皮脂まで落としてしまうと肌の防御反応を働かせ、さらに皮脂分泌を活発化させる悪循環を招くことがあるのです。
紫外線対策をしていない
紫外線はシミやそばかすだけではなく、肌を乾燥させる原因にも。紫外線対策も肌のために大切です。
過度なピーリング
古い角質を取り除いてくれるピーリングも、やり過ぎは肌へのダメージとなり乾燥を悪化させることに。
加齢による保湿力の低下
年齢を重ねると肌の保湿成分が減少。保湿力の低下は肌の乾燥へとつながります。
肌の隠れ乾燥を放置してしまうと、バリア機能の低下から敏感肌の悪化やシワ、くすみなどさまざまな肌トラブルを引き起こしてしまいます。また、紫外線の影響を受けやすくなるため、年齢よりも老けた印象になります。
インナードライは「隠れ乾燥肌」といわれるほど、乾燥していることに気づきにくく、間違ったケアはさらなる悪化へ。化粧水を使った正しいスキンケアでしっかりと保湿をして、肌トラブルを解消しましょう。
肌の内側が乾燥しているインナードライには、化粧水での保湿が大切といわれています。せっかく選んだ化粧水でも、合わない成分が配合されていては意味がありません。インナードライの肌悩みに合わせた、化粧水選びのポイントを紹介します。
インナードライにとって、肌の保湿は重要です。高保湿成分として知られるコラーゲンやセラミド、ヒアルロン酸などの成分が配合された化粧水を選びましょう。肌のテカリやベタつきが気になるからと、皮脂を抑える成分はインナードライには逆効果。まずはしっかりと保湿することをが大切です。
特に保湿力が低下する40代からは、高保湿成分がたっぷり配合されている化粧水を選ぶのがおすすめです。アミノ酸や浸透型コラーゲンなど、肌の内側に水分をキープしてくれます。
肌を乾燥から守るためには、補った水分の蒸発を防ぐための油分も必要となります。スクワランやホホバオイル入りの化粧水は皮脂膜を作り水分の蒸発を抑えてくれます。
また、大量の水を蓄えてくれるヒアルロン酸やコラーゲン、セラミドも潤いに必要な成分です。角質層で水分を蓄えて潤い、乾燥から肌を守ってくれます。
乾燥以外にも、シワやたるみなどが気になり始める年齢肌には、エイジングケア成分が配合された化粧水を選ぶのがおすすめです。
年齢によって保湿成分が減少し始めると、乾燥からバリア機能の低下やターンオーバーの乱れなどによって、シミやくすみ、ハリ不足、たるみなどのエイジングサインも出てきます。30代、40代ごろからは、高保湿成分と一緒にコエンザイムQ10やヒドロキシプロリンなどの美肌成分が配合された化粧水を選びましょう。
インナードライのトラブルを抑えるには保湿が必須ですが、しっかり保湿するための化粧水や洗顔、クレンジングなどの使い方を紹介します。正しいスキンケアで、潤いのある肌をとり戻しましょう。
乾燥肌やインナードライは肌の水分量が減少しているため、正しいスキンケアで水分量を正常に戻すことが必要です。
肌のターンオーバーはおよそ1ヵ月程度の周期といわれていますが、インナードライの肌はターンオーバーが乱れている状態。スキンケアの効果を実感するまでに1~3ヵ月程度かかってしまいます。効果を実感するためには、適切なスキンケアを根気強く続けることが大切です。
メイクをした日は汚れをきちんと落とすことが大切となります。しっかりメイクを落とすためにはオイルクレンジングと思われがちですが、洗浄力の強いクレンジングは必要な皮脂まで落としてしまいます。インナードライや乾燥肌の人は、洗浄力と保湿力のあるミルクタイプ、クリームタイプのクレンジングがおすすめです。
肌への刺激を抑えながら汚れもしっかり落としたいインナードライや乾燥肌の人は、弱酸性の洗顔料を選びましょう。泡立てネットを使ってキメの細かいもっちり泡を作り、直接肌に触らず泡で汚れを落とすイメージで洗います。すすぎは少し冷たさを感じるぬるま湯でしっかり流します。温度が高いと肌を乾燥させてしまうので注意しましょう。
汚れを落としたら、乾燥する前に化粧水でしっかり保湿します。使用量の半分を手のひらにとり、顔全体に馴染ませます。ハンドプレスで優しく肌の奥まで浸透させましょう。パチパチと叩くようにつけるのは肌への刺激となるためNGです。乾燥が気になる部分やベタつく部分に残りの半量を重ねづけします。手で触れてもっちり感があればOK。
化粧水で保湿した後は、乳液などの油分で水分の蒸発を抑えましょう。インナードライの場合「ベタつくので乳液は使わない」という人がいますが、しっかり保湿するためにも乳液は必要です。化粧水で補給した水分を、乳液の油分が膜となってくれます。
乳液はベタつくので苦手という人は、テクスチャーの軽いタイプで保湿力の髙いものを選びましょう。
肌内部の水分量が減少している乾燥肌やインナードライには、コットンパックでの特別なケアもおすすめです。化粧水を染み込ませたコットンを4~5枚に裂き、気になる部分にのせて軽く抑え、2~3分放置するだけの簡単ケア。乾燥が気になる時の保湿ケアとしてもおすすめで、剥がした後は乳液でフタをしてあげましょう。ただし長時間コットンパックをしたままにしておくと、逆に肌の水分を奪ってしまいますので注意しましょう。
乾燥肌やオイリー肌よりも気がつきにくいインナードライ肌ですが、ガサつきやゴワつきが気になりはじめたら、それはインナードライのサインかも知れません。クレンジングや洗顔、化粧水で正しいケアをしてあげましょう。
ポイントは肌の状態に合わせた化粧水選びとスキンケアで、潤いのあるしっとり肌をとり戻しましょう。
藤田医科大学を卒業後、名古屋大学付属病院、小牧市民病院の皮膚科医局員、あいち栄クリニックで皮膚科・美容皮膚科の担当医として勤務。