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フレグランスアドバイザー・評香師 MAHO(まほ)
香水は個性を表現し、周りの人に与える印象をコントロールできるアイテムです。ですが香りは感覚的なものなので、選び方が分からない人もいるかもしれません。そんな人に向けて、香水を選ぶ際のポイントや香りの種類、香水の魅力を最大限に活かすための付け方、おすすめのアイテムを紹介します。
目次
香水を選ぶなら、好みの香りやなりたい印象を意識し、自分の肌で試してみるのがポイントです。最初に香水の選び方を紹介します。
まずは好きな香りで選ぶのがおすすめです。好きな香りの石鹸やハンドクリームがあれば、それに近い香りの香水を探してみてはいかがでしょうか。選ぶ際は、お店にあるムエット※に香水を付けて香りを確認しましょう。他のアイテムに比べて香水は個人の嗜好が分かれやすいので、自分の好みで選ぶのが大切です。
※日本語では「試香紙」または「匂い紙」
なりたい印象を意識して、それに合う香りを選ぶ方法もあります。印象別に代表的な香りの系統を紹介します。
印象 | 香り |
---|---|
爽やかでヘルシー | ・シトラス フローラル ・グリーンフローラル
・ハーバルウッディ
|
可憐でフェミニン | ・フローラルブーケ ・フルーティーフローラル
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大人っぽく華やか | ・オリエンタル系 |
クールで落ち着きがある | ・ウッディ系 |
上記を意識した上でビジネスなら落ち着きのある香り、デートなら女性らしい甘い香りと、使用シーンを考えて選ぶのも良いでしょう。
候補の香水が見つかったら、自分の肌で香りの広がり方を試してみましょう。香水は体温によっても香り方が違い、ムエットを通した香りと肌に付けた香りは微妙に異なります。
また、香料の揮発によって香りが現れるタイミングが異なるため、香水は時間経過とともに香りが変化します。香水の香りの移り変わりは、トップノート、ミドルノート、ベースノートの3段階。香水を手首に付けてみて、付けた瞬間のトップノート、30分後からのミドルノート、2時間以上経った後のベースノートまで体験してから選ぶのがおすすめです。
賦香率(ふこうりつ)とは、香水に含まれる香料の割合のこと。濃度が高い順にパルファム、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロンの4種類に分けられます。
パルファムは最も濃度が高く香りが濃密で、少量でもしっかり香るのが特徴です。香水本来の香り、奥行き、深みなどをじっくり楽しめます。長く香るので付けすぎに注意しましょう。パーティーといった華やかなシーンにおすすめですが、日本ではあまり取り扱いがありません。
オードパルファムは、パルファムに近い濃度で調香されたものです。香りの奥行きはしっかりと感じられますが、パルファムと比べて香りの深みは控えめで使いやすいのが特徴です。リーズナブルな価格で種類も多いので、好きな香水を選びやすいでしょう。
オードトワレの香り立ちはパルファムに比べるとフレッシュです。濃度も持続時間もほどほどのため、カジュアルに使いやすいでしょう。プチプラフレグランスでも種類が多く、アジア圏、日本人、初心者、ティーンエイジャーでも手に取りやすいのが魅力です。
オーデコロンは賦香率が最も低く、最初から最後までライトな使い心地です。シトラス系の古典的なコロンタイプも多く、甘さの少なさが特徴的。持続時間が短いので、気分転換したい時におすすめです。
なりたい印象で香水を選ぶなら、香りと印象の関係を知ることが大切です。香りのタイプはフローラル、シトラス、オリエンタル、ウッディの4種類に大別されます。
フローラルは女性用の香水の半数を占めます。花のような優しい香りが多く、フェミニンな印象を与えます。単一の花のイメージに仕上げたシングルフローラルや、数種の花の香りを合わせたイメージのブーケタイプなど、バリエーションが豊富です。
シトラスはフレッシュな印象を与える、柑橘系の爽快な香りです。代表的な柑橘には、レモン、グレープフルーツ、ベルガモット、ライム、オレンジなどの香りがあります。
シトラスは男女ともに付けられるユニセックスタイプの香水に多く、パートナーへのプレゼントにもおすすめ。シトラス系はライトで軽やか、一般的に親しまれている素材が香ることが多いので、香水初心者や、相手の好みが分からない時のプレゼントにも適しています。
直訳すると「東洋的な」というオリエンタルは、東洋や中近東を連想させる香りです。バルサミック(樹脂類)やスパイシー、ウッディ、アニマリックな香料を加えた甘美でエキゾティックな香りで、センシュアルさを印象づけたい時におすすめです。
木の香りを連想させ、落ち着いていながらどこか親しみやすくもあります。サンダルウッドやシダーウッドなどの木材はもちろん、木調の香りを持つ葉や根から抽出された素材も利用されます。ユニセックスなムードが漂うため、男女問わず人気。クール、ミステリアスなムードを演出したい時におすすめです。
さらに香りのニュアンスによって、以下のようなサブファミリーに分けることができます。
代表的なカテゴリと特徴をご紹介します。
サブファミリー | 特徴 |
アルデハイド | 花の香りを合成香料(アルデハイド)で特徴づけたエレガントな香り |
フルーティー | ピーチやベリーなど、柑橘以外の果物の香り |
グリーン | 刈り取った草や葉の青々しさを思わせる香り |
シプレー | 柑橘とオークモス(苔)が核となった、奥深い香り |
アンバー | アンバーグリス(竜涎香)やバニラのような甘い香り |
レザー | 皮革を思わせるようなドライでスモーキーな香り |
香水は時間の経過だけではなく、付ける体の場所によっても香り方が変わります。香水と上手に付き合うために知っておきたい、付け方のコツを紹介します。
前述のように香水は付けた瞬間から香りが変化し、メインの香りであるミドルノートは30分から1時間程度経ってから香ります。そのため、香水は外出の30分ぐらい前に付けるのがおすすめ。香りの変化を意識して、香らせたい段階を逆算して付けるのも良いでしょう。
香水は濃度やタイプ、使われている香料、付ける体の場所によっても適量が変わるため、少量で様子を見てから調整するのが理想です。電車やオフィスなどでは予想以上に香りが目立つこともあるので、付けすぎに注意します。まずは1プッシュ付けて、噴出量や香り方を確認するとよいでしょう。
香水は付ける体の場所によって香り立ちが大きく変わります。相手との距離感や過ごし方で付ける場所を変えるのがポイントです。香水を付けるおすすめの場所は以下の5つです。
<ウエスト周り>
ウエストの両サイドや脇腹に香水を付けると、全身を包み込むように香りが広がり、ほのかに香らせられます。TPOを問わないので、レストランでの食事やビジネスシーンにも合います。
<ひじの内側・手首>
ひじの内側や手首には、動脈があるのでしっかりと香り立ちます。香りでイメージづけしたい時、華やかさを演出したい時におすすめです。
<足首・ひざの裏側>
足首やひざの裏に付けると、鼻との距離ができて香りが強い香水でも控えめに香ります。また足首は体温が上がりにくいため、香水本来の香りが穏やかに長持ちします。隣の人と長時間過ごす映画やドライブシーン、香水初心者におすすめです。
<肩>
上半身でも、より柔らかく香りが広がるのは肩やショルダーラインです。上着を脱いだ時や近づいた時に香るので、デートシーンなどにふさわしいでしょう。
<うなじ・首筋>
うなじや首筋は体温が高く、自分や周囲にいる人の鼻との距離が近いので、少ない量でもしっかり香りをアピールできます。仕事終わりに出かける際や、ロマンティックな時間を過ごしたい時にぴったりです。
なお、脇や足の裏といった体臭の発生しやすい場所は、体臭と香水が混ざってしまうので控えるのが無難です。
花や草木、果実などから得られる、稀少な天然香料をふんだんに用い、2014年に誕生したメゾンレクシアのフレグランス。天然香料という悠久の価値に、パフューマーの智恵と技術を調和させた“心を美しくする香り”が、纏う人の心に唯一無二の物語を紡ぎます。
そして2024年3月1日、メゾンレクシアはフレグランスの装いを一新。時とともに移ろう繊細で複雑な香りの魅力をより感じていただけるよう調香を再構築し、ボトルデザインも一新。新作「セレンディピティ レイ」を含む、香りの持続性の高い6種のオードパルファムを新発売しました。
今回新たに、香りの重ね付けを楽しみやすい10mLサイズや、選べる7色のレザーチャーム(50mLサイズ限定)も登場。より自由に自分らしく。シーンや気分に合わせて楽しむ、“香りのある暮らし”を創造します。
新作の「セレンディピティ レイ」は、心ときめく出会いや偶然に訪れる幸運など、人生の喜びを色とりどりの果実と花々で鮮やかに描き出すオードパルファム。ピンクペッパーを効かせたシトラスに甘酸っぱいベリーとプラム、可憐なフリージアが調和する、希望に満ちた香りです。
「エッセンス オブ ザ サン」は、降り注ぐ陽光、しなやかな花をイメージさせるオードパルファム。ネロリなどのフレッシュなシトラスノートに繊細な甘さのローズやジャスミンが重なり、気品ある印象に。ラストはアンバーな香りが温かく包み込み、やわらかな個性を描きます。
「ビガラディエ」は、青く澄みわたる地中海、黄金の果実が輝く木々など、南仏の旅で出会った絵画のような情景を香りで描いた清々しいオードパルファム。ビターオレンジの木から採れる多彩な香料を調香し、爽やかで甘美な表情の中にフローラルの余韻が広がります。
「ジンズ ウインド」は、普遍的な愛を意味する、儒教の「仁」に由来するオードパルファム。爽やかな風を運ぶフレッシュな柑橘にローズが美しく調和し、針葉樹のグリーンと神聖な香木が香りに奥行きを与えます。心が解放され、懐かしく穏やかな安らぎへ誘います。
「パス トゥ エレガンス」は、フェミニンでありながらも天真爛漫で、芯の強さと陽気さに溢れつつも慎ましい、多面的な女性の魅力を感じさせるオードパルファム。弾けるシトラスに華やかなフレッシュローズ、甘くパウダリーなスウィートムスクがやわらかく溶け合います。
「ヴァーダント」は、空をのぞむ山峡、朝露に濡れた草葉のみずみずしい芳香。光を浴びて力強く芽吹く、生命の輝きを思わせるオードパルファム。軽快なシトラスにミュゲ、ハニーサックルが甘さを添え、いきいきとした爽やかさの奥でやわらかな余韻が漂います。
香水は自分が好きな香りや、なりたい印象を意識して選ぶのがポイントです。付けた後の印象は、香水の賦香率や香りの種類によっても変わります。香水の選び方や付け方のコツを押えて、好きな香りを纏ってみませんか。
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メディアやイベント、セミナーなどを通じて香りの楽しみ方や魅力を発信。主宰のプライベートサロンではパーソナルカウンセリングを行い、クロスブランドでの香水スタイリングのパイオニア。日本フレグランス協会では、設立時より常任講師としてフレグランスセールススペシャリストの育成にも尽力。日本調香技術普及協会理事。