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吉岡 容子 先生
指は体の中でもむくみやすいパーツの一つです。指輪がきつくなっていたり、指を曲げにくいと感じる場合には、指がむくんでいるかもしれません。むくみの原因を把握した上で、ハンドマッサージや手指のエクササイズなどのセルフケアを取り入れると、指のむくみ解消に近づけるでしょう。本記事では、指がむくむ原因や解消法などを紹介します。
目次
指輪がきつい、指を曲げにくいと感じるのはむくみが起こっているサインかもしれません。まずは、むくみが起こる仕組みをチェックしていきましょう。
むくみとは、体の中に余分な水分が溜まった状態のこと。医学用語では「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれます。水分は腸で吸収された後、血管を通って全身に運ばれ、血管の末端でしみ出ます。そして、しみ出た水分は静脈やリンパ管から再び血管に戻るのが通常の流れです。
しかし、しみ出る水分の量が多かったり、水分が適切に再吸収されなかった場合には、余分な水分となって皮膚の下に溜まり、むくみとして現れます。
特にむくみが起こりやすいと言われている部位は、「顔、まぶた、腕、手指、ふくらはぎ・足」です。
手指がむくみやすいのは、重力が関係しています。体内に蓄積した水分には重力がかかるため、時間経過とともに下に落ちていきます。手は立っている状態だと下に降ろしていることが多い部位のため、水分が溜まりやすく、これが手指のむくみとして顕在化してきます。また、歩行時も手を振ることで遠心力が働くため、指先に水分が溜まりやすくなります。
水分は時間経過とともに重力で下に落ちていくため、1日の終わりである夕方や夜がむくみやすいと言われています。しかしながら、夜に水分やアルコール、塩分を摂りすぎると朝にむくみが起こっている場合も。特に、手指は朝にむくみが現れやすいと言われています。
季節の中では、夏にむくみが起こる場合が多いと言われています。夏は湿度が高いため人体の水分が蒸発しにくくなるだけではなく、冷たい飲食物や冷房で体が冷えて血液循環が悪くなるからです。また、寒さが厳しい冬も、手足などの末端が冷えて血液循環が悪くなり、むくみが発生しやすい時期です。
指がむくむ原因は、生活習慣や病気など複数考えられます。ここからは、指がむくむ主な原因について見ていきましょう。日常生活で思い当たる項目がないか、チェックしてみてください。
アルコールを摂取すると血中のアルコール濃度が上がって血管が拡張され、血液の流れは緩やかになります。流れが緩やかになると、血液や水分の循環は低下し、一部分に溜まりやすくなってしまいます。溜まった水分は血管からしみ出て、むくみを引き起こします。
水分を摂りすぎると、血液中の水分量が増えます。これにより、余分な水分が血管からしみ出てむくみとなるため、水分の摂りすぎには注意をしましょう。ただし、水分不足も血液循環の悪化につながり、結果としてむくみの原因となるため、1日1.5リットル~2リットルの水分補給は必要です。
その他、塩分の摂りすぎもむくみの原因になりやすいので注意が必要です。人間の体には、塩分濃度を一定に保とうとする機能があります。塩分をたくさん摂取すると、体は塩分濃度を薄めるために水分を溜め込もうとします。この働きにより体内の水分が必要以上に溜め込まれてしまうことで、むくみが発生するのです。
就寝時は体を横にするので、1日の中でも比較的リンパの流れが良くなりやすいと言われています。逆を返せば、睡眠不足はリンパの流れが良くなる時間を減らしてしまう原因に。
また、睡眠不足が続くと活性酸素が蓄積します。蓄積された活性酸素によって体の恒常性がくずれるため、水分排泄がうまくいかなくなり、その結果、むくみが起こりやすくなります。
女性の場合は、月経周期や妊娠、更年期などによるホルモンバランスの変化でもむくみが現れやすくなります。特に月経前は体が水分を溜め込みやすくなるため、むくみが発生しやすいと言われています。
また、妊娠中でお腹が大きい時期もむくみが起こりやすいタイミングです。これは、妊娠前よりも血液を心臓に戻す力が多く必要になったり、胎児に栄養を届けるために血液が薄くなったりするためです。
あまりにもむくみが酷かったり、ケアをしても改善が見られなかったりする場合には、病気が原因となっていることも。むくみに違和感を覚えた時は放置をせず、一度医師に相談をしてみましょう。
指のむくみは、日々の生活に取り入れやすい簡単なセルフケアで解消に導くことができます。即効性も期待できるので、ぜひ試してみてください。
指先が冷えると血流が滞り、むくみに繋がります。そのため、手を温めて血行を促すことは、むくみ解消に繋がります。指のむくみが気になった時には、手を「38~40度のお湯」に5分程度、浸してみると良いでしょう。
指のむくみ解消が期待できるツボを刺激して血行を促すのも効果的です。
<合谷(ごうこく)>
「合谷(ごうこく)」は、むくみや肩こり、目の疲れなどに効くと言われる万能ツボです。少し痛みを感じる程度の強さで人差し指と親指の間を3秒ほど押すと、むくみ解消につながります。
<労宮(ろうきゅう)>
「老宮(ろうきゅう)」は、血流を促して自律神経を整えると言われるツボ。親指を巻き込まずに手を握った時に、手のひらで中指が当たる部分です。反対の手の親指の腹で5秒ほど強く押して放すのを、両手それぞれ5セット行ってみてください。
<井穴(せいけつ)>
「井穴(せいけつ)」は、指痩せの効果も期待できるツボです。爪の生え際の両端を、各指10回ずつ、片方の手でつまむように刺激をしてみましょう。
簡単なエクササイズも、指のむくみを改善することに繋がります。
<指のむくみに働きかけるエクササイズ>
バスや電車に乗る時は、つり革を掴むと手が心臓より高い位置になるため、指のむくみ解消効果が期待できます。日常生活の中で、上記のエクササイズが出来る時には、積極的に行ってみてください。
入浴中やテレビを見ている時などには、ハンドマッサージを取り入れてみてください。
<指のむくみを解消に導くハンドマッサージ>
ハンドマッサージを行う際には、皮膚への摩擦刺激を減らすために、ハンドクリームやオイルを使うのがおすすめです。
ハンドクリームやオイルを塗ることで、肌のすべりが良くなるため、ハンドマッサージの時にも使ってみると良いでしょう。マッサージによるむくみ解消はもちろんのこと、うるおいを与えて乾燥予防にも繋がります。最後に、メゾンレクシアのハンドケアにおすすめのアイテムを紹介します。
ヒマワリ芽エキスや、テオブロマグランジフロルム種子脂など、保湿効果の高い植物成分をたっぷりと配合したハンドクリーム。皮膚のうるおいを保って、肌触りの良い手指へと導きます。伸びが良くなじみやすいテクスチャーは、ハンドマッサージにも使いやすいです。
指輪をつける時に実感しやすい指のむくみは、どうしても気になってしまうもの。むくみがなく、すらりとした指先は、手元をきれいな印象に見せてくれます。指はむくみやすい部位でもあるので、原因となる行動を避けたり、セルフケアを取り入れたりしてケアをすることが大切。指のむくみを解消すれば、指輪の着脱もスムーズになります。むくみの解消法を取り入れて、美しい手元をキープしましょう。
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東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。 麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。 院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。