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川﨑 加織 先生
朝起きて鏡を見たら、まぶたが重く腫れぼったいときってありませんか?実はそれ、目がむくんでいることが原因。まぶたは目立つ場所であり、腫れぼったいとメイクもうまくのらず気分も憂うつになりますよね。そこで今回はその原因や解消法について皮膚科医の川﨑加織先生に解説いただきます。
普段体の中の水分バランスは一定に保たれているのですが、何らかの原因により水分バランスをうまく保てなくなると、細胞間に余分な水分が溜まってむくみが生じます。また、ストレスや寝不足により自律神経が乱れ、血流が悪くなることが原因でむくむことも。
日々の行動がそのむくみの原因を作りだしているかもしれませんので、以下をチェックしてみて。
体の中の塩分濃度が高くなると、理想的な濃度に戻すために体は水分を溜め込みます。塩分には水を溜め込む性質がありますので、塩分量の多い食べ物は要注意。また、アルコール類を飲み過ぎると血液中のアルコール濃度が高くなって血管が広がり、血の流れが緩やかになります。そのためすぐに排出されるべき水分が体内に滞ってむくみにつながります。
長時間のデスクワークでずっと座っていたり、冷え性ぎみの方は、血液の循環が悪くなりむくみやすくなります。運動不足で代謝が悪かったり、筋肉が少なかったりする方も体が滞り冷えやすいのでむくみの原因に。
月経前は女性ホルモンが作用して、自然に体が栄養素や水分を溜め込もうとします。そのため、不要な水分が外に排出しにくくなり、便秘にもなりやすく、循環が悪くなりむくみがちになります。
どのような姿勢で寝るかもむくみには影響します。例えばうつぶせで寝ると目元に水分がたまりやすいので、まぶたのむくみの原因に。また寝ている間に頭と体が水平になると、水分が顔側に降りてきやすくむくみにつながりますので、低すぎる枕や枕なしでの睡眠も原因のひとつに。
このように、むくみは必要ない水分が体内に溜まることで起こります。特に目の周りは骨がなく肌が薄い部分で他の部位よりも目立ちやすいのも原因。
余分な水分は速やかに体外に排出できるよう、日々の生活から心がけていきましょう。
まぶたがむくんでいる状態は朝がほとんどです。
むくみの原因は水分ですから、昼間活動している状態なら、座ったり立ったりしているので重力で水分が体の下のほうに移動します。また活動をすることで循環や血行が良くなっているのも作用します。そのため、お昼過ぎくらいになるとまぶたのむくみは抑えらえることが多いようです。ただ、その代わりに夕方くらいになると足がむくんでくることも多いはず。これは、水分が足に移動して溜まってしまった状態です。
このように、夕方ごろには改善されるというような目のむくみであれば、あまり心配はいりません。ただ、むくみには内科疾患、特に腎臓や甲状腺などの病気が隠れていることもありますので、長く続く場合や痛みを伴うといった場合など、気になることがあれば医療機関の受診をおすすめします。
目のむくみはお昼ごろまでには自然と解消されることも多いですが、なるべく早くいつもの状態に戻したいもの。そんな時には、以下の対処法がおすすめです。
ホットタオルや市販のホットアイマスクなどで、まぶたを温めると血行が良くなるので、余分な水分が流れやすくむくみが解消されます。もし時間に余裕があれば、温めると冷やすを交互に繰り返すと、血管が拡張と収縮を繰り返すことで、老廃物の排出が促進され、より早くむくみが解消されやすくなります。
【HOW TO】
水で濡らしたタオルをよく絞り、電子レンジで加熱(500Wで30秒~1分ほどが目安)します。温度はお好みで調節していただきたいですが、熱すぎると皮膚に刺激を与えてしまうので、適温に冷ましてからまぶたの上に乗せると◎。
目の周りを適度なマッサージでほぐしていくことも、血液循環やリンパの流れを改善させるための一つの手。疲れ目解消にも効果的ですので覚えておくと便利です。
【HOW TO】
しっかりとマッサージクリームやオイルを塗ってから、目頭→目の上→目尻と、骨に沿って指先でゆっくりと押しながらマッサージしていきます。肌を擦るのではなく、骨を押すイメージで行いましょう。目の周りは皮膚が繊細なので、強いマッサージは刺激を与え、シワの原因にもなるので、優しくゆっくりを心がけて。
コンタクトレンズの装着は目元に負担がかかるだけでなく、レンズに付着した汚れが症状を悪化させることもあります。むくみによってまぶたが腫れてしまった時はコンタクトレンズの使用を控え、メガネで過ごすようにしましょう。
血行を促進させたり、代謝を高める、利尿作用があるなど、体内の余分な水分を排出してくれる食べ物や飲み物を摂取することでも、むくみの解消につながります。以下を参考にぜひ積極的に摂取してみてください。ただし食べすぎ飲みすぎは逆効果ですので、いくら良い成分だからといっても過剰摂取はせず、バランス良く取り入れることが大事です。
▶カリウム
カリウムには体内の塩分量を整える作用もあり、水分が過剰になった場合は排出を促してくれます。体内の塩分量を正常に調整してくれることでむくみを解消してくれる栄養素です。
カリウムを多く含む食べ物:アボカド、バナナ、ほうれん草、アーモンドなどのナッツ類
ナッツ類は携帯しやすいため食べやすくておすすめですが、味付けされているものは塩分が高い場合があり逆効果になるので、素焼きのものを選ぶようにしましょう。
▶カフェイン
カフェインには利尿作用があり、それにより体に溜まった水や老廃物を外に出してくれるのでむくみの解消につながります。ただし取り過ぎると必要以上に水分が排出されてしまい、むくみの原因になってしまいますので、取り過ぎにはご注意ください。
カフェインを多く含む飲み物:緑茶、紅茶など
体を冷やすと血流が悪くなり、むくみの原因になってしまいますので、水分補給は常温もしくは温かい飲み物がおすすめです。
むくんでしまった後の解消法を紹介しましたが、そもそも事前にむくまないようケアしておきたいもの。ここでは、むくみまぶたを事前に予防するための方法をご紹介します。毎日の生活の中で少し意識するだけで、水分を外に流してむくみを予防することができますから、普段の行動を少しだけ見直し、スッキリした目元をキープしましょう。
水を飲みすぎてしまうと余分な水分が体に溜まってしまいますが、逆に控えすぎると体が水分を溜め込もうとしてしまいます。そのため、適度に水を飲むことが大事。おすすめとしては朝起きた後や入浴の前後なども含め、こまめにゆっくり飲むこと。1回に飲む量はコップ1杯弱程度にしておくなどで調整し、体内の水分や老廃物の滞りを改善して。
ファストフードやコンビニ弁当などの加工食品をよく食べる方は、頻度を下げるなどの対処をしていただくといいと思います。また濃い味付けの食事が中心の方は薄味を心がけるなど、工夫をしてみてください。
たくさんお酒を飲む方は休肝日を作ったり、もし飲みすぎてしまってもお酒と同等程度の水を飲み、しっかり酔いを冷ましてから寝ると、翌日のむくみは大分変わってきます。
体が冷えると全身の血行が滞り、むくみを引き起こしやすい状況に。そのため、普段から体を温めて血流を促し、余分な水分や老廃物を排出しやすい状態にしておくのが◎。なるべく毎日湯船につかったり、リンパマッサージをするなどで体を温めることも大切です。
(川﨑加織先生)
目のむくみをなるべく早く解消するにはマッサージが効果的ですが、目の周りの皮膚は薄く繊細なので、オイルやクリームで摩擦レスにケアすることが大事。メゾンレクシアの「エンハンス オイル」は、植物の力を凝縮した上質なオイルが乾燥・ごわつきを柔らかくほぐし、ハリとツヤのある肌へ整えてくれる、マルチユースの美容オイル。ラップ+ホットタオルパックすれば、スチーム効果で眼精疲労や目のクマケアにも◎です。
肌をいたわりながら柔らかくほぐす、マッサージにも使える<ミルククレンジング>。忙しい朝はミルクを2、3プッシュして洗顔ついでにマッサージが簡単でおすすめ。ローズやラベンダーに爽やかな柑橘をミックスしたシトラスフローラルの香りで、朝から気持ちも肌もシャキッと目覚めます。
顔の中でも非常にデリケートな部分である目元は、目元専用のアイテムを使用するのがおすすめです。
敏感な目元のためのエキス(アイブライトエキス、セイヨウニワトコ花エキス)に、うるおいを保つ植物オイルを組み合わせ、目元にいきいきとしたハリを与えます。
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皮フ科かわさきかおりクリニック院長。医学博士 日本皮膚科学会専門医 日本抗加齢医学会専門医。 「体の内外から美しくなれるクリニック」をコンセプトに一般皮膚科診療だけでなく、美容医療、頭髪治療なども行っている。またweb雑誌での連載やサプリメント・化粧品の監修などでも、多方面に活躍の場を広げている。