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吉岡 容子 先生
肌の表面は油分でベタついているのに、内部は乾燥しているインナードライ肌。トラブル改善には肌質にあった対策が重要です。肌質の見分け方、インナードライ肌のファンデーション選びや使い方、日常生活における改善方法をご紹介します。
目次
女性にとって肌トラブルは大きな悩みのタネ。効果的なケアを実践するためには、自分の肌の特徴を知ることが必要です。
肌は油分と水分のバランスが重要。バランスが偏っている肌は、以下の3タイプに分類できます。
・油分、水分が少ない「乾燥肌」
・油分、水分どちらも多い「脂性肌」
・油分が多く、水分が少ない「混合肌(インナードライ)」
インナードライタイプの肌は、表面は油分でベタついているのに、体液が減少し内部は乾燥している状態を指します。テカリが気になる=脂性肌と考える人は少なくありませんが、実は肌の内部は乾いており、結果として間違った肌ケアをしてしまっているケースもあるのです。
脂性肌とインナードライ肌の簡単な見分け方があります。それは顔を洗ってみること。いつもは顔が脂っぽいのに、洗顔後、何分経っても肌が潤わない人はインナードライ肌の可能性が高いです。
・パリパリした感覚がある
・肌にツッパリを感じる
・皮がむける
このような症状がある方は、インナードライの可能性が高くなります。乾燥肌は、表面も内部も乾燥していて水分が足りていない状態です。
ファンデーション選びの際は色やカバー力だけでなく、目に見えない成分にも注目しましょう。ファンデーションを変えることでインナードライ肌の状態が改善することもあります。
粒子が細かいファンデーションほど、肌への負担が少なくなります。そのため、ルーセントパウダーや、パウダーファンデーションがおすすめです。特に肌のベタつきが気になる方は、油分の多いリキッドファンデーションとは相性があまりよくないでしょう。下地の上に直接ルーセントパウダーを使うのもおすすめです。
長時間肌に付けることになるファンデーションは、防腐剤や、シリコン、香料などの添加物ができるだけ少ないシンプルなものがおすすめです。添加物が多ければ多いほど、肌トラブルの原因になるためです。また化粧を落とすために強い洗浄力のクレンジングを使う必要がある点も心配です。
見た目の美しさだけでなく、肌の健康のためにもファンデーション選びは重要なのです。
ファンデの塗り方にもコツがあります。過剰な皮脂を押さえつつ、みずみずしい肌になるためのファンデの塗り方を確認しましょう。
過剰に皮脂を落としたくないから朝の洗顔は水だけ、という方は少なくありません。でも睡眠中に出た皮脂や汚れは洗顔料で泡洗顔し、余分な皮脂や汚れを落とすことが大切。その後は化粧水やクリームなどでしっかり保湿して、肌に必要な水分や油分を与えてからファンデーションを塗りましょう。
肌を擦るように横に伸ばす塗り方はやめましょう。パフを使って、毛穴にパウダーを入れていくような気持ちで押さえながら塗ります。リキッドファンデーションを塗る場合でもスポンジを使うのがおすすめです。指ではどうしても肌を強く擦ってしまい、摩擦が肌荒れや肝斑悪化の原因に。また、厚塗りになってしまう原因にもなります。
崩れを起こす原因の一つが厚塗りです。ファンデーションは頬など面積の広い部分から塗り始め、額や鼻などは残った分を乗せる程度で大丈夫。
時間が経ってからテカリや化粧崩れが気になってきた場合、ミストを使って潤いを足してみてください。ミストを噴霧した後に、軽くティッシュオフします。必要な油分まで取ってしまうあぶらとり紙は使用NGです。
他にもインナードライ肌を改善する方法はあります。普段のスキンケアや食生活、紫外線対策も見直してみましょう。
【クレンジング】
クレンジング剤は、肌に優しいミルクタイプやジェルタイプがおすすめ。
オイルクレンジングは、必要な皮脂まで落としてしまう可能性があります。必要な皮脂が落ちると、肌はその乾燥を補うため、さらに皮脂を過剰に分泌し、インナードライ肌を加速させる心配があります。オイルクレンジングは、マスカラなどポイントメイクを落とす時や、濃いメイクを落とす時だけ使うようにしましょう。
【基礎化粧品】
洗顔後には化粧水や乳液もしっかり塗りましょう。順番としては「水っぽいものから」が原則です。油分があるものは皮膚に膜を張ってしまいます。そのため、特にメーカーからの指示がなければ化粧水、乳液の順番に塗ってください。
基礎化粧品にプラスするのにおすすめなのが、ビタミンA(レチノール)を含んだ化粧品です。ビタミンAは皮膚のターンオーバーを正常化してくれるので、古い角質が剥がれ、保湿力が上がります。
肌は食べ物の影響も多く受けます。食生活、生活習慣を見直すと肌トラブルの改善に繋がる方は多いです。化粧品や肌ケアに気を使っていても、生活が乱れていたら効果薄。ご自身の習慣も振り返ってみましょう。
おすすめは、「イソフラボン」を豊富に含む食べ物です。イソフラボンは大豆に含まれる成分ですので、納豆、豆腐、味噌汁など大豆製品を積極的に摂取しましょう。また、ビタミンB群は毛穴が気になる人は積極的に摂取すべき栄養素です。毛穴の数はある程度遺伝で決まることが知られていますが、毛穴を開かせない、皮脂のコントロールなどは予防する事が可能です。ビタミンB群を多く含む果物や野菜、豚肉などを摂取する事が効果的です。
NGな食べ物で代表的なものはスナック菓子、油っぽいものです。和食を中心とした食事を心がけ、間食や暴飲暴食を避ける。充分な睡眠を取り規則正しい生活を送ることで、肌のターンオーバーが整い、肌が健康になります。
紫外線もインナードライ肌には大敵。特にUVA波はコラーゲンやエラスチンを破壊し、水分を保ちにくい肌にしてしまいます。冬でも日焼け止めを塗り、対策をしましょう。日焼け止めが入った下地やファンデーションを選ぶと手軽です。ただし、ウォータープルーフタイプなどSPF値・PA値の高いものは、肌への負担も高く、落とす際に強い洗顔料が必要になるため、注意が必要です。日常生活であればSPF15/PA+もあれば十分。汗で落ちるのが不安な人は、こまめに塗り直すか、帽子などで対策してください。
「良い肌」とは、気温や湿度など環境の変化に応じて、皮脂から出る油分を自力で調整できる肌です。自分の肌の特徴と状態を把握した上で、油分と水分を最適に調整できる化粧品や生活習慣を選ぶようにしましょう。インナードライ肌で困っている方は、肌につけるもの、体の内側、両面から見直してみてください。
ヒアルロン酸でコーティングされた粉体が、保湿しながら肌を美しく見せるフェイスパウダーです。うるおいを与える植物エキス配合。光のベールを纏ったような、つややかな肌に仕上げてくれます。
軽やかなつけ心地でありながら、肌への密着感を追求したパウダーファンデーション。ソフトフォーカス効果で気になるシワや毛穴を隠します。また、アロエベラ葉エキスとヤシ油からできたワックスが肌の上で溶け、美しいツヤをプラスします。
インナードライ肌の人は、ベースメイクの前にしっかりと保湿を行うことが大切。「オラクル クラリファイング トナー ミスト」は、直接肌にスプレーして保湿する化粧水。ミストはとても粒子が細かく、肌全体をやさしく包みこんでうるおいを与えてくれます。使用感はさっぱりしており、肌のキメを整えながら開いた毛穴を引き締めてくれます。ローズ系エッセンシャルオイルが贅沢に配合されているため、まるで花のシャワーを浴びているような感覚になれる優雅な香りも魅力です。日中のリフレッシュや乾燥対策にも。
東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。 麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。 院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。院長を務める