1
監修者:メゾンレクシア 調香師
香水には香りの持続時間が存在します。持続時間は香水の種類によって異なり、時間経過とともに香りはグラデーションのように移り変わっていきます。香水の持続時間や香りの変化の特徴を知ることで、香水をより楽しめるでしょう。本記事では、香水の種類別の持続時間や香りを長持ちさせる付け方や注意点、おすすめのフレグランスを紹介します。
目次
監修者:メゾンレクシア 調香師
香水には4つの種類があり、それぞれ濃度や香りの持続時間が異なります。まずは各種類の特徴と香りの持続時間、適した付け方を紹介します。
香水の種類の中で一番濃度が高く、香りの持続時間が長いものがパルファムです。少量でしっかりと香るほど濃厚なため、付ける際には加減が必要です。存在感があるため、パーティやフォーマルな場に向いています。なお、パルファムは日本ではあまり取り扱われていません。
<パルファムの濃度・持続時間・付け方>
オードパルファムは、パルファムより一般的な香水と言えます。パルファムよりも濃度は低いですが、香りの持続時間は長めなので、何度も付け直す必要はありません。スプレータイプの場合は、肌から10~20センチほど離れたところからプッシュするのがポイントです。
<オードパルファムの濃度・持続時間・付け方>
日本で香水として販売されているものは、ほとんどがオードトワレです。濃度が低いため軽やかに香り、持続時間はやや短めです。香りを長時間纏いたい場合は、持ち歩いて付け直す必要があります。濃度は低いですが、スプレータイプの場合はオードパルファムと同様に、10~20センチ離れたところからプッシュしてください。
<オードトワレの濃度・持続時間・付け方>
香水の中で最も濃度が低く、優しく香るのがオーデコロンです。香りの移り変わりも少なく、強い香りが苦手な人にも適した種類です。一時的に香りを楽しみたい時にも使いやすいでしょう。
<オーデコロンの濃度・持続時間・付け方>
時間が経過するにつれ、香水の香りは移り変わっていきます。時間経過による香りの変化は「トップノート、ミドルノート、ベースノート」の3段階に分けられますが、最近では3段階に変化せず、TOPからずっと同じ香りの香水も見られるようになりました。ここでは基本となるトップノート、ミドルノート、ベースノートの特徴を紹介していきます。
香水を付けてから5~10分後に、最初に感じる香りがトップノートです。トップノートを感じる時間は10~30分程度で、揮発性の高い香料がよく用いられます。特に、シトラスやハーブ系の香りが使われることが多いです。付け始めてすぐに香るので強く感じることもありますが、徐々に落ち着いていきます。
トップノートから徐々に香りが移り変わり、30分~2時間程度持続するのがミドルノートです。ミドルノートは香水の核となる部分とも言われており、個性を感じやすいのが特徴。香水に含まれている香料が、バランス良く香ってくれます。ミドルノートには、フローラル系の香料が多く用いられる傾向があります。
ベースノートはラストノートとも呼び、香水を付けてから2時間以降、香りが消えるまでの残り香の部分を指します。トップノートとは逆で、揮発性が低い香料を使うのが主流です。付けている人の体温や肌の匂いと混ざり、独自の香りに変化していきます。ベースノートにはムスクやサンダルウッドなど、持続性の高い香料がよく用いられます。
間違った方法で香水を付けていると、香りの持続時間が短くなったり、香りが変質しやすくなったりします。ここでは、香水の香りを長持ちさせる付け方を紹介します。
香水を正しく付ければ、香りの持続時間を長く引き出しやすくなります。
<基本の付け方>
香りは、汗や汚れの影響で変化してしまいます。そのため、付ける前にはシャワーやお風呂で体を清潔にしておきましょう。入浴が難しい場合は、香水を付ける部分を濡らしたタオルで軽く拭いておくのがおすすめ。手首に香水を付ける場合には、手を洗う際に手首まで洗うと良いでしょう。
香水を付けるパーツは2、3ヵ所に留め、汗をかきやすい部位は避けるようにします。
<香水を付ける基本的な場所>
<付ける際のポイント>
強く香らせたい時は上半身に、優しく香らせたい時は下半身に付けるのがポイントです。付ける部分を決めたら、20センチ程度離れたところから1プッシュしてください。オーデコロンの場合は香りが軽いため、2~3プッシュしても問題ありません。香水と肌の距離が近すぎると付けすぎの原因になるので、注意が必要です。
また、出かける直前よりも30分ほど前に付けておくと、香りのバランスが良い状態で外出できます。
より長く香りを持続させたいなら、肌の保湿をしておくのがおすすめ。肌が乾燥した状態だと香りが揮発しやすいので、ボディクリームなどで保湿を入念に行うと良いでしょう。
なお、ボディクリームは無香料のものを選ぶと香りが混ざるのを防げます。無香料のものがない場合は、香調への影響が及ばないように、なるべく香水に合う香りのボディクリームを選ぶようにしてください。
手首などに香水を付けてからこするのは、実は間違いです。こすると摩擦が起こって香りの成分が濁り、変質してしまいます。香りが変わるだけではなく、長持ちしにくくなる原因にもなるので、香水を付けた後はその部分に触れないようにしましょう。
季節によって、肌は汗をかきやすくなったり、乾燥しやすくなったりします。そのため、香水の付け方を季節に合わせると、より効果的に香水を纏えます。例えば、乾燥しやすく体温が上がりにくい冬は上半身に少し多めに付け、汗をかきやすく体温が上がりやすい夏は下半身に少量を付けるなど。気温や体温に合わせて、付ける位置や量を調整するのがポイントです。
香水を付け直すタイミングは、香りの持続時間を終えてからです。香りが弱くなってくると付け直したくなりがちですが、鼻が香りに慣れて弱く感じているだけかもしれません。持続時間を終えていないのにすぐに付け直すと、付けすぎの原因になる恐れもあります。また、付け直しの回数は1日1回までに留めておくのが適切です。
香水は奥が深いもの。自分好みの香りや系統を知っておくと、香水の世界がより魅力的に感じられるでしょう。最後に香水を楽しむ際のポイントをチェックしていきます。
香水を構成する香料には、複数の系統があります。音楽なら「音階」、絵画なら「色調」と、音や色に構成要素を表現する言葉があるように、香りにも「香調」「ノート」といった系統を示すものがあります。香調は、花の香りを楽しめるフローラル系や、フレッシュでさわやかなシトラス系など、種類もさまざまです。
サステナブルなどの自然志向が注目されるとハーバルノートやアロマティックノートが流行り、環境破壊が問題になると生命の源である海を想起させるマリンノートが人気になります。グルメブームであれば、チョコやバニラといったお菓子のような香りが楽しめるグルマンノートが多く販売されるなど、ファッションのように香調にも流行が存在し、社会情勢などが反映されることも多いです。また、香調は、メンズとレディースでよく使われる香料に若干違いがあるなど、非常に奥が深いものです。
食べ物の好き嫌いのように、香りの好みにも個人差があります。香水を選ぶ時は、自分の好きな香りを思い浮かべてリストアップをしてみると良いでしょう。次に、その好きな香りが属する系統の香料が使われている香水をチェックします。例えば、バラの香りが好きならフローラル系が使われている香水を試してみると良いでしょう。
また、なりたい自分をイメージできる香りを探してみるという方法もあります。例えば、凛とした佇まいに憧れを抱くのであればスパイシー系の香水を試してみるなど。
自分の好きな香り、なりたい雰囲気に近い香りが、具体的にどんな香りか分からない時は、香水販売店で香りについて教えてもらったり、テスティングしたりするのも自分好みの香りに早く出会う近道です。
香水のボトルデザインで選ぶのも良いでしょう。ボトルデザインには、その香りがどのようなストーリーを持っているのか表現されている場合もあるので、香りと見た目の両方で香水を堪能するといった楽しみ方もできます。
また、お気に入りのファッションブランドの香水であれば、香りを含めてコーディネートに統一感が生まれ、そのブランドの世界観により浸れるでしょう。
香水を何度も付け直したり、3ヵ所以上の場所に付けている場合、付けすぎになっている恐れがあります。香水の付けすぎは、周りの人の迷惑になってしまうかもしれません。TPOを守って適量を付けるのが、正しい香水の付け方です。もし多めに付いてしまった場合は、流水で洗い流すかウェットティッシュなどで拭き取ると香りを抑えられます。
香水は劣化すると、香りが変質してしまいます。劣化を防ぐためにも、保管は正しく行いましょう。直射日光の当たる場所や温度変化の激しい場所は避けるのが基本。また、アルコールの揮発を防ぐためにも、保管時は蓋をしっかりと閉めるようにしてください。
繊細に表情を変える天然ならではの複雑な香りの魅力を感じたい方には、持続性が高く、使用シーンを選びにくいオードパルファムがおすすめです。
2024年3月に、装いを新たに新登場した「メゾンレクシア」のフレグランスには、纏う人の心にやさしく寄り添う、個性豊かなオードパルファムが揃います。
香りの持続時間は、香水を正しく付けることで最大限長く引き出すことが可能です。付けすぎや保管方法に注意しながら、より長く香りを楽しみましょう。
みずみずしい生命力にあふれる植物の“香気”を、肌と心にまっすぐ届けるメゾンレクシアの調香師。纏う人の心を満たし日常を鮮やかに彩る“香りのアート”を描くために。繊細で複雑な香料のわずかなコンディションの違いを読み取り、フレグランスはもとより、スキンケア&メイクアップタイムを優雅なひとときへと昇華させる香りを紡ぎだしている。