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監修者:公益社団法人 日本アロマ環境協会認定環境カオリスタ、アロマテラピー検定1級 藤巻慧子
クラリセージはハーブのような爽やかさと、甘さのある香りが特徴の植物。効果効能はさまざまありますが、女性特有の悩みにアプローチしてくれることから「女性のためのハーブ」とも呼ばれています。本記事では、クラリセージの効果効能や手軽に取り入れられる使い方、禁忌やおすすめのブレンドなどを紹介していきます。
目次
監修者:公益社団法人 日本アロマ環境協会認定環境カオリスタ、アロマテラピー検定1級 藤巻慧子
クラリセージはさまざまな効果効能を持つ、人気の精油です。まずは、クラリセージという植物の特徴と、精油の香りをチェックしていきましょう。
クラリセージはシソ科に分類される植物です。和名では「オニサルビア」と呼ばれています。開花時期は5月~7月にかけてで、ラベンダーよりも少し薄い紫や淡いブルー、ピンクの花は長い穂のような形状をしています。花と茎で1メートルを超える、背の高い植物です。
クラリセージは「澄んだ」「透明な」など、清らかなイメージの花言葉を持っています。効果効能から「女性のためのハーブ」とも呼ばれており、ハーブティーなどにもよく用いられています。
クラリセージの精油は花と葉から、水蒸気蒸留法によって抽出されます。香りの強さは中程度で、ハーバルな印象の後に、甘さのあるパウダリーな香りを感じられるでしょう。クラリセージに含まれる香りの成分である酢酸リナリルはラベンダーに、リナロールはクロモジに含まれるため、それらに似た香りと表現されることもあります。
クラリセージの香りは好き嫌いが分かれやすいことでも有名。また、いつもは香りが気にならないのに「今日はなんだか臭いな」と感じたら、その時はクラリセージの持つ効果効能を身体が欲していないサインかもしれません。
「女性のためのハーブ」とも呼ばれるクラリセージは、心身や美容など、さまざまな面に対して良い影響を与えてくれます。ここからは、クラリセージの効果効能を紹介していきます。
クラリセージの香りは、緊張やイライラを和らげて心をリラックスさせてくれるなど、精神面に良い作用があると言われています。これは、クラリセージに含まれる酢酸リナリルと、リナロールという成分によるもの。この2つの成分は、心を落ち着ける鎮静作用を持っているのです。
また、酢酸リナリルを含む香りが脳に働きかけることで、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンとオキシトシンの分泌が促されると言われています。
クラリセージの特徴成分であるスクラレオールは、女性ホルモンに似た成分とも言われています。そのため、健康面においては月経不順やPMS、更年期障害など、女性特有の症状の改善が期待できます。また、スクラレオールには鎮痛作用もあるので、頭痛や筋肉痛、腹痛などの痛みの緩和にも効果的です。その他に、クラリセージ精油には血圧降下作用があるリナロールが含まれているため、高血圧の改善にも有効と考えられています。
クラリセージ精油に含まれるリナロールは抗炎症・抗菌作用を持っているため、肌の炎症などを和らげるといった美容面への効果も期待できます。皮脂のバランスを整えてくれるため、テカリなどで悩んでいる人に特に効果的です。頭皮のベタつきやフケにも効果を発揮してくれるので、女性だけではなく男性の利用もおすすめです。
クラリセージの精油は、手軽に日常生活へ取り入れられます。ここからは、誰でもできる取り入れ方を紹介するので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
芳香浴は精油を数滴垂らすだけの簡単な取り入れ方。心を落ち着かせたいと思った時に、すぐ実行できるのが魅力的です。在宅ワーク中に嫌なことがあった時や、今日一日のことを振り返ってしまう就寝前など、家にいて気分が落ち込んでしまった時はディフューザーに精油を数滴垂らして、部屋をリラックスできる空間に変えてみましょう。
ディフューザーがない場合は、お湯を張ったマグカップに精油を垂らしてみてください。湯気とともに立ちのぼる香りを楽しめます。また、ハンカチやタオルに精油を染み込ませておくと、外出先でも香りを持ち運べます。
精油や芳香蒸留水などを使い、好きな香りのオリジナル化粧水を手作りするのもおすすめです。芳香蒸留水とは、クラリセージを始めとする多くの精油が作られる、水蒸気蒸留法の過程でできる水溶液のことを指します。それ自体に香りがあるため、「アロマウォーター」や「フローラルウォーター」とも呼ばれています。
<必要なもの>
<作り方>
<ブレンド>
手作り化粧水に使う精油は、クラリセージ単体だけではなく他の精油とブレンドするのもおすすめです。美白効果がほしい時はラベンダー、美肌になりたい時にはゼラニウムやフランキンセンスを混ぜてみてください。クラリセージを含め、これらの精油はどれも入手しやすいため、試しやすいのも魅力です。
クラリセージの香りを楽しみながら肌のケアができる、“トリートメント法”と呼ばれる使い方もあります。ホホバオイルなどの植物性のオイルをベースに、精油を1%以下(フェイスの場合は0.5%以下)の濃度になるように混ぜたトリートメントオイルを、身体や顔などの肌にやさしく塗布する取り入れ方です。今回は、その中から「ヘッドスパ」と「ボディマッサージ」の方法を紹介します。
<ヘッドスパ>
植物性のオイル大さじ1に、クラリセージ精油を1滴垂らします。手のひらで混ぜ、頭皮に揉み込むようにマッサージしてください。下から上に向かってマッサージするのが効果的です。マッサージが終わったら20~30分置いて、シャンプーで洗髪します。
<ボディマッサージ>
植物性のオイル20mLに対し、クラリセージ精油を4滴垂らして全身をマッサージしましょう。生理前のPMSなどで鈍痛を感じる場合は、腹部を中心にマッサージしてみてください。クラリセージ精油を2滴に減らし、サンダルウッドやオレンジスイートを混ぜて使用するのもおすすめです。
トリートメント法を実践する際、肌の弱い人はトラブルを予防するためにも、低い濃度で試してから使うようにしましょう。
女性ホルモンに似た成分を持つクラリセージは、人によっては使用しない方が良い場合があります。クラリセージ精油を扱う前は、以下の注意点を確認しておくようにしましょう。
クラリセージには子宮収縮作用があります。女性ホルモンに似た成分が子宮を刺激し、出産を早めてしまう恐れがあるため、妊娠中の使用は厳禁です。また、クラリセージは生理前のPMSに対しては効果的ですが、生理が始まってからの月経痛に対しては効果が発揮されません。
運転中や作業中など、集中力を使う場面において、クラリセージの使用は不向きと言われています。リラックス感が高まり、集中力が散漫になってしまう恐れがあるためです。クラリセージを使用するのは自宅など、ゆったりと過ごせるシーンがおすすめです。
クラリセージの香りは、陶酔作用があるとも言われています。その作用は、昔はお酒に混ぜられていた歴史を持つほど。そのため、飲酒時にクラリセージ精油を使用すると、さらに酔ってしまうかもしれません。悪酔いを避けるためにも、飲酒時には使用しない方が良いでしょう。
クラリセージは、さまざまな精油とのブレンドが楽しめる精油です。ここでは、特におすすめのブレンドを紹介していきます。
クラリセージは柑橘系の精油と相性が良いです。気持ちを明るくしてリラックスしたい時は、柑橘系の中でもオレンジ・スイートとのブレンドがおすすめ。オレンジ・スイートにもリナロールが含まれているため、高い鎮静効果が期待できるでしょう。優しくもみずみずしい、フレッシュな香りは万人受けすること間違いなしです。
精油の代表格と言っても過言ではない、ラベンダーもクラリセージと好相性です。ハーバルで花のような優雅な香りが、心を癒やしてくれることでしょう。また、ラベンダーはスキンケアに効果的な精油でもあります。クラリセージとブレンドして美容目的で使用するのもおすすめです。
ハーブの爽やかさとパウダリーな甘さを感じられるクラリセージは、女性の健康を支えてくれるさまざまな効能を持っています。アロマテラピーなどを日常生活に取り入れて、精油の持つ効果効能を活用してみてはいかがでしょうか。
WEBメディアディレクター。コンテンツSEOに特化したライターの育成も行う。自分自身の心身の健康のため、精油を学ぶ。心地よさを重視した、感覚ファーストな香り選びが得意。好きな精油TOP3はネロリ、コリアンダー、イランイラン。