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桐生有紀先生
秋冬が近づくと肌がカサつき、まるで白い粉を吹いたようになってしまう「粉吹き肌」。顔・全身と現れますが、なぜ、このような状態になってしまうのでしょうか。本記事では、粉吹き肌が起こる原因とついやりがちなNGケアを皮膚科医が解説。また、粉吹き肌への正しい対処方法も紹介するので、ぜひ取り入れてみてください。
目次
粉吹き肌とは、表皮の角質層がめくれたり剥がれたりして、肌表面が白い粉を吹いたような状態になるのが特徴。カサカサしてかゆみを感じたり、ファンデーションなどメイクのノリも悪くなります。特に、乾燥しやすい秋冬には厄介な肌悩みの一つです。顔だけではなく、ひじ、ひざ、かかとなど全身に現れる場合もあります。
さらに、この粉吹き肌を悪化させてしまうのが、かゆみを感じて掻きむしってしまうこと。掻くことでさらに角質が剥がれ肌のバリア機能が保たれなくなり、その結果、乾燥性皮膚炎を生じさせてしまうこともあるので注意が必要です。そうなると、塗り薬や飲み薬が必要になってくるため、一度皮膚科での治療をおすすめします。
親からの遺伝や元々の体質という面もありますが、それよりも、日々の環境やお手入れ方法、加齢によるホルモンバランスの変化やターンオーバーの乱れの影響の方が大きいです。
間違った生活習慣で無意識のうちに肌を乾燥させてしまっている可能性も高いので、もともとの肌質だからと諦めず、日々のケアや生活習慣を振り返って改善していきましょう。粉吹き肌は、大抵の場合、ケア次第で改善することがほとんどです。
肌が白く粉を吹いたような「粉吹き肌」。なぜこのような症状になるのでしょうか。肌内部で起こっているターンオーバーとの関係や外部刺激による影響など、粉吹き肌の原因について解説します。
まず、粉吹き肌の原因として考えられるのは、ターンオーバーの乱れ。ターンオーバーとは肌の細胞が再生を繰り返す仕組みで、一言で言うならば「新陳代謝」のこと。健康的な肌は一定の周期で細胞が入れ替わることで、常に新しい細胞が肌表面を守り、これによりうるおいやキメ細かいなめらかな肌をキープしています。
しかしながら、ターンオーバーが乱れると、肌の中で生まれた細胞が未成熟なまま肌表面に上がってきてしまいます。こうなると、通常は自然に剝がれ落ちる古い角質細胞が肌表面に残ってしまい、これらが蓄積したり、めくれてしまうことで、粉吹き肌として目立つようになります。
ターンオーバーが乱れる原因は、加齢や不規則な生活習慣・食生活、ストレスなどでも起こります。そのため、粉吹き肌が気になる時には、スキンケアの方法だけを見直すのではなく、生活習慣にも気を配ることが大切です。
秋が深まってきて湿度が低下すると、肌の水分保持力も低下し、肌が乾燥しやすくなります。また、「乾燥=秋・冬」のイメージが強いですが、現在は一年中エアコンの効いた乾燥した室内にいることも多いため、秋冬に限らず、知らず知らずのうちに肌が乾燥状態にあることも。
肌の乾燥が進むと、角質がめくれやすくなり、これが粉吹き肌につながってしまいます。また、角質がめくれやすくなったことで、その隙間から肌内部の水分が出てしまい、肌のバリア機能も弱まることで、より粉吹き肌が改善しづらい状況になるので注意が必要です。
粉吹き肌の原因として、ここ数年で急増したのがマスク生活の影響です。外出時はマスクを長時間着けることも多く、常に肌に摩擦や刺激を与えてしまい、以前よりも肌トラブルになりやすい状況に。マスクにより、肌表面の角層が傷つくことで、それがめくれたり凹凸となり、粉吹き肌へとつながってしまいます。
過度の摩擦は、粉ふき肌にとって一番の大敵。スキンケア時に特に気を付けたいのがクレンジングです。メイク落としシートやコットンにクレンジング液を浸してふき取る方法は、肌との摩擦を生みやすいため、粉吹き肌のときには、できるだけ避けてください。
また、アイメイクなど濃いめのメイクをしているのに洗浄力の弱いクレンジング料を使っていると、メイクを落としづらく、ゴシゴシとこすったり、肌にメイク汚れが残り肌トラブルになることも。顔の粉吹き肌が気になる時には、メイクの濃さに見合う洗浄力のクレンジング料を選ぶことも大切です。
顔の粉吹き肌が気になる時は、洗顔を冷水や熱めのお湯で行うと皮膚に過度な刺激を与えてしまうため避けてください。特に、寒い季節は、熱めのお湯で顔を洗う人もいると思いますが、温度が熱すぎると、うるおいキープのために必要な皮脂が流れてしまい、肌がより乾燥しやすい状態に。人肌程度のぬるま湯で洗顔をするようにしましょう。温度の目安としては、30~35度で、40度を超えることのないように注意してみてください。
※水温はお住いの地域や使用している給湯器によっても異なるため、まずは手で人肌程度の水温か確認してください。
洗顔や入浴で濡れた肌は、そのままにしておくと肌の水分が奪われて、乾燥が進んでしまいます。特に入浴後は水分が急速に失われ、肌が最も乾燥しやすくなるタイミングです。
粉吹き肌にとって、肌を乾燥にさらすシーンは少しでも短い方が良いので、すぐに保湿を行いましょう。顔であれば化粧水・乳液・クリームを使ったスキンケアを、手足など全身の粉吹き肌には、ボディクリームやボディオイルを塗ってケアをしてください。
全身を洗う際も、刺激は極力避けるのが正解。ナイロン素材のボディタオルやボディブラシ、スポンジなどは肌への摩擦・刺激が強いため、粉吹き肌の時は使用を控えた方が良いでしょう。洗顔と同様に、ボディソープをしっかりと泡立て、手を使って優しく・丁寧に全身を洗うようにしましょう。泡立てるのが面倒くさい場合には、泡の状態ででてくるボディソープを使用するのもおすすめです。
肌への刺激を考えるとクレンジング料はシート系はなるべく避け、肌と手の摩擦を軽減させてくれるミルクやクリームを選ぶのがおすすめ。肌の上で十分に伸びるテクスチャーのものを選ぶと良いでしょう。
目の周りが粉吹き肌の場合、アイメイクを落とすときにゴシゴシと摩擦を与えると目の周りの皮膚は薄いため、粉吹き肌がすぐに悪化してしまいます。優しくなでるようになじませ、すすぎではメイク剤を残さないよう、ぬるま湯で丁寧に流してください。
洗顔のポイントはしっかりと泡を作って、肌と手の摩擦をつくらないこと。泡立てネットなどで十分に泡立ててから、泡で顔をふんわり包み込むように洗ってください。
やはり一番重要なのは保湿ケアです。粉吹き肌の大敵は乾燥なので、うるおい重視の保湿アイテムを選ぶと良いでしょう。また、かゆみがある場合には、低刺激性のアイテムがおすすめです。
顔の保湿を行うときは、化粧水だけではなく、乳液・クリームも使用してください。化粧水で与えたうるおいを、乳液・クリームで閉じ込め、うるおいを逃がさないようにしましょう。また、各アイテムの使用量が少ないと肌と手の間で摩擦が起こり刺激を与えてしまうため、正しい使用量で優しく塗ってください。
また、全身の保湿を行うときは、ボディクリーム・ミルクで保湿を。それでも肌のカサカサ感が気になる部分には、ボディオイルを追加すると良いでしょう。例えば、ひざと太ももで、ひざの方が粉吹き肌の度合いが強い場合には、ひざにはボディオイルをプラスするなど、肌の状態をみながら使い分けてみてください。
粉吹き肌対策という観点では、マスクの素材は、肌に触れる部分は不織布素材ではなく、綿を選ぶのがおすすめです。ただし、ウイルス感染拡大防止の観点におけるマスクの効果としては、不織布マスクの方が効果が高いとも言われています。そのため、粉吹き肌が気になる時は、綿マスクの上に不織布マスクを重ね、不織布の部分が肌に直接触れないように工夫すると良いでしょう。
もし、不織布マスクのみを使用する場合には、立体デザインのマスクを選ぶことで、肌に直接触れる部分を減らすことができ、摩擦を軽減できます。感染対策とのバランスをみながら、マスク選びをしてみてくださいね。
白く粉を吹いたように見える粉吹き肌は、水分不足や乾燥によって角質がめくれるために起こります。まずは日々のお手入れで、うるおいを与える保湿ケアをしっかり行い、肌を乾燥させないことが大切。そして摩擦や紫外線などの外的刺激も避け、粉吹き肌を予防しましょう。また、生活習慣を見直すことも粉吹き肌対策としては有効です。粉吹き肌は悪化する前にセルフケアを行うことで、改善することも多いので、ぜひ今回ご紹介したケア方法を日々の生活に取り入れてみてくださいね。
桐生有紀 先生
アルケミーは、人の肌に備わる「うるおいを抱え込む力」を高めるスキンケアライン。肌の奥深く※まで心地よく染みわたり、生まれたてのようなみずみずしい肌へと導きます。植物由来の酵母発酵エキスVEGAL[ベガル®]*は、肌にうるおいを蓄える成分(天然保湿因子)と似た成分構成のため、肌本来の貯水力を補い、うるおいを抱え込む力をアップします。
※角層まで *整肌保湿成分
顔が粉ふき肌状態のときには、ラインナップ中、酵母発酵エキス*がもっとも多く配合されたうるおい豊かな化粧水「メゾンレクシア アルケミー プライマリー ローション」を。
保湿力と高い浸透性※で肌をみずみずしく満たし、浸透型ヒアルロン酸との相乗効果で肌を内側からふっくらと整えます。
*整肌保湿成分 ※角層まで
アルケミーのナイトクリーム「インテンシブ クリーム」は、粉ふき肌のケアに最適な、肌のバリア機能を整えるセラミドや肌の柔軟性を保つスクワラン、ホホバ種子油を厳選配合。乾燥やストレスなどで乱れがちな肌サイクルの正常化をサポートします。
「メゾンレクシア ボディミルク サイレントエコー」は、手・足など全身の粉ふき肌対策としておすすめのアイテム。稀少な植物成分の保湿力でうるおいを補給。とろけるようになじむ心地よいテクスチャーで、肌に過度の刺激を与えないお手入れが叶います。落ち着きのあるシトラスウッディ調の香りで、リラックスしながらボディケアができるのもポイントです。
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国公立大学医学部卒業後、東京都済生会中央病院にて勤務ののち、日本医科大学付属病院形成外科・美容外科、天現寺クリニック院長、勝どき駅前皮ふ科クリニック院長を経て、現在、日本橋HALスキンケア院長を務める。年を重ねることを少しでも楽しめるような、内側からもアンチエイジングに繫がる美容診療を提案している。