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監修者:メゾンレクシア 調香師
チュベローズは甘く官能的で魅惑的な香りのため、香水に多く用いられています。その香りにはリラックス効果などがあるため、付けていると心にも良い影響を与えてくれるかもしれません。本記事では、チュベローズの特徴や自分に合う香水の選び方、効果的な纏い方、おすすめのフレグランスを紹介します。
目次
監修者:メゾンレクシア 調香師
チュベローズは香水に用いられることが多い花です。まずは、チュベローズの特徴や香りについて解説していきます。
チュベローズは単子葉網ユリ目のリュウゼツラン科、月下香属に分類される多年草です。名前にローズと入っているためバラの仲間と思われがちですが、バラではありません。原産地はペルシャあるいは東インドという説もあるなど、明確ではありませんが、メキシコとする説が最有力です。
ハワイやインドでは「レイ」に使われ、「Pua Tuberose」という楽曲もあるほど多くの人々に愛されている花です。日本では月下香、チュベローズ、ジャガタラズイセン、オランダズイセンと呼ばれます。
また、魅惑的な香りのチュベローズは、ホワイトフローラル調、フロリエンタル調などの香水に多く使用されます。花特有の濃厚な甘さを活かした香りや、上品で大人っぽい雰囲気の香りなど、チュベローズを使った香水にはたくさんの種類があります。イランイランやジャスミンなど、香りの似ている他の花とブレンドされることも多いです。
花には、それぞれ花言葉があります。チュベローズの花言葉は「危険な快楽」や「危険な関係」「危険な楽しみ」「危険な戯れ」など。香りがとても甘く官能的であるため、そのような花言葉がついたのでしょう。
イギリス・ヴィクトリア朝時代、チュベローズの花言葉は「危険な悦び」や「艶めかしさ」でした。これらの花言葉からも分かるように、チュベローズは多くの人を魅了する香りであると言えます。
チュベローズは夜になるとさらに甘く、優雅な香りが強まり漂うことから「月下香」と呼ばれます。一説によると、チュベローズの花は昼の日差しを避け、青白い肌を競うヴィクトリア朝の貴婦人達に愛されたそうです。中国では「晩香玉」、インド・ヒンディ語文化圏では「夜の女帝」、フランスでは「インドのヒヤシンス」、ドイツでは「夜のヒヤシンス」と呼ばれることがあります。
なお、同じく夜に香りを強める花の中で、ナス科の「夜香木」とガガイモ科の「夜来香」と間違えられますが、これらはチュベローズとは全く違う花です。
チュベローズは甘く官能的な香りが特徴的で、「花の香りの中で最もセクシー」「男性を魅了する香り」と評されることも多い花です。チュベローズの花畑をカップルが通ると我を忘れて愛し合ってしまう危険があるため、夜更けに恋人同士でチュベローズ畑の前を通行することが禁止となったという言い伝えもあります。
また、チュベローズはイランイランやジャスミン、ミュゲとともにホワイトフローラルの代表の一つ。香りはオイリーファッティ感のある重厚な甘さやハニー感があり、多くのフローラルと調和します。チュベローズはミステリアスな印象を抱かれがちですが、ナチュラルな爽やかさや、クリーミーで肌を包み込むような優しい軽やかさも持ち合わせています。
チュベローズの香水は、花の甘く官能的な香りが魅力。その香りは、気持ちを落ち着かせたり、魅力をアップさせたりするのに役立ちます。ここでは、チュベローズの香水の香りに期待できる効果を紹介します。
チュベローズの香りには、高いリラックス効果があると言われています。ネガティブな気持ちを、明るく開放的にしてくれるそう。頭をすっきりさせる効果もあります。ストレスや疲れが溜まっている時にも、おすすめの香りです。
気持ちを落ち着かせてくれる作用があるとも言われる、チュベローズの香り。香水として身に付けると、気分的にも体調が楽になるかもしれません。
チュベローズの香りには、気持ちを高揚させてセクシーな気分を盛り上げる催淫効果があると言われています。女性らしさを高め、男性を惹きつける香りでもあるそうです。
南仏では、純潔・純白を象徴する香りであるビターオレンジの花の代わりとして、同じように白くて甘いチュベローズが花嫁の持つブーケに用いられることがあります。その香りは花嫁の官能をくすぐり、惹きつけるとも言われています。
チュベローズが使われている香水は、プチプラからハイブランドまでバリエーションが非常に豊富。ここでは、チュベローズの香水の選び方について紹介していきます。
香水にはいくつかの種類があり、それぞれ賦香率(ふこうりつ)が異なります。賦香率とは香料の割合のことを指し、割合が高いほど香りの強さと持続時間が高くなります。
<オーデコロン>
オーデコロンは濃度が最も薄いため、優しく香ります。付ける量も気になりにくいでしょう。
<オードトワレ>
こちらも濃度が薄めです。濃い香りのものもあるため、コロンよりは量や付け方にこだわる必要があります。また、メンズ香水はトワレが多めです。
<オードパルファム>
オードパルファムは最も濃度が高いパルファムに近く、コロンやトワレよりも強く香ります。トップノート〜ベースノートまで、香りのグラデーションを楽しみやすいのも魅力です。
<パルファム>
パルファムは最も濃度が高く、香りの持続時間も長めです。少量を付けるだけで香水本来の香りがしっかりと分かるため、付けすぎには注意しましょう。
※香料の濃度は各社に違いがあります。
チュベローズの香りは甘く濃厚なため、オードトワレやオードパルファムを控えめに付けるのがおすすめです。
香水の形状は、主にロールオンタイプとスプレータイプの2種類に分けられます。出先などで付けたいなら、持ち運びしやすいロールオンタイプを選ぶと良いでしょう。コンパクトな香水は、通常サイズのものより価格が控えめなため手に入れやすいです。
パーティーシーンなどで華やかに香らせたいなら、香りが広がりやすいスプレータイプがおすすめです。スプレータイプはボトルのデザインに凝ったものが多く、インテリアとしても楽しめます。どのシーンで香水を纏うか考えながら、選んでみてくださいね。
香水はブレンドによって香りの印象が大きく異なります。チュベローズの香りをメインに楽しみたいなら、付けてから30分〜1時間で香り始めるミドルノートに使われているものがおすすめです。ミドルノートは香水の主役となる部分のため、チュベローズの香りが引き立ちます。
なお、チュベローズの香水は、華やかで優雅なジャスミンなど、フローラル系の香りとブレンドされているものが多いです。みずみずしい甘さがプラスされるフルーティー系や、爽やかなシトラス系、濃厚さが増すバニラなどのバルサム系ともよくブレンドされます。
トップノートとベースノートにどのような系統の香りが含まれているかで、香水の雰囲気も異なるため、ブレンドにも注目してみましょう。
魅惑的なチュベローズの香水。付け方に気を遣えば、より魅力を引き出せます。ここからは、チュベローズ香水の効果的な纏い方を紹介していきます。
先述したように、香水は種類によって濃度に違いがあり、香りの強さもそれぞれ異なります。香水の種類に合わせて付け方を変えると、付けすぎなどの失敗が少なくなるため、それぞれの濃度と特徴を覚えておくのがおすすめです。
香水の種類 | おすすめの付け方 |
---|---|
オーデコロン | 濃度が最も低いため、面でたっぷり付けても香りが強くなりすぎず、使いやすい。 |
オードトワレ | オーデコロンよりも濃いが軽い香り。細く延ばすように線で付けるのがおすすめ。 |
オードパルファム | オードトワレよりも濃いため、少量を線で付けると良い。 |
パルファム | 最も濃度が高く少量でしっかり香るため、数滴肌に落とすように点で付ける。 |
一時的など、短時間だけ香りを楽しみたい場合はオーデコロンを選ぶと良いでしょう。1日を通して香りを楽しみたい時は、オードトワレかオードパルファムを選んでみてください。オードトワレの場合は香水を持ち歩いて付け直す必要があるので、持ち歩くのが嫌という場合は、オードパルファムがおすすめです。
場所やシーンに合わせて香水の香りを調整するのも大切です。オフィスや食事の際に付けるなら、香りが軽いオーデコロンやオードトワレタイプが最適。フォーマルやパーティーなどの特別な場では、しっかりと香るオードパルファムやパルファムで華やかさを演出してみてください。
また、どんな場面であっても付けすぎに注意して、適量で楽しむことを意識しましょう。
香水は、付ける場所によっても香りの強さが変わります。強く香らせたい時は、手首や首筋、肘の裏などの上半身に付けると効果的。反対に、柔らかく香らせたい時は腰や膝の裏、足首などの下半身に付けると良いでしょう。チュベローズの香りは濃厚で強い傾向なので、腰や膝の裏などに付けるのがおすすめです。
繊細に表情を変える、天然ならではの香りの魅力を際立たせた「メゾンレクシア」のフレグランスには、個性豊かな6種のオードパルファムが揃います。
中でも、ミドルノートの甘く優雅で香りにふくらみを持たせる“チュベローズ”が印象的な「エッセンス オブ ザ サン」は、降り注ぐ陽光、しなやかな花をイメージさせるオードパルファム。ネロリなどのフレッシュなシトラスノートに繊細な甘さのローズやジャスミンが重なり、気品ある印象に。ラストはアンバーな香りが温かく包み込み、やわらかな個性を描きます。
心身にさまざまな効能をもたらすチュベローズの香りは、日常の中のいろいろなアイテムに取り入れられています。ここでは、チュベローズの香りが使われている香水以外の主なアイテムについて紹介します。
チュベローズの精油で、芳香浴を楽しんでみてはいかがでしょうか。アロマストーンなどに精油を数滴垂らすだけで、しっかりと香ってくれます。単体で使うだけではなく、他の精油とブレンドしてオリジナルの香りを作る楽しみ方もあります。
なお、チュベローズ精油は香りが強いため、少量ずつ使うのがポイントです。また、刺激性があるので肌への直接塗布は避けるようにしてください。
チュベローズは欧米や男性にも非常に人気のある香りのため、ルームディフューザーや車の芳香剤などにもよく使用されます。その香りは都会的に洗練されているので、現代のライフスタイルと違和感なく調和。新しいチュベローズの魅力を感じられます。
甘い香りが人気のチュベローズは、石鹸やボディソープなどに香料として使われることもあります。ホワイトフローラル調であるミュゲやジャスミンなどの香りと相性が良いのはもちろんのこと、フルーティー調をブレンドするとエキゾチックで果肉感のある特徴が得られるなど、さまざまな香調にアレンジした製品があります。
その昔、男性を虜にする香りとしても知られたチュベローズ。今でもさまざまな製品に使われており、時代が変わっても、人を魅了する香りであることには違いないようです。チュベローズの香水を身に纏って、女性らしさを演出しましょう。
※出典:「VENUS」2005年12月 VOL.17(国際香りと文化の会)
みずみずしい生命力にあふれる植物の“香気”を、肌と心にまっすぐ届けるメゾンレクシアの調香師。纏う人の心を満たし日常を鮮やかに彩る“香りのアート”を描くために。繊細で複雑な香料のわずかなコンディションの違いを読み取り、フレグランスはもとより、スキンケア&メイクアップタイムを優雅なひとときへと昇華させる香りを紡ぎだしている。