1
監修者:Bella Beauty CLINIC理事長 石川 佳奈先生
皆さんは、脂性肌(オイリー肌)や、乾燥肌、混合肌など、ご自身の肌タイプがどれに当てはまるかご存知でしょうか?「脂性肌だと思いきや実は混合肌だった」なんて勘違いもよくあり、合わない化粧品で肌にダメージを与えている場合もあるかも!? まずは自分の肌タイプを正確に把握し、今後のスキンケアの参考にしてみてください。
目次
皮膚は基本的にはどの人も同じ構造です。しかしその機能や働きは、遺伝や生活習慣、環境の違いによって、肌表面の質(肌質)はそれぞれ異なってきます。そのため『肌質』と一言で言っても、
先天性(生まれつきのもの)
後天性(日々のスキンケアやライフスタイル、精神的な部分などに影響されるもの)
の両方が関わり、また元々は脂性肌だったけれど、年齢と共に乾燥してくるようになった…という加齢による変化、最近ではコロナ禍のマスク使用による肌トラブルなど、人によっては大きく影響することも。
そもそも肌質とは、いろいろな要因が重なって作られるものですので、大切なのは現状を正しく把握し、その状態に合ったケアをすること。しっかりと自分の肌を知り、悩みを解消していきましょう。
自分の肌質を見分けるためには、まず朝起きて洗顔後10分間ほど経ったときの肌状態を見ていき、肌質を見分けましょう。
セルフチェック方法
1.まずは洗顔料で洗顔をしてください
2.洗顔後、何もつけずにそのまま10-15分待ちます
3.お肌の状態をチェックしてみましょう
▶顔全体がカサカサしている→【乾燥肌】
▶カサつきも少なく、テカリもない→【普通肌】
▶顔全体がうっすらと、てかっている→【脂性(オイリー)肌】
▶カサついているところと、テカっているところがある→【混合肌】
一般的に肌質とは、肌の水分量と皮脂量を指標として、そのバランスにより「普通肌」、「脂性肌(オイリー肌)」、「混合肌」、「乾燥肌(敏感肌を誘発しやすい)」の4つに分類されます。各肌タイプはどのような特徴があるのか見ていきましょう。
▶皮脂量と水分量がちょうどよく保たれていて、バランスが良い肌タイプ
・適度な皮脂の分泌量があり、保湿能力が高く、角層水分量が多いため、肌トラブルがない良好な状態
・肌表面のキメが整っていて、毛穴は目立ちにくい
・角層が健康な状態で、ツヤがありやわらかい
▶皮脂腺の働きが活発で、皮脂量・水分量ともに多い状態の肌タイプ
・水分が多いためにうるおいはありますが、皮脂が多いためにニキビや吹き出物ができやすい
・特に皮脂腺の多い額や鼻筋といったTゾーンがテカったり、触るとべたつきを感じたりする
・毛穴の開きが目立ち、キメが粗く、毛穴が皮脂でふさがれてニキビができやすい
・皮脂は汚れがつきやすく、雑菌が繁殖しやすいので、ニキビが悪化しやすい
・皮脂により角層の水分蒸発は防ぐが、逆にセラミドなどの成分が不足して角層の剥離が起こるため、表面のざらつきや硬さを感じることがある。
▶皮脂量は多く脂っぽいが、肌の水分量が少ない肌タイプ
・部分的に乾燥したり脂っぽかったりする、日本人女性の自己判断で最も多い肌タイプ
・皮脂腺が活発な部分(主にTゾーン)の皮脂分泌が多くなり、反対に皮脂分泌が少ない頬や目の周辺(Oゾーン)は乾燥する。
・バリア機能が弱いために刺激を感じやすかったり、かゆみを伴ったりすることもある
・見た目はうるおっているのに、ベースメークののりが悪い
▶皮脂量や水分量がともに少ない肌タイプ
・皮脂腺が発達していない、または働きが低下しているため、毛穴が小さく皮脂の分泌量が少ない
・皮溝が浅く、角層の水分量が低下しているため、皮丘がつぶれてキメが流れて見えることもある
・肌表面はカサカサ・ザラザラし、潤いが失われがちなため、バリア機能が低下し肌トラブルが起こりやすい
・洗顔後につっぱりを感じることがある
・肌に透明感やハリが失われ、特に目元や口元にしわっぽくなる
・化粧の際にファンデーションなどのノリが悪い
▶明確な定義はないが、乾燥肌寄り。少しの刺激で発赤やかゆみ、発疹ができやすい肌
・敏感な部分は皮膚が薄くなっている
・乾燥肌と同様、肌表面がカサカサとした状態になっていることが多い
・季節の変わり目や月経前後、体調などの影響で皮膚機能が弱まったときにトラブルを起こしやすい。
▶お手入れのポイント
季節や環境の変動により、皮脂分泌が多くなったり乾燥することもあるので、乾性肌にも脂性肌にも傾く可能性があります。季節によってその時の肌状態に合ったケアをすることが大事。現状に合った適切なケアを行うことで健やかな肌状態を維持して。
▶必要なケア
・洗顔時の過度な摩擦により、角質を傷めないよう注意
・肌状態にあった丁寧な保湿ケアを行う
・季節の変わり目は特に注意が必要。乾燥しがちな季節はクリームを多めに塗るなど、適切な油分補給を。
▶お手入れのポイント
・丁寧な洗顔を行い、しっかり水分を補うことで過剰な皮脂を抑え、うるおいのバランスを整えるケアが必要
・うるおいを逃さないよう、適度な油分もプラスして
▶必要なケア
・過剰な洗顔による皮脂の取り過ぎに注意
・クレイパックなどで余計な皮脂や、毛穴の汚れを取り除く
・べたつきを気にして保湿ケアを怠るのではなく、適度に乳液やクリームでお肌にフタをし、うるおいを逃さないようにする
・化粧水は油分の少ないさっぱりタイプを使用する
・刺激物、甘いものや油物は皮脂分泌を過剰にするため、摂り過ぎに注意
▶お手入れのポイント
・部分ごとに肌状態に合わせてお手入れ方法を調整する
・皮脂を取りすぎると、肌がさらに脂を分泌して逆効果に。軽く押さえるなどの対策で十分。
▶必要なケア
・丁寧な洗顔やパックなど脂性肌向けのケアを行った後に、乾燥する部分はプラスの保湿ケアを行う
・皮脂量が豊富なTゾーンは角質ケアを心掛け、乾燥しやすい目の周りやOゾーンは特に念入りに保湿を
・春夏でもクリームをつけ保湿を欠かさずに。日焼け止めもしっかり塗って
▶お手入れのポイント
・水分と油分を共に補い、肌表面に保護膜をつくることで、肌の潤いを保つ
・保湿ケアアイテムは、使用量が少ないと肌を摩擦して刺激を与える上、うるおいが行きわたらないため、使用量を正しく守り、水分と油分を肌にしっかりなじませて
▶必要なケア
・皮脂を取り除きすぎない洗顔料を使用し、過度な摩擦を与えないように注意
・しっとり系の化粧水で水分を補うだけでなく、油分も足りていないので乳液やクリーム、美容オイルを使用して、適度な油分をお肌に与えることも大切
・マッサージやパックを行い、血液循環を促進することで栄養が肌に行き渡るようにする
・肌の保湿成分(NMFやセラミド)と同じ働きを持つ成分を配合したスキンケア製品を活用する
▶お手入れのポイント
・生まれつき水分保持力が弱い人もいれば、不適切なケアにより、保湿機能が低下することが原因になっていることも。角質のバリア機能を高めるためにも正しい保湿ケアを維持することが大切
▶必要なケア
・過度な摩擦や洗浄作用の強いケアは避ける
・水分と油分を補う丁寧な保湿ケアを行うことで、角質のバリア機能を高める
・日中はベースメイクなどで乾燥対策、紫外線対策を行い、外部の刺激から肌を守る
・炎症が慢性化していたり繰り返す場合は専門医に相談を
・生活習慣の見直しを行い、ターンオーバーが健全に行われるようにする
肌質の中でも、特に混合肌は脂性肌と間違いやすいのでケアを誤りがち。間違ったスキンケアで症状が悪化すると、肌トラブルやシミ、たるみなど老化の原因にもなるので注意を。
特に春夏の環境は、混合肌になりやすく、見た目は潤っているようでも、実際は水分不足というケースも少なくありません。混合肌も、表面的な症状は脂性肌と似ていますが、お手入れ方法は異なりますので、正しい対策を実践して健康的な肌を手に入れてください。
私は脂性肌(オイリー肌)だから、クリームはつけないで化粧水と美容液のみ。というのが間違った肌質認識で一番多いパターン。実際の肌質は、本人が思う肌質と違っていたという場合が少なくありませんので、しっかり自分の肌の状態を把握することが大事です。
「脂性(オイリー)肌」は油分も水分も多い状態ですが、自分は脂性肌と思っている方でも、実際は「混合肌」の場合が多いです。肌は水分不足を起こしていますので、しっかり部分ごとにケアしていく必要があります。
乾燥肌で油分も水分も足りない状態なのに、自分の肌は脂性肌だと勘違いする人も。間違いがちなポイントは、油分・水分不足が原因で皮脂が過剰に分泌してしまうことにあります。特に春夏は、皮脂や汗で表面上は潤っているように感じますが、実は乾いてしまっていることに気づかず、いつのまにか肌の内側の水分量が減少していることもあるので要注意です。
毎日のスキンケアで大切なのは、油分と水分のバランスを整え普通肌の状態に近づけること。それぞれの肌質に合わせたおすすめのスキンケアはありますが、そもそも最初の肌質判断を間違ってしまうと、お手入れしても良い肌状態に近づくどころか、ますます肌トラブルを起こすことも。
油分と水分のバランスを整え普通肌に近づけるためには、まず自分の今の肌状態をしっかり見極め、正しく肌質のジャッジをすることが大事です。
(石川佳奈先生)
この記事を読んだ人におすすめ
日本美容外科学会、日本美容皮膚科学会、日本化粧品学会所属 藤田保健衛生大学卒業。市民病院にて勤務後、大手美容クリニックにて美容外科、美容皮膚科の経験を積む。 現在はBella Beauty CLINIC理事長兼難波院の院長として美容医療に携わる傍ら、美容医療に関する記事の監修も多数行っています。