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桐生有紀先生
普段「頭のコリ」を気にしたことはありますか?実は頭のコリが原因で、顔のシワやたるみの原因になることも……。頭のコリをほぐすことで、アンチエイジング効果や、肩コリや頭痛の予防、快眠などさまざまな良い効果が期待できると言われています。そこで今回は、この頭のコリの原因や予防法、セルフチェックや改善方法について、勝どき駅前皮ふ科クリニック院長、桐生有紀先生に伺いました。ぜひ、顔だけでなく頭もケアして、キュッと引き締まったフェイスを目指しましょう。
目次
頭のコリとは、頭の筋肉が緊張して、血行が悪くなったり老廃物がたまったりして起こります。頭には筋肉がたくさんあり、さらに体の筋肉よりも薄いので、固くなりやすいのも特徴。パソコンやスマートフォンの見過ぎで姿勢が悪くなったり、運動不足だったりすると、この頭の筋肉部分が緊張して、血行が悪くなるとリンパの流れも悪くなり、これが頭のコリにつながります。
頭の筋肉は、首や肩の筋肉にもつながっているため、頭がこると肩コリや頭痛、目の疲れ、顔を引き上げる筋肉が弱くなり、目のたるみや頬のシワの原因になることも。このように頭のコリは、単に頭の部分的なコリだけでなく、体の中で様々な症状を引き起こすため、しっかりと改善していく必要があります。
頭のコリの一番の原因は、動かさないことです。動かさないことが血流の悪さにつながり、筋肉を固くさせていきます。体の他の筋肉であれば、関節を動かすことなどで血流が促され、コリの要因となる筋肉の緊張を和らげることができます。その一方で、頭部の筋肉は自分で動かすことが難しいため、固くなりやすいのです。
またテレワークの普及に伴い、運動量が減ってデスクワークが増えたことも、頭皮のコリや頭痛の原因の一つに。特に長時間のデスクワークやスマホの使用などで、同じ姿勢を続けたり姿勢が悪い状態でいると、肩や首、頭のコリにも直結しやすくなります。
コロナ禍でマスクを長時間着けるようになったことも、コリの原因に。マスクのゴムによって耳が引っ張られると、特にその周りの側頭筋に負荷がかかり、疲れがたまって頭痛を起こしたり、筋肉や筋膜が固くなってコリが生じます。
ストレスを感じると筋肉は緊張し、血管が収縮します。そのストレスが長期にかかり続ければ、筋肉や筋膜が疲労して固くなり、血流も悪くなって、コリが生じることに。頭の筋肉の中でも、特に側頭筋はストレスの影響を受けやすく、コリやすい部分。ストレスを感じていると人は無意識のうちに、歯を食いしばったり歯ぎしりをしたりして発散しようとするからです。そして、食いしばりや歯ぎしりを行うことで、側頭筋に過大な負荷をかけ、コリにつながっていきます。
まず、自分の頭皮のコリをチェックしてみましょう。コリを見極めるには、触るのが一番わかりやすいと思いますので、爪は立てずに指の腹部分を使い、少しずつずらしながら頭皮全体を触り、固さや痛みなどを確認していきます。
まずはおでこと頭の固さを比べてみてください。おでこはよく動くけれど、頭の部分は動きにくいという人も多いのでは? 構造的には頭皮と顔はつながっており、髪があるだけで同じ皮膚なのですが、おでこと同じように動かないというのは、頭だけがコリ固まっているという証拠です。
指を使って、ご自身の頭のてっぺんや、後ろ、前、横といろいろ触ってみてください。場所によって、頭皮が動きにくかったり、固さを感じたり、うまくつまめなかったり、痛みを感じたりする感覚が違うと思います。
頭の筋肉の中でも、特にコリやすく疲れやすいのが頭の両サイド、こめかみから耳の上周りにある側頭筋と呼ばれる部分。側頭筋は、口を動かす時に自然と力が入ってしまう部分なので、特に固くなりやすいため、一度自分の頭を触ってコリをチェックしてみてください。固さや痛さを感じる状態であれば、頭がコっていて、頭が疲れている証拠ですから、しっかりケアをしていきましょう。
頭がコっている状態をそのまま放置しておくと、頭痛や肩コリなどの体の不調だけでなく、顔のもたつきや見た目年齢がアップしてしまうなど、美容面でのダメージが出ることもありますので、そのデメリットを理解した上で、しっかり予防していきましょう。
頭の筋肉は首や肩の筋肉につながっているため、頭が疲れてコリ固まると、首や肩などのコリや目の疲れなどが同時に起こることも。例えば、目の疲れというと、目薬をさしたり、目を温めたり、目元周りだけをマッサージしがちですが、それと合わせて取り入れてほしいのが頭のマッサージです。
特に首と頭の境目にある後頭下筋群という筋肉は、目を使い過ぎると固くなってしまうので、マッサージでもみほぐしてあげましょう。このように頭の筋肉の疲れやコリが、さまざまな心身のトラブルを招き、それが新たな疲れやストレスの原因になるという悪循環が発生してしまうので注意です。
▶顔のたるみやシワ、くすみ
側頭筋は頬の筋肉とつながっているので、側頭筋がコリ固まると顔の筋肉を引き上げる力が弱くなり、顔がたるみやすくなると言われています。そして顔のたるみは、ほうれい線などのシワや二重顎を引き起こす可能性も…。さらに目元やフェイスラインが重くなってくると、顔の輪郭もぼやけて見えるので、顔を大きく見せてしまうことになります。 また、筋肉がコリ固まると血行が悪くなるので、顔色が悪く見えたり、くすみが気になったりすることも。たるみやシワ予防のスキンケアなど、お顔自体のケアも大事ですが、実は頭のケアも同じくらい重要なのです。
▶白髪やハリのない髪質
頭皮のコリの原因は血行不良のため、頭皮が固くこってくると、栄養や酸素が行き届かずに白髪になりやすくなります。また毛質が悪くなり、髪の毛にハリがなくなってくるため、実年齢よりも老けて見えてしまうデメリットも。頭皮環境の悪化は、白髪を増やしたり毛質悪化の原因となりますので、頭皮を柔らかく血行も良くして、より健やかでコシのある美しい健康な髪が生えてくるよう改善していきましょう。
頭のコリを予防するには、同じ姿勢を長時間取り続けないことが大事。特にデスクワークで背中や肩を丸めている姿勢を続けている方は、頭だけでなく肩や首まわりの筋肉が緊張しやすいため注意が必要です。
長時間同じ姿勢での作業が続きそうな時は血流が良くなるように、座ったままでいいので、時々体を動かして座る位置や姿勢を変えるなどして、筋肉が強張らないようにするのも◎。また2時間に1回くらいは肩を回したり首を回すなどのストレッチを行い、血流を良くしていきましょう。
頭部の筋肉を自力で動かすことは難しいため、やさしくマッサージすることで頭皮のコリや固さをほぐすことができます。皮膚を傷めないよう爪を立てず、指の腹を頭皮に当てて行うのがポイント。痛みを感じるほどの強さで行うと、筋肉が緊張状態になってしまうため、心地良く感じる程度に圧をかけることが大切です。
動かし方のコツは、頭の表面をこするのではなく、地肌や皮下組織、筋肉も一緒に動かすことをイメージしながら、指の腹でやさしくが基本。頭の上、耳の上、頭の後ろなど、全体を円を描くように、1つの部位に関して、90秒ずつくらい行うのがベストです。長時間かけてたまにやるのではなく、短時間でも毎日習慣づけて行って。
頭皮マッサージと同様、習慣として取り入れたいのがブラッシング。日々ブラッシングをすることで頭皮が自然に刺激され、血行の改善と頭のコリ解消に繋がります。使用するブラシは、頭皮を傷めないクッション性のあるもの、毛先がやわらかく丸みを帯びたものを選ぶなど、髪や頭皮に優しいアイテムを選ぶのがコツです。
少し熱めの50℃前後のお湯で濡らして絞ったタオルや、水で湿らせたタオルをレンジで1分ほどチンしてターバンのように頭全体に巻き付けて頭皮を温めるのも◎。冷めないようにラップをすると保温効果もありさらに効果UP。
ホットタオルを巻いて頭皮を温めるのもいいのですが、忙しい時は少し面倒だと感じる方もいらっしゃるはず。そこで一番簡単なのは、シャンプーの前後にシャワーでのすすぎをいつもより長めにして、頭皮にお湯を当てて流してあげること。打たせ湯みたいなイメージで、40℃前後のシャワーを、頭皮に直接掛け流しながら、3分から5分といつもより長めに髪をすすぐことで、頭皮の血流が良くなります。湯船では肩や首は温まっても、なかなか頭皮までは温められないので、ぜひシャワーのお湯を掛けて直接温めてあげてくださいね。
マッサージや頭皮の保温などは、習慣化し細々と長く続けることが一番大事ですので、無理せず自分が心地よく続けられるものを選んで行ってみてください。顔と頭は1枚の皮で繋がってるからこそ、頭皮ケアを意識することで、くすみ、シワ、たるみなどを防ぎ、顔のエイジングケアにもなります。ぜひ頭皮ケアもスキンケアのひとつだと考えて、習慣化してみてください。
頭皮環境を整えて、ハリやコシのある美しい髪に導いてくれるスカルプエイジング※トリートメント。厳選された植物由来成分配合により、年齢や季節環境でゆらぎやすい頭皮にうるおいを与え、すこやかな頭皮環境へと整えてくれます。トリートメントをなじませるついでに頭皮マッサージをすることで、頭皮のコリをほぐすこともできます。
※年齢に応じたお手入れ
さらに、10項目の無添加処方だからこそ、頭皮だけではなく、ボディマッサージにも使えるのが魅力です。心地よいウッディ・スパイシーの香りで、心も身体も癒されるバスタイムを過ごしましょう。
「アルガンオイル」として注目されるアルガニアスピノサ核油や、ユズ種子油など濃密な植物成分を配合したヘアオイル。
ブラッシングや乾燥によるダメージを受けやすい毛先までしっかりと包み、さらっと軽やかにまとまりながら、髪に自然なツヤとうるおいを与えます。
国公立大学医学部卒業後、東京都済生会中央病院にて勤務ののち、日本医科大学付属病院形成外科・美容外科、天現寺クリニック院長を経て、2018年より勝どき駅前皮ふ科クリニック院長を務める。クリニックではアトピー性皮ふ炎など保険診療のほか、プラセンタ注射やリフトアップといった保険外の美容診療まで幅広く診療している。