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監修者:ケーズ皮膚科 美容皮膚科 小倉魚町院 院長 森永 萌美 先生
スキンケアアイテムの新ジャンルとして「美容液」が登場した当初は、あくまでも基本のスキンケアにプラスして使う特別なアイテムという位置づけでした。それが今や、スキンケアのルーティンとして欠かせない存在になっています。そのため新製品が次々に登場し、種類も多様化しているため「美容液迷子」になってしまっている人も。そこで美容液の種類にはどういったものがあるか、使用する際の順番についてなど、ここで再確認してみましょう。
監修者:ケーズ皮膚科 美容皮膚科 小倉魚町院 院長 森永 萌美 先生
世の中にはさまざまな美容液がありますが、どの美容液も特定の肌悩みにアプローチするアイテムであることに変わりはありません。
具体的にどういった肌悩み・目的別の美容液があるのかをみていきましょう。
お肌に潤いを与えて、みずみずしくふっくらとした感触や透明感を肌にもたらすことを目的としているのが保湿美容液です。乾燥による小ジワやくすみといった悩みにアプローチするほか、健康的なお肌の大前提である潤いに特化しているため、肌コンディションの全般的な底上げを目指すことにもつながります。
お肌のたるみに働きかけてハリをもたらすことを目的としているのがリフトアップ美容液です。特に成熟世代の毛穴の目立ちはたるみが原因となっているケースが多いため、エイジングケア※としてのたるみ毛穴対策を謳った製品も多く見られます。
※年齢に応じたケア
日焼けによるシミ・そばかすを目立たなくさせることを目的としているのが美白美容液です。アプローチ方法は、メラニン色素の生成過程への働きかけ、お肌のターンオーバーの円滑化などがあります。
目元のたるみやシワ、クマなどを目立たなくさせることを目的としているのが目元用美容液です。目の周りの皮膚にハリを与える、ふっくらとさせる、血行・循環をよくするなどアプローチ方法は複数ありますが、顔の中でもとりわけ薄くデリケートな目の周囲の皮膚への使用を前提としたつくりが特徴です。
肌表面のごわつきの解消を目的としているのが角質ケア美容液です。肌表面の角質の状態を良好にすることにより、ツルっとした肌触りをすぐに実感できることも期待できます。
また、その後に使う美容液の浸透の良さを感じられることも嬉しい効果ですね。
主にスペシャルケアとして使用することがおすすめです。
塗り心地もさまざまな美容液ですが、その使用感の違いは形状タイプによるところが大きいといえます。主なタイプ別で美容液の種類を見ていきましょう。
乳液状の美容液です。
美容液としては主流のタイプといえるでしょう。ひと口に乳液状といっても、サラッとしたものから比較的こってりとした感触のものまであります。
液状の美容液です。
液状とはいえこっくりと濃厚な感触の製品も見られますが、全体としては比較的サッと浸透する軽めの使い心地のものが多い傾向。とはいえ、一般的な化粧水よりはとろみのある感触が大半です。
オイル状の美容液です。一般的に伸びが非常によいので、推奨使用量は数滴ほどと僅かな場合が多いことも特徴です。
ジェル状の美容液です。ベタつく感触が苦手な人でも使いやすいさっぱりした使い心地の場合が多く、適量を取って肌に塗り広げやすい形状面でのメリットもあります。
美容液を含むスキンケアアイテムにはメーカーが推奨している使用順がありますが、ライン使いをしていない場合には美容液の使用タイミングに迷うことも。
美容液を使う順番は何をもとに決まってくるのでしょうか。また、複数の美容液を重ね使いしたい場合にはどうすればよいのでしょうか。
肌馴染みの点から、さっぱりとした感触のもの(水分が多い )ほど先に、こってりとした感触のもの(油分が多い)ほど後に持ってくるのが基本的な考え方です。そのため、たとえば化粧水の後、乳液(クリーム)前の使用が多いです。
逆の順番(しっとり→さっぱり)にした場合、先に肌につけたアイテムの油分が後からつけるものの浸透を邪魔してしまい、せっかくの美容液の力が十分に発揮されなくなってしまう可能性も。
例外ともいえるのがオイル美容液です。
マルチユースを謳うオイル美容液(多くの場合サラッとした感触のオイル)に関しては、ブースターとしてお手入れの最初に使ってもよし、クリームのようにお手入れの最後のほうに使ってもよしとされています。
また、贅沢にたっぷりと使ってマッサージオイルとして、あるいはパック的な用途にもと多様な使い方ができる商品が多いのもオイル美容液ならではといえるでしょう。
年齢を重ねるほどに気になる悩みはどうしても増えていくもの。特別なイベントを控えているときなど、スペシャルケアでお肌を輝かせたいときもあるはず。そんなときは、複数の美容液を重ねて使うのもひとつの方法です。ただし、お肌への浸透などを総合的に考えると2種類までが妥当といえるでしょう。
ポイントとしては「保湿美容液+目元美容液」「美白美容液+リフトアップ美容液」などといったように、異なる目的に特化した美容液を組み合わせます。
また、美容液は医薬品ではないため、同時使いが肌ダメージにつながるのではないかと心配する必要は基本的にありません。しかし、重ね使いで万が一使い心地の悪さを感じるようであれば、製品の感触の相性があまりよくないことが考えられるため、その組み合わせは避けるようにしましょう。
肌表面に働きかける系統の美容液(角質ケア美容液など)を別の美容液と重ね使いする場合は、角質ケア美容液を先に、その次に保湿美容液などを使うようにします。
不要な角質を除去するなど肌表面を整え、スキンケアアイテムが浸透しやすい状態にした上で、しっかりとお肌に届けたい美容液を使うほうが効率的と考えられるためです。
具体的な製品を例にとって美容液を使う順番を考えます。
植物のみずみずしい力を生かした独自処方で、日々の揺らぎや本格的なエイジングケア※まで叶える、国産オーガニックブランド「メゾンレクシア」から、「オラクル」と「アルケミー」2つスキンケアシリーズの美容液を取り上げます。
自社で抽出した植物エキス・オイルの濃厚さを感じさせるしっとり感が特徴の「オラクル」シリーズと、高い保湿力&浸透力が特徴の独自開発の美容成分を高配合したみずみずしいテクスチャーが特長の「アルケミー」シリーズ。
処方やテクスチャーはまったく異なりますが、どちらシリーズの美容液も、化粧水の後、クリームの前に使うことが推奨されています。
肌にハリを与えるシラカバエキスや肌を柔らかくするホホバ種子油などをはじめとした植物成分がふんだんに配合され、肌をふっくらなめらかに整えます。濃厚なのにべたつかない、豊かなハリをもたらす濃密美容液です。
さらりと軽い感触なのにしっかりと潤う、複数配合された保湿成分の相乗効果を狙える美容液。角層にすばやく浸透してみずみずしい肌へと導きます。
「オラクル」の濃厚さ、「アルケミー」の軽やかさ、とそれぞれの美容液の感触は異なりますが、前項でご紹介した順番での使用がおすすめ。なぜなら、アイテムごとのテクスチャーの違いに着目した順番(軽→重)であるためです。
テクスチャーの違いは、配合成分とその比率に由来します。
オラクルの美容液にはこっくりとした濃密感がありますが、同シリーズのナイトクリーム・デイクリームには、より多くの植物オイルが配合され、さらに濃厚なテクスチャーとなっているため「美容液→クリーム」の順番。一方、アルケミーはナイトクリーム・デイクリームともみずみずしい使い心地ですが、美容液はより水分量が高く、結果としてより軽やかなテクスチャーなため、やはり「美容液→クリーム」の順番となります。
メーカー推奨として商品特有の使用順番があればそれに従うのが原則ですが、美容液を含むスキンケアアイテムを使う順番の基本は「さっぱり→しっとり(軽いもの→重いもの)」です。
同じ美容液を使うなら、ただ使うのではなく、何らかの成果を期待しつつ丁寧にお肌になじませたいもの。理に適った使い方で美容液の力を最大限引き出し、毎日のスキンケアタイムを満ち足りた時間にしたいですね。
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2008年に国立佐賀大学医学部を卒業。 同年より北九州市内の病院にて内科や外科、救急科、精神科、産婦人科、小児科などで数年間の研修を経たのち、 福岡市内の美容外科・美容皮膚科に勤務し、幅広い美容医療に従事。 その後、北九州市小倉南区のケーズクリニック皮膚科へ就職し、美容皮膚科・一般皮膚科の外来を診療を担当し、 2013年11月に北九州市小倉北区のケーズ美容皮膚科の開院と同時に院長に就任。 ネイリスト、アロマセラピー、マクロビオティックなど趣味の分野でも幅広く資格を取得している。