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佐藤 杏月 先生
BEAUTY
産後6ヵ月をピークに、抜け毛に悩む女性が多いと言われています。妊娠や出産による体と生活の変化が主な原因ですが、徐々に落ち着いてくるのであまり悩みすぎる必要はありません。産後の抜け毛の原因や対処法、抜け毛を目立たなくする髪型について紹介します。
目次
産後、多くの女性が感じる体の変化の一つが抜け毛です。「出産後脱毛症」や「分娩後脱毛症」などと呼ばれ、ホルモンバランスの変化やストレス、栄養不足などが引き金となります。産後の抜け毛の主な原因を解説します。
産後の抜け毛の大きな原因は、妊娠・出産によるホルモンバランスの変化です。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、これらは通常、生理周期にあわせて交互に増減を繰り返します。しかし妊娠中は両方の分泌量が増加し、とくにエストロゲンは髪の成長を促す働きがあるため髪が抜けにくくなります。
産後、女性ホルモンの分泌量が妊娠前の状態に戻ることにより、これまで抜けなかった髪の毛が一気に抜けるのです。
産後のストレスも抜け毛を悪化させる原因です。慣れない育児や、授乳・夜泣きなどによる睡眠不足はママの体に負担がかかり、ストレスとなります。ストレス下では交感神経が過度に働き、緊張状態が続きます。それによって血管収縮が起こり、血行不良に陥ることで髪にもダメージを与えてしまうのです。
産後は栄養不足になりやすく、髪や頭皮に必要な栄養が行き届かずに抜け毛を助長させる場合も。産後の体型を早く戻そうと無理なダイエットをするのは良くありません。さらに母乳育児であると、母乳に栄養がいくので栄養不足に陥りがちです。
産後の抜け毛は多くの女性が経験するものですが、産後6ヵ月～1年ほどかけて落ち着いていきます。産後の抜け毛の特徴を知り、気にしすぎないようにしましょう。
抜ける時期がいつからいつまでかは個人差があります。しかし多くの場合は、産後2～3ヵ月から抜け毛がひどいと感じるようになり、産後4～6ヵ月頃にピークを迎えて6ヵ月～1年ほどで落ち着くようです。
妊娠中は女性ホルモンの分泌量が増えるため、髪の毛の成長期が長く続きます。一方、産後は女性ホルモンの分泌量が減ることで成長期が終わり、退行期に移行して髪の毛が抜けていきます。ヘアサイクルの関係で産後すぐではなく少し経ってから抜け毛が増え始め、体の回復ともに徐々に抜け毛が落ち着く仕組みです。
産後、半数以上の人が抜け毛に悩まされますが、なかには抜け毛が気にならない人も。抜け毛にならない理由は、ホルモンバランスの変化が小さい、ストレスの影響が少ないなどです。睡眠や食事、生活習慣を整え、頭皮環境やヘアサイクルの乱れを抑えれば、抜け毛の症状が出にくいと考えられます。
産後の抜け毛を軽減するには、質の良い睡眠やバランスのとれた食事で内側からケアし、シャンプーやマッサージといったヘアケアで頭皮環境を整えることが大切です。今日からできる対処法を紹介します。
睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌が妨げられて抜け毛につながるので、できる限り質の良い睡眠を心がけましょう。
理想の睡眠時間は1日6〜7時間ですが、産後は授乳や赤ちゃんの夜泣きなどでまとまった睡眠時間を取りにくいもの。短時間でも熟睡できるように、就寝時は部屋を暗くする、ベッドの中でスマホを見るのは控える、温かい飲み物で眠気を誘うなどの工夫をしてみてください。
髪まで栄養が届くように、栄養バランスが良い食事を心がけることも大事です。とくに髪の主成分となるタンパク質、代謝を促すビタミンやミネラル、タンパク質を作る亜鉛が抜け毛には効果的と言われています。授乳している人は、鉄分、カルシウム、葉酸を多く含む食材も意識的に取り入れましょう。
| おすすめの栄養素 | 多く含む食べ物 |
|---|---|
| タンパク質 | 肉、卵、大豆など |
| ビタミンB群 | 鶏肉、レバー、まぐろ、カツオなど |
| ミネラル・亜鉛 | ほうれん草、わかめなど |
| 鉄 | 牛肉の赤身肉、レバー、カツオなど |
| カルシウム | 牛乳、豆腐、小松菜など |
| 葉酸 | ブロッコリー、アスパラガス、納豆など |
産後はホルモンバランスの変化で肌が過敏になります。洗浄力の強いシャンプーは頭皮に刺激を与えやすいので、アミノ酸系などの低刺激タイプのシャンプーを選ぶのがおすすめ。毛穴に詰まった皮脂や汚れは、正しい方法でしっかりと落としましょう。
＜正しいシャンプーの仕方＞
頭皮の血流を良くするには、頭皮マッサージもおすすめです。血流が良くなると、抜け毛予防だけではなく肩こりや不眠の解消にもつながります。
簡単にできるマッサージは以下の3つです。
その他の頭皮マッサージ方法については、こちらの記事も参考にしてみてください。
産後の抜け毛が気になる場合は、髪型を変えてみるのもおすすめです。薄毛が目立ちにくくなるだけではなく、良い気分転換にもなるでしょう。産後のママにおすすめの髪型を紹介します。
生え際や分け目の地肌部分が気になる人には、ショートヘアがおすすめです。分け目が目立ちにくく、髪を乾かす手間を省けるので赤ちゃんの世話が忙しい時にも助かるでしょう。
世代を問わずに人気のあるボブヘア。なかでも産後のママにおすすめなのは、肩につかない程度のミディアムボブです。育児や家事をする時には結んだり、お出かけの際にはヘアアレンジしたりと、育児中でもおしゃれを楽しめます。
ロングヘアは育児や家事をする際にさっとまとめられるので扱いやすく、ヘアアレンジの幅が広いのも魅力。髪が伸びてきてもフォルムの変化が少ないので、美容室に行く時間がない時も助かります。
メゾンレクシアには、頭皮環境を整えて美しい髪へ導くヘアケアアイテムが揃っています。頭皮マッサージにおすすめの頭皮用トリートメントと、保湿に役立つヘアオイルを紹介します。
ゆらぎやすい頭皮環境をすこやかに整え、ハリ・コシのある美しい髪に導くスカルプエイジングケア※トリートメント。デリケートな肌にもやさしい数種の植物エキスが頭皮を柔らかくほぐし、髪にツヤを与えます。産後の抜け毛が気になる時の頭皮マッサージにもおすすめです。
頭皮はもちろんボディにも使えるマルチユース処方で、赤ちゃんのお世話に忙しい産後のママもこれ1本で簡単ケアが叶います。心地よいウッディスパイシーの香りが、1日の疲れをやさしくほぐします。
※年齢に応じたお手入れ
アルガニアスピノサ核油やユズ種子油を始めとする、濃密な植物成分を贅沢に配合したヘアオイル。ブラッシングやドライヤー、乾燥などのダメージから髪を守り、産後のパサつきやすい髪をしなやかなツヤ髪に導きます。軽い質感なので、オイルのベタつきが苦手な人にもおすすめです。
産後のホルモンバランスの変化などにより、多くの女性が経験する抜け毛。睡眠や食事の改善、丁寧なシャンプーと頭皮マッサージなどのヘアケアを取り入れることで改善できるでしょう。抜け毛はあくまでも一時的なものなので、悩みすぎずに今できることから実践してみてはいかがでしょうか。
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日本医科大学を卒業後、日本本医科大学武蔵小杉病院を中心に16年間産婦人科医として地域のハイリスク妊婦や、婦人科疾患の診療を行ってきた。3人の子育てと仕事の両立を目指し、整形外科医の主とともに2020年八丁堀さとうクリニックを開業。 日本産婦人科学会専門医／八丁堀さとうクリニック副院長