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監修者:公益社団法人 日本アロマ環境協会認定環境カオリスタ、アロマテラピー検定1級 藤巻慧子
「バラの女王」の異名を持つダマスクローズ。その香りは甘すぎず、上品で女性らしさを引き立ててくれるため、香水や化粧品など、さまざまなアイテムに使われています。そんなダマスクローズの香りの効果、精油の使い方と注意点、ダマスクローズを楽しむおすすめアイテムを紹介します。
目次
監修者:公益社団法人 日本アロマ環境協会認定環境カオリスタ、アロマテラピー検定1級 藤巻慧子
香水を始めとするさまざまなアイテムの香料として用いられている、ダマスクローズ。その上品な香りは、古くから多くの女性に支持されていたと言われています。まずは、ダマスクローズの特徴や香り、歴史、そしてダマスクローズの精油について紹介します。
ダマスクローズは20,000種以上あるとされるバラの中でもとりわけ香り高く、「バラの女王」とも呼ばれています。原産地はイランとされ、現在はブルガリアが栽培地として有名です。ブルガリアのバルカン山脈の南側渓谷にはバラが咲き乱れており、その一帯が「バラの谷」と呼ばれています。ダマスクローズは1年のうちわずか20日ほどしか開花しない、希少な品種でもあります。
バラの香りは甘く濃厚なものが多いですが、ダマスクローズはまるで生花のようなフレッシュで軽やかな香りが特徴です。香水の香料として用いられることも多く、ナチュラルでありながら、深みや華やかさを感じさせます。派手すぎる香りは避けたいけれど、華やかさは忘れたくない女性にぴったりです。
紀元前12世紀頃、イランでダマスクローズの栽培が始まりました。当時、ダマスクローズは浄化力が高く、神聖なものと考えられていて、花弁で香り付けした水を宗教儀式に用いていたとされます。10世紀には水蒸気蒸留法によるローズウォーターの生産が増え、飲料や料理、スキンケア、民間療法などに用いられていたそうです。
13世紀には十字軍によってブルガリアに持ち帰られ、ダマスクローズはヨーロッパに広まりました。歴史上の高貴な人々にも知れ渡っていたようで、エジプトのクレオパトラやフランスのマリー・アントワネットなども、この花を好んでいたと言われています。
ローズ精油の抽出法は、水蒸気蒸留法と揮発性有機溶剤抽出法の2種類です。水蒸気蒸留法で生成される精油は「ローズオットー」、揮発性有機溶剤抽出法により生成される精油は「ローズアブソリュート」と呼ばれています。抽出方法によって抽出される成分が変わるため、香りも異なります。
一般的に、ダマスクローズを抽出する際に選ばれるのは水蒸気蒸留法です。水蒸気蒸留法で1グラムの精油を抽出するには、約2,000〜3,000本のダマスクローズが必要とされます。そのため、ダマスクローズの精油はとても希少性が高く高価です。
ちなみに、抽出に使用されるのは芳香成分が揮発する前の開花直前の花びら。早朝に一つずつ丁寧に手で摘み取られたものを抽出します。
種類 | 抽出方法 | 使用される精油 |
---|---|---|
水蒸気蒸留法 | 原料となる植物を入れた蒸留窯に蒸気を送って水と一緒に沸騰させ、芳香成分のみを気化して抽出する | 多くの精油がこの抽出法で生成される |
揮発性有機溶剤抽出法
|
揮発性の有機溶剤に芳香成分を溶かして抽出する | ローズだけではなく、ジャスミンなど繊細な花によく使われる |
ダマスクローズから抽出した精油には、女性に嬉しい効能・効果があると言われています。ダマスクローズ精油がもたらす効能・効果について見ていきましょう。
ダマスクローズの香りには、リラックス効果があるとされています。優雅な香りが幸せホルモンであるオキシトシンの分泌を促すとされ、ストレスを和らげたり、ポジティブな気持ちにさせたりする働きが期待できます。不安な気持ちを切り替えたい時、自己肯定感を高めたい時、気分を高揚させたい時などにおすすめです。
ダマスクローズの香りは、女性ホルモンのバランスを整える作用があるとされます。月経不順や月経前症候群(PMS)、更年期障害、産後うつなど、女性ホルモンの乱れによる不調へのアプローチが期待できるでしょう。
ダマスクローズ精油には、肌を整える美容効果が期待できます。例えば、炎症や吹き出物を抑える、保湿によって乾燥を防ぐ、ホルモンバランスの乱れによる肌荒れを防ぐなどです。
また、ダマスクローズの主成分であるゲラニオール、ネロールには皮膚のハリを回復する作用があるとされ、肌のエイジングケア※に効果があると考えられています。
※年齢に応じたケア
ダマスクローズ精油は芳香浴をしたり、スプレーにして日常に取り入れたりと、さまざまな楽しみ方ができます。ダマスクローズ精油のおすすめの使い方を3つ紹介します。
芳香浴は空間に香りを広げて楽しむ方法です。アロマディフューザーやアロマランプを用いれば、手軽に香りを楽しめます。芳香浴専用のアイテムがなくても、楽しみ方はいろいろあります。
例えば、精油で入浴剤を作ってアロマバスを楽しむ方法や、マグカップに熱湯を注いで精油を2~3滴垂らして深呼吸する方法など。精油をハンカチに1滴垂らして持ち歩くだけでも、香りを楽しめます。
入浴剤の作り方やマグカップによる芳香浴のやり方は、下記記事を参考にしてみてくださいね。
ダマスクローズ精油を希釈すれば、体や顔のスキンケアに使えます。スイートアーモンドオイルやアルガンオイル、ホホバオイルといった植物性のキャリアオイルを用いた上で、使用する部位に適した濃度に希釈してください。
使用する部位 | 希釈する濃度 |
---|---|
体 | 1%以下(30mLあたり1~6滴が目安) |
顔 | 0.5%以下(30mLあたり1~3滴が目安) |
使い方は、お風呂上りや洗顔後の肌にやさしく塗布するだけ。ダマスクローズ精油の成分がうるおいを与え、肌の調子を整えてくれます。ただし、直接肌に使用する場合はパッチテストを行うようにしてくださいね。
精油をスプレーにすれば、いつでもどこでも香りを楽しめます。作り方はとても簡単。空のスプレーボトルに精油を10滴と無水エタノール10mL、精製水40mLを入れて、よく混ぜるだけで完成です。濃度は用途によって変わるので、以下を目安にしてください。
用途 | 濃度 |
---|---|
虫よけ、デオドラントとして肌に使う | 1%以下(子どもや敏感肌の人は0.5%以下) |
ルームスプレーや衣服に使う | 1~3% |
ダマスクローズ精油を使用する時には、いくつかの注意点があります。避けるべきこと、気をつけたい点を確認しておきましょう。
香りを楽しむくらいであれば、妊娠中に精油を使っても問題ありません。とはいえ、妊娠中はニオイに敏感になりがちな時期。強い香りは避けて控えめに香らせると良いでしょう。なお、特に体調が変わりやすい妊娠初期は、精油の使用は避けた方が無難です。
トリートメントやローションなど、精油を皮膚につける場合は、必ずキャリアオイルで希釈します。特に初めて精油を肌に使用する際は、希釈濃度に注意しながら低めの濃度から試してみてください。目安は1%程度で、顔に使用するなら0.5%以下を推奨します。
ダマスクローズは、コスメにも使用されることが多い植物です。最後にダマスクローズを用いたメゾンレクシアのおすすめスキンケアアイテムを紹介します。賦香(ふこう)はもちろん、うるおい効果の高い最上級の「ダマスクバラ花水」を贅沢に処方しています。
ダマスクローズやヒマワリなど、保湿効果の高い植物成分を濃密に配合した化粧水。角層のすみずみまでうるおいを届け、肌本来のすこやかさを引き出して、透明感※をもたらします。みずみずしいテクスチャーで、しっとりとした肌に導きます。
※うるおいを与えることによる肌印象
爽やかに引き締める、香り豊かなミスト化粧水。ひと吹きで心地よいダマスクローズの香りが広がり、肌も心もリラックス。使い勝手の良いミストタイプは、洗顔後や乾燥が気になる時のうるおいチャージにぴったりです。
紫外線ダメージなどのスペシャルケアにもおすすめのフェイスマスク。31種類もの植物成分を贅沢に配合したマスクが肌にぴったりと密着して、みずみずしいうるおいともっちりとした弾力をもたらします。
肌にのせると贅沢なローズの香りが広がり、至福のケアタイムが過ごせます。くすみ※1やハリ不足をカバーして、ハリ・ツヤ・透明感※2のある肌へ。
※1乾燥による ※2うるおいを与えることによる肌印象
肌にうるおいとツヤを与えるヒマワリや、トウキンセンカといった植物エキスを厳選配合。毛穴※1やハリ不足などの肌トラブルや、エイジングサイン※2にまっすぐ働きかけます。芳醇でエレガントなダマスクローズの香り。
※1 乾燥による ※2 乾燥やキメの乱れ
華やかでエレガントな香りが女性らしさを高めてくれる、ダマスクローズ。気持ちを穏やかにさせてくれたり、肌の元気を取り戻してくれたりと、女性に嬉しい効果も期待できると言われています。精油やスキンケアなどから上品に香るダマスクローズを日常に取り入れて、内面から輝く女性を目指しましょう。
WEBメディアディレクター。コンテンツSEOに特化したライターの育成も行う。自分自身の心身の健康のため、精油を学ぶ。心地よさを重視した、感覚ファーストな香り選びが得意。好きな精油TOP3はネロリ、コリアンダー、イランイラン。