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鈴木稚子先生
乾燥や脂っぽさ、かゆみや赤みなど、年齢と共に髪や頭皮の悩みも感じ始める方も多いのでは? 実は頭皮も、顔やボディと同じようにしっかりとしたケアや対策が必要。そこで今回は、髪も頭皮も美しく健康的でいるための方法を、美容皮膚科医の鈴木稚子先生に詳しくお聞きします。
目次
健康で問題のない頭皮は、うるおいがあって、少し青白っぽい色とされています。このような健康な頭皮は、べたつきもパサつきもなく、適度な弾力で動くのも特徴。頭皮が硬い場合は、内部の血行が悪くなっている恐れも。頭皮と顔は別物と考えがちですが、両方は1枚の皮膚でつながっていますからケアの重要性は同じ。ちょうどよい水分量を保ち、適切なケアをすることが大事です。
頭皮がうるおっている健康な状態なら、肌表面の水分や皮脂で構成されたバリア機能が働いていますが、乾燥をすると、水分バランスが崩れてバリア機能が低下し、刺激やダメージを受けやすくなり、かゆみが生じます。頭皮の乾燥が続くと、肌のターンオーバーによって未熟な角質まで剥がれ落ちてしまうため、白くてカサカサしたフケとなって目立つようになってくるのです。
頭のコリとは、頭の筋肉が緊張して、血行が悪くなったり老廃物がたまったりして起こります。頭の筋肉は体の筋肉よりも薄いため、動きにくく硬くなりやすいのも特徴。そのため血液の流れが悪くなると、肩コリや頭痛、目の疲れ、顔を引き上げる筋肉も弱くなり、目のたるみや頬のシワの原因になることも。
頭皮の湿疹は赤みを発症するだけでなく、かゆみをともなう場合もあり、頭皮を掻いてしまうと赤く炎症をおこしてしまい、酷くなるとかさぶたになってしまうことも。湿疹による赤みは脂漏性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎など、さまざまな原因が考えられますので、湿疹やかゆみがひどいときは、適切な対策を行うためにも、まずは皮膚科に相談しましょう。
□頭皮や髪がベタつく
□頭皮がカサつく
□かゆみ
□炎症による赤み
□シャンプーやヘア剤がしみる
□カサカサしたフケがでる
シャンプーの際、髪の毛ばかりを洗い、頭皮をしっかりと洗えていないことがトラブルの原因になる方は非常に多いです。勘違いされている方が多いのですが、シャンプーの一番の目的は頭皮についた皮脂などの汚れをしっかり洗い流すこと。いくら毎日髪を洗っていても、頭皮をしっかり洗えていなければ、頭皮トラブルだけでなく、においの元にもなるのです。
正しい洗い方としてはまず、シャンプー前に毛先が丸いブラシで、生え際から頭頂部に向かってとかし、頭皮と髪をほぐしておくこと。そしてシャンプーがよく泡立つよう、頭皮と髪を十分に濡らし、泡立てたシャンプーが頭皮全体に行きわたるよう、指の腹を動かしながらマッサージするように洗います。耳の上や後頭部の内側は洗い残しがちなのでご注意を。
髪と頭皮をしっかり洗えても、最後のすすぎが不十分だと、シャンプー剤などが頭皮に残ってしまい、毛嚢炎ができたり湿疹ができる原因に。頭皮にシャンプーやコンディショナーが残った状態を放置すると、毛穴につまったシャンプー剤などが雑菌の繁殖に繋がる場合も。せっかく髪や頭皮の健康を保つためにシャンプーをしたのに、そのすすぎ方が間違っていれば意味がありませんので、少し長いかなと思うくらい、時間をかけて丁寧に洗い流し、十分にすすぐことを忘れずに。特に生え際などはすすぎ残しをしやすい部分なので、注意することが大切です。また、シャワーの温度が熱すぎると必要な皮脂まで落とし、頭皮が乾燥する原因につながりますのでぬるま湯が◎。
気候が暖かくなると、暑さからドライヤーを使わず自然乾燥で済ませる方も多いかもしれませんが、これは頭皮にとってNG行動。頭皮を湿ったまま放置していると、雑菌が繁殖しやすい状態になり、頭皮のにおいが出やすくなり、ひどくなると痒みや炎症も起こすので必ずしっかりと乾かしてください。事前にタオルドライをして水気をふき取っておくことで、ドライヤーの時間が短縮でき、熱による頭皮のダメージを抑えられます。またドライヤーは、頭皮に近づけず離して使うことを心がけ、同じ場所に長時間熱を当てないように注意しましょう。
日々摂取する食事の内容が頭皮の環境に与える影響は大きく、荒れた食生活はそのまま頭皮トラブルにつながります。特に皮脂分泌が多くなってしまう脂質や糖質の多い食べ物、塩分過多で刺激の多いカップ麺やファストフードなどは控えめにするようにしましょう。頭皮や肌の健康のためには、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどといった栄養素をバランスよく摂取するのが望ましいですから、野菜、肉、魚、乳製品などをバランスよく食事に取り入れてみてください。
頭皮や毛髪、お肌にとっても睡眠はとても重要。睡眠不足は大きなストレスとなり、そのストレスが原因で、皮脂が過剰に分泌され、様々なトラブルが生じることも…。夜更かしを控え、睡眠時間を十分に確保することが、頭皮だけでなく心身の健康のために大切です。寝る時間や起きる時間も、できるだけ乱れないようにするのがよいでしょう。
パソコン作業などで目を酷使し続けていたり、座りっぱなしで運動不足な状態が長く続くと、頭皮がコリ固まって動きにくくなり、血流も悪化しやすくなります。血液の流れが悪くなると、頭皮トラブルだけでなく背中や肩コリにもつながります。ウォーキングなど軽い運動で血行を良くしたり、休憩中に度々、指先でこめかみをマッサージするなど頭皮のコンディションを整えることが大切です。
他のお肌と同様に、頭皮も日焼けは大敵。強い紫外線を浴びると、水分が失われて乾燥し、日焼けをしたまま放置すると、赤みの原因になりますので、予防やアフターケアを欠かさないことが大切です。UVカット率の高い帽子をかぶったり、クリームやオイルの日焼け止めは髪にからんでベタつくため、スプレータイプの日焼け止めがおすすめです。
スカルプケアで、特に大事なのは頭皮のうるおいを保つこと。頭皮ケアもお顔のケアも考え方は同じですから、大事なのはやはり保湿なんです。乾燥などで不足したうるおいを与える必要がありますから、ケア用のオイルやクリーム、ローションなどは保湿成分の高いアイテムを使うのがおすすめ。デリケートな部分だからこそ、しっかり成分も見極めた上で選んでください。
清潔な頭皮になじませることも重要ですので、ケアのタイミングとしては頭皮が柔らかくなっているバスタイムやお風呂あがりのタイミングが◎。優しくマッサージをしながら、しっかりケアしてあげてください。
(鈴木稚子先生)
頭皮にもボディにも使える、マルチ処方のスカルプエイジングケア※トリートメント。10項目のフリー処方で頭皮を柔らかくほぐし、乾燥によるかゆみやフケを防ぎ、髪にハリとコシを与えます。シャンプーの後、優しくマッサージするように使用し洗い流すだけで、コリやむくみもほぐれフェイスラインまでリフトアップ!
※年齢に応じたお手入れ
1994年東京慈恵会医科大学医学部卒業。同大学皮膚科学教室国立大蔵病院皮膚科臨床研究部を経て、2000年用賀ヒルサイドクリニック院長。2017年六本木スキンクリニックを開院。美肌の予防医療を専門とし、現代女性たちの肌悩みを解消するアドバイス・指導などを行う。