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山口 史恵
女性の抜け毛が増える原因はホルモンバランスや自律神経の乱れなど、いくつかの種類があります。あまりにも抜け毛が多いと感じているのなら、毛周期が乱れているのかもしれません。抜け毛が増える原因や正常な抜け毛との判断の仕方を知って、自宅でできる抜け毛対策に取り組んでみましょう。
目次
山口 史恵
髪の毛が生えて成長し、抜け落ちて新たに生えるサイクルのことを毛周期(ヘアサイクル)と呼びます。毛周期は大きく3つの段階に分けられ、正常な場合はそれぞれの段階のバランスが保たれています。まずは正常な毛周期と、周期が乱れた場合の弊害を見ていきましょう。
毛周期は大きく3つの段階に分けられます。
<成長期>
毛穴の奥で髪をつくる元となる毛母細胞が分裂を始め、髪としてしっかりと伸びるまでの段階です。初期・中期・後期に分けられ、髪全体の85~90%が成長期のものです。女性は女性ホルモンが髪の成長を促す分、男性より期間が長い傾向にあり、2~6年ほどが成長期にあたるとされています。
<退行期>
毛母細胞の分裂が止まり、髪の成長が止まった状態を指します。抜け毛になるまでの準備期間のようなもので、長さは正常な毛周期の場合で2~3週間程度です。髪全体の1%が退行期と言われています。
<休止期>
次に生える髪が毛穴の奥で成長し始め、既に生えている髪が抜け毛になるまでの期間です。3~4ヵ月が休止期にあたり、髪全体の10%前後を占めています。
日本人の頭髪は約10万本。髪1本1本に毛周期があり、正常な場合は抜け毛の本数が一定の範囲内に留まることが多いと言われています。
反対に、毛周期が乱れていると成長期・退行期・休止期のバランスが崩れ、切れ毛や抜け毛が起こりやすくなります。毛周期が数ヵ月~1年程度に縮まり、成長期が短く休止期が長くなるため、髪が十分に育ちにくい状態に。結果的に細く弱い毛や抜け毛が目立ち、薄毛を感じやすくなってしまうのです。
頭皮や髪が健康な状態であっても抜け毛は起こります。抜け毛が正常なものかそうでないかを判断する基準を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
1日の抜け毛の量にはばらつきがありますが、平均すると50~100本ほどと言われています。6割ほどが洗髪時に抜けますが、知らないうちに抜け落ちる髪も多いので、実際の本数を数えるのは難しいでしょう。目安としては、シャンプー中に30~60本程度の髪の毛が抜けるくらいであれば、正常の範囲内と考えて問題ありません。
抜け落ちた髪の毛根や太さを確認してみてください。正常な抜け毛の毛根にはふくらみがあり、根本に向かって太くなっています。先端は丸く、膜のような白いものが付いていれば正常です。
毛根が極端に小さい、尖っている、白い膜がない、髪が細い・短い場合は毛周期が乱れているのかもしれません。場合によっては何らかの病気のおそれもあるため、抜け毛があまりにもひどかったり、髪の状態が悪かったりする場合は医院の受診を検討しましょう。
女性ホルモンや自律神経は、髪と深い関係があります。女性の抜け毛が増える主な原因を紹介するので、該当していないかを照らし合わせてみてください。
女性ホルモンと呼ばれているエストロゲンには、髪の健康をつくる役割もあります。エストロゲンの分泌は20代後半がピークで、その後は徐々に減少していきます。30代・40代と年齢を重ねるとともに「髪が細く・短くなった」「抜けやすくなった」といった悩みが出やすいのは、それが主な原因です。出産や更年期、閉経時は女性ホルモンの量が急激に減少するため、抜け毛が増量することもあります。
過度なダイエットや、偏った食生活による栄養不足も抜け毛の原因の一つ。生命維持のため、栄養は内臓へ優先的に送られます。その結果、髪まで十分な栄養が行き届かず健康に成長できなくなってしまうのです。健康的な髪を維持するためにも、厳しい食事制限や炭水化物中心の食事、油分の摂りすぎには注意が必要です。
また、女性は鉄分が不足しがちと言われています。鉄分には酸素や栄養素を運ぶ役割があるため、抜け毛を防ぐためにも積極的に摂るようにしましょう。
睡眠不足は成長ホルモンの分泌量を減少させてしまいます。成長ホルモンは髪の元となるタンパク質の合成を促す働きや、髪の成長、頭皮の代謝・修復の役割を担う重要な要素。睡眠不足が続くと髪の成長が妨げられ、頭皮のハリや弾力も失われて抜け毛が増加しやすくなります。
ストレスも抜け毛を増やす大きな要因です。精神的、肉体的ストレスが蓄積すると自律神経のバランスが乱れやすくなり、毛周期の乱れや頭皮の血行不良が起こって抜け毛が増えると考えられています。
それに加え、ストレスは細胞をサビつかせる活性酸素を発生させる性質を持っています。活性酸素の分解には、健康な髪をつくるための重要な栄養素である亜鉛が必要です。ストレスは自律神経だけではなく、ホルモンバランスの乱れも起こしやすいので溜めないことが大事です。
動物の換毛期のように、人間にも抜け毛が出やすい時期があります。抜け毛が増えやすくなる時期は春と秋。気圧変動や寒暖差が大きく、環境に適応するためにストレスが溜まり自律神経が乱れるためです。
特に、春は転勤や就職といった生活環境の変化、秋は夏のヘアダメージの表面化も抜け毛の増加につながると考えられています。
抜け毛対策は自宅でも行えます。生活習慣やシャンプーの仕方を見直して、抜け毛を改善させましょう。
自律神経のバランスを乱さないためにも、生活習慣の見直しをしてみましょう。睡眠時間はしっかりと確保し、質の良い眠りを心がけます。心地よい眠りや、ストレスの緩和をサポートしてくれるアロマを利用するのもおすすめ。その他、趣味や運動、好きなことをするリラックスタイムなど、ストレスを解消できる自分だけの時間もつくりたいですね。
栄養バランスの良い食事を心がけて、丈夫な髪を育てることも大切。毛の主成分は硫黄を含むタンパク質のケラチンで、毛髪の80~90%はタンパク質でできています。抜け毛対策として積極的に摂りたい栄養素は、アミノ酸を多く含む食品、青魚を始めとしたタンパク質や、ビタミンA・E、鉄分・亜鉛、大豆イソフラボンです。
栄養素 | 役割 | 含まれる食材 |
ビタミンA・E | 血行促進作用 | 緑黄色野菜、玄米、ごま、ナッツ類など |
タンパク質 | 髪をつくるケラチンの元 | アジ、サバ、イワシ、サンマ、 卵、牛乳、鶏むね肉など
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鉄分・亜鉛 | 髪の成長促進 | レバー、牡蠣、海藻など |
大豆イソフラボン | 抜け毛の原因物質を抑制 | 納豆、豆腐など |
上記のものだけではなく、他の栄養素もバランス良く摂るのがポイントです。
カラーリングやパーマなど、頭皮ダメージの原因を減らすのも抜け毛対策の一つ。カラー剤やパーマ剤は頭皮と髪にダメージを与えやすいので注意が必要です。頭皮に炎症があると髪が成長しにくくなるため、抜け毛が気になる時はカラーリングやパーマをなるべく控えましょう。
正しいシャンプーで毛穴に詰まった皮脂や汚れをしっかりと落とすことも抜け毛対策になります。
<正しいシャンプーの仕方>
頭皮の血行を促すためにマッサージを取り入れるのも効果的です。血流が良くなることで髪の成長が期待できます。頭皮マッサージは汚れを落としてから行うのがポイント。また、長時間やると摩擦による刺激で負荷がかかってしまうので、短時間に留めます。シャンプーやトリートメント時に取り入れてみてください。
効果的な頭皮マッサージは以下の記事で紹介しています。
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※年齢に応じたお手入れ
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女性ホルモンの減少や自律神経の乱れなど、女性の抜け毛の原因にはさまざまなものがあります。抜け毛が増えたと感じている場合、毛周期が乱れているのかもしれません。正しいケアやストレスを溜めない生活を心がけ、抜け毛を予防してすこやかな髪を維持しましょう。
フェイシャル&育毛専門サロン「ビオトナス」オーナー。日本毛髪科学協会 毛髪診断士。エイジングケアのサロン経営に加えて、美容家としてメディアにも多数出演。